よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

犬の痴呆症(ボケ)


  • 犬のボケは予防できますか?


    ボケは一種の老化現象ですから、完全に防ぐことは不可能だと思いますが、上記の症状に一つでも思い当たる項目がある飼い主さんは、その進行を遅くする方法がありますので、試してみられたらいかがかと思います。犬のボケは、平穏な生活の中で 犬が自分だけの世界に閉じこもってしまう事によって、どんどん進行してしまいますから、よい意味での刺激的な生活をおくらせてあげましょう。具体的には、特別なことではなくて 毎日少しの時間でいいですから 飼い主さんが顔を見ながら話しかけて 対話の時間を持ちましょう。言葉は通じなくても長年一緒に暮らしてきたパートナーですから、心の交流はきっとできるでしょう。そして、これも少しの時間 少しの距離でいいですから毎日お散歩に行きましょう。高齢になると心臓などが悪くて運動を制限されている場合もあると思いますが、気分転換の為ですから負担のかからないように涼しい時間帯にのんびりと出かけましょう。何か興味を引くようなものと出会えるかもしれませんから、時々コースを変えてみてもいいかもしれません。もし他の犬と出会って 相性が悪くなさそうなら、出来るだけ交流の時間を持ちましょう。さらに効果的だと思います。勿論、相性が悪そうなら以降はなるべく出会わないように気をつけましょう。
    以上、おそらく飼い主さんが犬を飼い始めた頃 ごく自然にされていた事ばかりだと思います。10年以上も一緒に暮らしていると、飼い主さんは犬のいる生活に慣れてしまって、どうしても他の新しい興味あることに意識が向いてしまいがちになるかもしれません。でも、飼われている犬にとっては 飼い主さんが全てなのです。ですから、飼い主さんから疎外感を感じると どうしても自分だけの世界に引きこもりがちになって、ボケが始まります。そして このようの時期を迎えた犬に残された寿命はひょっとしたら数ヶ月 長くとも ほんの数年しかありません。ですから、もう一度飼い始めた頃のことを思い出して犬と接してあげてください。そうすれば、きっとあまりボケることなく寿命をまっとう出来るのではないかと思います。


  • 家の老犬(柴犬、避妊済みの雌、16歳)は以前から白内障や歩行障害を起こしていましたが、最近は夜鳴きや徘徊が始まりました。かかりつけの病院では 「ボケは老化現象だから治療法がありません。安楽死を希望されるなら対応します。」と言われました。 近所迷惑ですし、とても可哀想ですが 安楽死等考えたくもありません。何か対処法はありませんか?


    「安楽死」については、万策が尽きた後の選択肢ではあるかも知れませんが、現時点で飼い主さんが考えたくないのは当然だと思います。さて、ご相談の件ですが、まず飼い主さんがその犬との対話の時間を出来るだけ取って下さい。出来る範囲で結構ですから、犬に話しかけ犬の対応に反応してあげましょう。犬がボケるのは自分だけの世界に閉じこもってしまう為に 時間や場所の感覚が現実とずれてしまい起こります。ですから、可能な限り飼い主さんと心の交流が出来る時間を多く持てば、現実の世界に戻ってきてくれると思います。更に散歩に出かけられると外部の世界の刺激がよい作用をもたらすでしょう。歩行障害があるのなら 自転車の籠や乳母車等に乗せるのはどうでしょうか?どうしても嫌がるなら仕方がありませんが、結構機嫌よく 運動の為ではなくて気分転換の為の散歩に出かける犬はいますよ。それから、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を主成分とするサプリメントを試してみられるといいと思います。当院でも十数匹に投与して約半数の犬でポケの症状の改善が認められました。犬との対話、気分転換の散歩、サプリメントを紹介しましたが,何れも直ぐに目に見える効果が期待できるわけではありません。出来る範囲で結構ですから数週間から数ヶ月続けられればきっと何らかの効果が現われると思います。
    勿論年齢を考慮すればあと数ヶ月寿命が続く保障もありませんが、もしボケに対する対策の途中で効果のあがる前に 寿命が尽きたとしても その犬にとっては何もしてもらえずに放置されるもしくは安楽死されるよりは、最後まで充実した幸福な人生だったと考えてあげていいのではないでしょうか。


  • うちの犬は夜鳴きがひどいので 病院で診察を受けると 痴呆症と診断されて 鎮静剤をもらいましたが 殆ど効果がありませんでした。何か他に治療法はありませんか?


