よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

ドッグフードの品質


  • 人間の食物で原材料や産地の偽装が相次いでいますが、ドッグフードの袋に表記されている原材料や保証分析値は信用してもいいのでしょうか?


    関西の人間なら誰もが一度は食事をしてみたいと憧れていた「吉兆」というお店がお客さんの信頼を裏切っていました。少し前なら、雪印や日本ハム、不二家そして歴史のある赤福や世界中何処にでもあるマクドナルドといった誰もが知っていて少なくとも何度かは口にした事のある食品メーカーが消費者に嘘をついていました。
    現在の所、人間の食物よりも多少は軽く考えられてもしょうがないのかもしれない立場のペットフードメーカーに対して飼い主さんがより一層の不安や疑問を持たれるのは当然かもしれません。
    私に限らず普通の開業獣医師は正直申し上げてペットフードメーカーの方たちと直接のお付き合いは殆どないと思います。病院で扱っている一般食(ペットショップ等の一般のお店でも販売しているフード)にしても処方食(病気の治療や予防を目的とする動物病院でしか販売していないフード)にしても薬品を仕入れている問屋さんから購入するからです。
    ただし、処方食については新製品が発売された時などにフードの説明を兼ねた講演会が開かれたり、病院に簡単な勉強会のような形で出向いてきていただいて直接説明を受けたりする事があります。講師は獣医師さんなので製品についてやフードについての私達が普段から抱えている疑問にごく初歩的なことからかなり専門的なことまで教えてもらったりする事もあります。
    その様な機会はそれほど多くはありませんが直接のお付き合いのあるメーカーについてはやはり他のフードメーカーよりも信頼をおいてしまいます。従って、当院で処方食として扱っているフードメーカーは限られています。
    一般食についても飼い主さんにおすすめする、つまり私が信頼をおいているフードメーカーは「ヒルズ」「アイムス」「プロプラン」の三社です。申し訳ないけれどそれ以外のメーカーは基本的に飼い主さんにおすすめしません。(これはあくまでも私がこれまでの乏しい経験や先輩方からの意見を参考にしたうえでの判断ですのであしからず)
    勿論この三社にしてもこれまでにも消費者レベルでのトラブルが全くなかったわけではないですし今後も何らかのトラブルが発生する可能性は否定できませんので参考にしていただければ幸いです。
    尚、フードの保証分析値は正直言って私もそんなに信用していません。理由はそのメーカーにとって都合よく表示する事(保存料等含まれているものを省略する事や実際には含まれていない成分を含まれているかのように表示する事)が割と簡単に出来るという話を聞いたことがあるからです。賞味期限についても申し上げましたが、あまり細かい数値やデーターに振り回されないで飼い主さんが冷静に対応される事を期待します。


  • 賞味期限を過ぎてしまったドッグフードでも、人間より嗅覚の優れた犬が普通に食べれば安全であるという話を聞きましたが、本当ですか?