    犬の痴呆症では なかなか静止できなくて近所迷惑な夜鳴きが、いつでも どこにでもしてしまう排泄とともに 飼い主さんが現実的に一番お困りになる症状だと思います。夜鳴きをしずめるために、鎮静剤や麻酔剤の類を用いるのは一時的に効果がある場合もありますし、ご質問にあるように殆ど効果が無い場合も多いようです。何れしても、長期にわたって連用すれば肝臓などへの負担も大きく 副作用も心配されますからあまりおすすめできません。現在、当院では犬の痴呆症でお困りの方に 魚に含まれていて頭を活性化することで知られている不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を多く含有する補助食品を投与して頂いていますが、副作用の心配も無く ある程度の効果が得られていますので、もしよければ一度試してみてください。
    但し、上記でもお答えしましたが犬の痴呆症は飼い主さんと犬の気持ちがすれ違う事から始まり どんどん進行してしまう病気ですから、もう一度心が通い合うように努力していただくことが一番効果的な予防法であり 治療法でもあると思います。


  • 犬も 高齢になると痴呆症になるそうですが、何歳位から どのような症状が現われるのですか?

    犬の痴呆症は、人間の場合もそうですが 肉体的素因と生活環境の違いにより 始まる年齢も症状もかなり個体差があります。一般的に10才を過ぎれば、他の老化現象(筋肉の衰え、視力や聴力の低下、白髪等)と同様に少しずつ始まるものと思われます。
    具体的な症状としては次の5項目が代表的です。
    1)自分の名前や飼い主が認知できなくなり、トイレ等の生活習慣もくずれる
    2)大声で夜鳴きをするようになり、なかなか静止できない
    3)歩き方がとぼとぼと元気がなくなり、同じところをグルグル回る
    4)狭い所に入りたがり 頭から突っ込んで自分では出られなくなる
    5)食欲が増大するが、嘔吐や下痢はしない。そして体重が減少してくる

老犬の介護


  • 家の犬(ラブラドール14歳、メス、体重約30kg)が一ヶ月位前から急に歩けなくなり 殆ど寝たきり、垂れ流しに近い状態です。体が大きいのでこまめに洗ってやることも出来ず、匂いや床擦れがひどくなってきました。何とか清潔に保って、快適に過ごさせてやりたいのですが良い方法はありませんか?


    ご質問頂いた飼い主さんは犬を飼うのが初めてだそうですが、平均寿命が十五歳位と言われる犬が十四歳になれば(平均寿命が八十歳位の日本人に例えれば七十歳を超えているわけですから)いつ何時歩けなくなったり、寝たきりになっても不思議はないと考えてそれなりの対策や準備をしておかれるべきだったのではないでしょうか。突然歩けなくなったと思われているみたいですが、犬の行動をもう少し注意深く見ておられたら、例えば寝ている状態、座っている状態から立ち上がるときに、段々スムーズさを欠いて苦労するようになっていたでしょうし、普通に歩いているときでもその足取りの力強さが徐々に無くなっていったはずです。起立や歩行を補助する為の介護用胴輪等を利用していれば、起立困難、歩行不能になる日はもう少し先送りが出来ていたかもしれません。過ぎた事について、ここでくどくどと申し上げたくはありませんが、これからも犬の状態は日々変化し、少しずつ衰えていくでしょうから、その微妙な兆候を見逃さないようにして 早めの対策を講じていくことが犬自身と飼い主さんの為に必要だと感じて、あえて申し上げました。失礼な表現になってしまったかもしれませんが、お許しください。

    <寝たきりになったときの排泄>
    現在お困りの排泄が上手く出来ない状況についてですが、本人としても横になった状態での垂れ流しは不本意だと思いますから、介護用胴輪などを利用して何とか起立した状態にしてあげて排便、排尿を促しましょう。毎日決まった時間にペットシーツなどを敷いた上に立たせてあげて、その時にその場所で排泄する習慣が身につくまで根気よく応援してあげましょう。室内での排泄に慣れていれば飼い主さんの気持ちが伝わり上手に排泄できるようになるまで それ程時間はかからないと思います。但し、この子は大型犬ですから、いずれ介護用品を使っても一時的な起立が難しくなってくると思いますがその時にまたご相談ください。

    <床擦れとは>
    次に、人間でも同様ですが寝たきりになるとどうしても発生しやすい床擦れについて考えてみましょう。床擦れとは、寝たきりになる事で 普段圧迫されていない部位が体重により継続的に圧迫されて血流が悪くなり、酸素や栄養が不足する事によりその部位の皮膚及び皮下の組織が壊死して潰瘍となる状態を言います。ある程度圧迫が継続すると まず痛みが発生します。健康であればその痛みによって 自然と寝返りをうつ等 体勢を変えるので人間でも犬でも床擦れは起こりません。所が寝たきり状態になっている場合、神経や筋肉に異常があるわけで 体勢が上手く変えられず圧迫が継続するので床擦れが起こってしまうわけです。

    <床擦れの治療>
    治療法は壊死した部分が大きければ切除などの外科的処置が必要な場合もありますし、感染や炎症があればそれらに対処しながら 血行を改善し脱落した組織の回復を促進します。言葉で表現すると簡単そうですが、血行を確保する為に約二時間毎に寝ている姿勢を変えてあげたり、定期的にマッサージを繰り返したり、感染や炎症があれば消毒薬や消炎剤を投与したりと、地道で辛い介護が続きます。そして、一旦治療して治ったとしても 再発するケースは少なくありません。

    <床擦れの予防>
    ですから、出来れば予防を心掛ける事が重要です。起こりやすいのは例えば肩や肘、骨盤や肩甲骨等の出っ張った部分、そして陰部の周囲などの皮膚が薄くて弱いうえにどうしても不潔になり易い場所です。床擦れの最初の兆候は圧迫が持続するのでその部位を触ると嫌がり、皮膚が少し赤味を帯びます。普段から、起こりそうな部位を観察して、そのような部位が見つかればまずはマッサージを繰り返し、血行促進剤を塗布します。勿論、その部位が下側になって圧迫を受けにくい体勢を継続しないように注意しましょう。但し、ある部位だけに気をとられているとその反対側に必ず床擦れが始まりますから、バランスよく体勢を変えましょう。これも、言葉で表現すると簡単ですが、本人の好きな体勢、嫌いな体勢等がありバランスをとるのは結構大変です。予め計画表を作り、何時から何時まではこの体勢と決めておくと良いと思います。

    <床擦れ対策用品を活用>
    動物用の介護用品はかなりの種類が市販されていますから、有効なものはどんどん役立て、必要に応じて自分なりに改良したり 自分で作って活用しましょう。

    (床擦れ防止マットアクリル製で毛足が長くてこしのあるマットで、小型犬なら加圧される部位が一点に集中しないので血行が阻害されにくく、尿や涎が垂れても直接皮膚が濡れたり汚れたりしにくいそうです。「丸洗いできるので繰り返し清潔に使えるなかなかの優れものである」と使用されている飼い主さんからの情報です。残念ながら、大型犬で使用された方からの情報がありませんが、試してみる価値はあるかと思います。

    (ドーナツ枕)真ん中の空洞部で骨の出っ張った部位などの加圧を避ける為に装着するドーナツ状の枕ですが、市販されている物を購入するよりも 必要な部位の大きさにあわせてガーゼやタオル、さらしの布等で自分で作られた方がよいかも知れません。作り方は言葉で表現しにくいので直接ご指導します。

    (低反発性マット)床に敷くだけで 身体の形状にフィットするので出っ張った部分に加圧が集中しない事とドーナツ枕の様に装着する必要が無い便利さはメリットですがが、逆に通気性が悪くなる可能性があり、尿などの汚れに弱い点等のデメリットもあり、現在の所 賛否両論あるようです。排泄が上手く出来る子なら 短時間の使用にはおすすめ出来ると思います。

    <皮膚を清潔に保つ>
    寝たきりになるとどうしても皮膚が不潔になりがちですから、清潔に保つ為の方法を考えましょう。

    (入浴)定期的に入浴できれば、清潔さを保つ最良の方法であるのは間違いありません。適温の湯にゆったりと浸ることにより体の隅ずみまで毛穴が開き皮脂等の汚れがほぐれて、後のシャンプーの効果を高めるでしょう。更に全身が温まりますし、水中では重力から解放されますから血管が開いて血行が促進されますから、床擦れの予防と治療にも良い効果が期待できると思います。但し、シャンプー後の十分なすすぎと隅ずみまでの乾燥を徹底しないとかえって逆効果になる場合もありますから要注意です。安全で効果的な入浴は飼い主さんでは難しいかもしれませんから、対応してもらえる病院があれば依頼される事をおすすめします。尚、当院では寝たきりの犬猫の入浴サービスを実施しておりますので、料金やシステムについては電話で確認してください。

    (ドライシャンプー)全身の入浴が難しい場合は、ドライシャンプーを利用されると良いかもしれません。体質や皮膚の状態に合う種類を選ぶ事とふき取りを十分にする事に注意してください。

    以上、一般的な対策を述べましたが、具体的なことはケースバイケースですのでお電話などでお話したほうが分かり易いと思いますので遠慮なく電話してください。


  • 親戚の老犬(柴犬16歳)が寝たきりになり、その介護に非常に苦労されています。我家の犬(シェルティ13歳)は現在の所 元気ですが 何れ同様になるのではないかと心配です。要介護状態になった時の為に 今のうちから準備したり心掛けておくべき事があれば教えて下さい。


    人間が要介護状態になったときの為に、家を予めバリアフリー仕様にしておくように、犬が老齢により体が不自由になった時を想定して 生活の場や様式を少しずつ改めていく事はとても良い事だと思います。具体的にどの様にすればよいかは、ケースバイケースですので、ごく一般的なことを幾つか提案してみます。必要と思われることがあれば実行してみてください。

    ◎足腰の衰え→生活の場を一階へ
    人間が老齢化するとまず足腰が弱りますが 犬も同様ですから、階段の上り下りなどを避ける為に、二階若しくはそれ以上で生活している犬は 出来れば一階に生活の場を移しましょう。介護状態になれば、小まめに様子をみてあげられる場所においてあげる事で飼い主さんの負担も軽減できると思います。(勿論、一戸建てのお住まいの方の話で、集合住宅にお住まいの方に引越しまで 提案しているわけではありません)

    ◎抱っこ→出来なくなるかもしれません
    小型犬なら現時点では抱っこして階段などの上り下りが容易かもしれませんが、年齢が進むと例えば心疾患等で胸を圧迫される事を嫌がるようになるかもしれませんし、乳腺腫瘍等ができて 痛がり暴れるかもしれません。ですから生活の場はなるべく抱きかかえて移動する必要の無い場所が望ましいと思います。

    ◎視力の衰え→見えてるうちに覚えさせましょう
    遅かれ早かれ白内障等で視覚が衰えますから、ある程度でも見えているうちに、生活の場に慣れて、例えばトイレの場所等を覚えさせるためにも、まだある程度元気で目が見えているうちに生活の場を要介護状態になったときに過ごす場所へ移しましょう。
    ◎生活の場の危険な場所→早く見つけて対策
    家の中での犬の通り道はある程度限定されていますから、よく観察して例えば頭をぶつけそうな場所には柔軟材で覆いをしたり、コードやコンセントで転びそうな場所には近づき難くする等の対策も早めに心がけましょう。

    ◎段差→階段やスロープを
    玄関やお気に入りのソファー等に段差が結構ある場合は、コンクリートブロック等で段差の小さな階段を作るか、板等を用いてスロープを作る必要があるかもしれません。但し、この様なルートも、慣れておかないと使ってもらえませんから まだ元気なうちから少しずつ階段やスロープを利用し始めましょう。

    ◎散歩時の排泄→屋内トイレでの排泄
    排泄の習慣についてですが、きちんと散歩に決まった時間に連れていっていると、散歩中に便、尿の排泄を済ませる習慣がついている場合多いと思いますが、足腰が弱れば定期的な運動は徐々に難しくなります。(勿論 突然に歩けなくなる場合もあります)ですから、少しずつ屋内での排泄を習慣づけていきましょう。

    ◎介護用胴輪→馴染む為に早めに利用し始めましょう
    足腰が弱ってきたときに、起立や歩行そして寝返り等を補助する為の介護用胴輪(ハーネス)は、嫌がる子もいますが重宝されている方も多いと思います。身体を包み込む形なので体型にフィットして傷害部位にマッチする胴輪を選択し ある程度馴染ませるにはじかんがかかると思います。ですから、歩けなくなってからではなくて、起立が辛くなってきた時期くらいから始められると本人もそれ程違和感を味わわずに利用できると思います。

    ◎聴覚も衰える→指示は声と動作で
    聴覚も衰えますから 犬への指示を、声や音だけで伝えていると徐々に指示が伝わりにくくなります。ですから、指示は視覚と聴覚の両方に訴えて与えた方がよいでしょう。即ち、指示を出すときに声だけでなく飼い主さんの動作も加えましょう。それも小さな動きでは視覚も衰えてくるわけですから少し大袈裟な位の動きを加えたほうが犬には解り易いと思います。

    ◎脳も衰える→指示は出来るだけシンプルに
    脳の衰えも同時に進行しますから、理解力や記憶力も低下します。若い頃には沢山の細かな指示を理解し実行できたかもしれませんが犬への指示は必要最小限のものを出来るだけ解かり易く伝えましょう。

    ◎定期的な健康診断
    これも人間同様ですが老齢になればなるほど、いろんな病気に罹り易くなりますから、早期発見 早期治療を目指して定期的に病院で健康診断を受けられる事をおすすめします。(当院ではペットドックを実施しております。一日お預かりしてかなり細かく調べますから出来れば一年に一回受診されると安心です。実際に病気になられたときの検査実費より料金がずっと安いですし、受信日から一年間の診察料が無料になるなどの特典もあります)

    以上、思いつく順に書き並べてみましたが、参考になる事があれば幸いです。具体的に困った事が起こったら、またご相談ください。お待ちしております。

ドッグフードについて


  • 「ドッグフードはその材料や添加物、製造過程等についての法律や規制がないので自分の犬には心配で与えられない。」と友人から言われて、これまでペットショップにすすめられたフードを与えていた事が不安になりました。大丈夫でしょうか?


    人間の食品は食品衛生法という法律に加えていくつもの規制により管理されています。家畜(牛、豚、家禽類など)の餌にも飼料管理法という法律や規制があります。
    ところが、ドッグフードを含めたペットフードには、そのような法律や規制がありません。ですから、材料選びから製造工程、添加物の有無、品質管理等については、各フードメーカーの良心に期待するしかありません。成分表示にしても義務付けられているわけでもないし各個人で調査できませんから現在の所信用するしかありません。但し、法律や規制があるにもかかわらず、「日本ハム」や「雪印」といった日本を代表する企業が行った国民の信頼への裏切り行為や、法律で禁止されて混入するはずのない肉骨粉により日本でも狂牛病が発生した事実を考え合わせると、何の制約も無いペットフードについて必要以上に大きな心配される方がおられても致し方ないかもしれません。
    更に先日、「アメリカの某メーカーの製品により、犬が被害を受けた」という記事が雑誌に掲載されて不安を増大された方もいらっしゃるかもしれません。このメーカーのフードは当院でも扱っていますが、現在の所、科学的で確実な根拠に乏しいと判断しており、今後の展開については注目していきます。
    さて、最初にペットフードについての不安な面について長々と書きましたが、犬に与える食餌としては、やはり信頼できるメーカーのフードを選択される事をおすすめします。
    理由は、飼い主さんが毎日自分のペットの適切な食餌を作ることは、技術的にも、経済的にも、労力的にも非常に難しいと思うからです。すごく勉強して、努力されても結局は時間と手間がかかり、高くついて、その上ペットの健康面で望ましくない食事作りに挫折された方を少なからず存じあげているからです。
    勿論、獣医師からみてお奨めできないメーカー多いので、かかりつけの病院の先生と相談されて、そのペットの現状に一番マッチするフードを選ばれる事が最善だと私は思います。


  • 毎日同じフードでは愛犬(シーズー、3歳)が可哀想なので、休日には愛情を込めた手作りのフードを与えようと思って、レシピ本を買い求めたのですが、先生から 与えてはいけない食材として教わったキャベツと牛乳を使った料理(ロールキャベツ)が掲載されていました。この本は信用できませんか?


    ご質問頂いた文章の中で、気になった四つのポイントに対して、まずお答え致します。
    まず一つ目は、このコーナーでこれまでにも何度が述べてきましたが、犬に毎日同じフードを与える事は決して可哀想な事ではないという事です。その犬の年齢や体調に適合したフードを、決まった時間に適量与えるのであれば、犬は肉体的にも精神的にも健康になり、飼い主さんも自分で考えて作る手間と無駄な経費が省けて、とても幸せな事だと思います。複数のフードにより 複数の味を覚えると、与えられたフードに対して「もっと好きな味のフードがあるのに。」とか「もっと美味しいフードを食べてみたい」と言った不満を持ち、食べ残したりするようになります。その為に、飼い主さんが どんどん塩分や油分が多く 栄養素の偏った 健康に望ましくないフードへ切り替えていかれるケースをたくさん見ていますが、それは犬にとって不幸な事だと私は思います。
    二つ目は「愛情のこもった 手作りのドッグフード」は、飼い主さんの自己満足度は高いでしょうが、犬の現状に適したフードを作るのは至難の業であり ましてやそれを継続する事は尚更困難だと思いますから、おすすめ出来ません。
    三つ目に、その食材が犬にとって望ましくない理由を理解して頂きたいという事です。キャベツは塩分含量が多いので(人間にとっては問題になりませんが、犬にとっては 特に心臓に異常がある場合、血圧を上昇させますから問題です)与えないでください。牛乳は下痢する場合が多い事は、御存知の方も多いと思いますが、下痢をしなければ与えてもよいとも言えません。勿論牛乳は良質のタンパク質やカルシウムに富み、人間にとっても健康な犬にとっても優れた食材だと思います。ところが、膀胱炎などの病気で血液中のタンパク質分解産物(尿素窒素、クレアチニン、アンモニア等)濃度が高い時には摂取してはならない食材となります。犬の場合、美味しい牛乳を飲み慣れていると病気のときだけ禁止する事が難しい場合が多いので健康なときから牛乳をおすすめできない訳です。
    四つ目は、人から聞いた話しであれ、新聞や雑誌、書物、テレビやラジオ、インターネットなど等から得られた情報であれ、それを鵜呑みにはしないで頂きたいという事です。私が飼い主さんとお話しするときや、このホームページ内で述べている事は、自分の経験や勉強した事に基づいて「受け取られる方に少しでもプラスになる事があれば」という気持ちで表現しています。けれどもそれは、あくまでも私の個人的な意見ですから、曖昧な描写や、矛盾、間違い等多々あります。ですから、私の意見もちょっとした参考にして頂ければ幸いです。いろんな情報から総合的に判断されれば、間違いは少なくなると思います。
    最後に、購入されたレシピ本については、私がこれまでに述べた事やその他の情報から、御自分で判断してくださる事を期待いたします。


  • 生後2週間位の子犬を拾って、育てる事になりましたが、犬を飼った経験が無いので、どのようにミルクやフードを与えればよいのか分かりません。基本的な手順を教えて下さい。


    初めての犬の子育ては、不安やとまどいを伴うでしょうが、その成長の過程ではたくさんの驚きや感動もえられると思いますから頑張ってください。犬の食事についての大まかなスケジュールは以下のようになります。

    1)授乳期  生後約6週目までで、母乳若しくは代用乳を与えます。牛乳は下痢を起こす場合があり、栄養のバランスもマッチしませんから、必ず犬用のミルクを買い求めて、指示どうりに作り、与えてください。
    2)離乳期  生後6~8週目位で 乳歯が生えてきますので、離乳食を与えます。離乳食は色々販売されていますが、幼犬用フードを犬用ミルクで粥状にして与えた方が、幼犬用フードへの移行がスムーズにすすむと思います。一週間から十日位で、幼犬用缶詰若しくはドライフードを湯でふやかした物へ変えてゆきましょう。
    3)幼犬用フード期  生後2ヶ月から12ヶ月位のじきです。 最初はドライフードはふやかして与えますが、1~2週間で徐々に ふやかさない状態に移行しましょう。食事の回数は、生後3ヶ月までは4回、6ヶ月までは3回、以降は2回に減らしていきます。缶詰でもドライフードでも、同メーカーの同タイプなら内容は同じですから、好みのタイプを与えてください。尚、生後一年を過ぎたら成犬用フードに切り替えますが、同メーカーのフードでも幼犬用より成犬用の方が嗜好性では劣ります。ですから、いきなりではなくて幼犬用に少しずつ成犬用を混ぜてならしていきましょう。
    4)成犬用フード期  生後1~5、6歳までは、一日1~2回、適量を与えてください。適量と言うのは、その犬が適正な体重を維持できる量です。同じ種類の同じ体重の犬でも、運動量等が異なれば、フードの適量は異なるかもしれませんから、注意しましょう。
    5)老犬用フード期  6、7歳以降は、健康上問題が無ければ、成犬用から老犬用を加えて切り替えていきましょう。この位の年齢になると例えば心臓が悪くなりその為の処方食を与えなければならなくなる場合もありますから、その時は獣医師の指示に従ってください。

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