    賞味期限とは、フードメーカーが独自で決定した未開封で定法で保存した場合のフードの品質を保証する期限です。その期限内ならドッグフードとして安心して犬に与えられる品質をメーカーが保証するという意味であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
    ですから、期限内であっても保存方法に問題があったり、フードをつくる段階で何らかのトラブルがあったりして、期限内にフードとしての品質を保てなくなる可能性が全くない訳ではないのです。だから期限内であっても、飼い主さんがフードを与える時に自分の視覚や嗅覚、触覚を働かせて何時もと変わりないことを確認されるべきだと思います。
    尚、一食分ずつ小分け包装していないドライフードの場合、開封した時点で賞味期限の定義からは逸脱するわけですから、賞味期限はあくまでも目安にしか過ぎなくなることをしっかりと認識しておきましょう。
    逆に、期限が過ぎたからと言ってフードが直ちに変質して不適格になるという意味でもありません。ですから、その期限を過ぎてもある程度の期間はフードとして使用できるかもしれませんが、それはケースバイケースですから、一概に論じられません。
    要するに、賞味期限と言う言葉の意味する所を過大評価せずに現実的に理解してそんなものにあまり振り回されずに生活して頂きたいのです。人間の食べ物が賞味期限を過ぎた場合を考えてみましょう。賞味期限を鵜呑みにしてしまう人なら何でもかんでも直ぐに処分してしまうかもしれませんし、自分の五感で調べてみて大丈夫と判断したら慎重に食べる人もいるでしょう。賞味期限なんて全く気にしないでムシャムシャ食べる人もいるかもしれません。うっかり品質の劣化したものを食べて嘔吐や下痢といった被害を受けるかもしれませんが一度その様な経験をすればより正確に食べてよいか悪いかの判断が出来るようになるかもしれません。動物相手とはいえ医療に携わるものがこの様な発言をするのは不謹慎かもしれませんが、何を信用してよいか判断の難しい現在、頼れるのは実践的な知識や経験に基づく知恵だと思います。
    ドッグフードが賞味期限を過ぎてしまった場合でも同様ではないでしょうか。まずは飼い主さんが調べてみて大丈夫と判断したら慎重にペットに与えて様子をみてもいいのではないかと思います。質問にあるとおり犬は優れた嗅覚を持ちますから確かに人間よりもフードの品質の劣化をより正確に感じ取る事が出来るかもしれません。但し、あくまで犬は犬ですから、品質の劣化を感知しても食欲を優先してしまうかもしれません。ですから、普段と同じ様に食べればまず大丈夫でしょうが少しでも普段と異なる反応を示したら廃棄される事が望ましいのかもしれません。
    獣医師の立場としては賞味期限を過ぎたフードは直ぐに廃棄する事をおすすめすべきかもしれません。でも、犬にも食べてよいものか悪いものかの判断する知恵は必要だと思います。
    例えば、朝与えたフードが普段は直ぐに食べきるのにたまたま残って夕方には腐敗していたようなケースを想定してみましょう。安全なフードしか食べた事がなければ何時もの器にはいっている何時ものフードですから何の疑問持たずにそのまま食べてしまって中毒を起こすかもしれません。でも、品質がいくらか劣化したフードと対面した事がある犬なら躊躇して食べる事を断念するかもしれません。
    こんな事はあくまでも仮定の話ですが、犬も色んな経験を積む事によって色んな知恵を身に付けて成長するのではないでしょうか。
    以上は私の個人的な意見ですから、ある程度賛同していただける方もいらっしゃるかもしれませんし、全く理解して頂けない方も多いと思います。別に自分の考え方を偉そうに押し付ける気持ちはありませんが、大事なペットでもあまり過保護に育てないで多少は危険を伴うかもしれないことを経験した方が逞しくて賢い動物に成長するように思います。


  • 人間の食べ物で、賞味期限についての不正が次々に起こっていますが、ドッグフードに記載されている賞味期限は信頼できますか?


    人間の世の中で 生きていくうえで一番根本的な問題である食物について われわれ庶民の信頼を裏切るような出来事が次々に起こっています。考えようによっては 人間の食物ですら信頼していいのか判断が難しくなっている昨今、ドッグフードの品質について飼い主さんが不安を持たれるのは当然かもしれません。只、私は一介の開業獣医師に過ぎませんから、ペットフードメーカーとは全く関わり合いのない立場です。ですからペットフードメーカーについてどの程度信頼できるかと問われても正直申し上げて正確なことは分かりません。

    勿論私も人間の食品については自分が直接関係することなのである程度は勉強しましたし、これまでの仕事の関係で一般の飼い主さんよりはペットフードについての知識がありますのでそれらを総合してわかる範囲でお答えします。
    まず、「賞味期限」と言う言葉を理解する為に、その定義を示します。
    「賞味期限とは、容器包装を開かれていない製品が表示された方法で保存された場合に製品としての品質を十分に保持できる期限を示す年月日の事」少し解り易い表現にすると、「缶詰やドライタイプのドッグフードを 開封しない状態で 直射日光の当たらない風通しの良い場所に保管しておくならば、ドッグフードとして安心して犬に与えられる期限を示す年月日」位になると思います。この賞味期限は、缶詰やドライフードといった形態についてそれぞれに 監督するお役所が定めている訳でないし、こういうものならこれだけと定めた法律が存在する訳でもありません。ドッグフードメーカーの団体が経験に基づいて、若しくは研究所などが実験に基づいて一律に設定している訳でもありません。そのフードを製造したメーカーが独自の判断で自由に決めることが出来ます。各メーカーが独自に実験したり、それまでの経験や情報に基づいて自らの信用を賭けて決定するものですから、消費者としてはそれなりに信頼するしかないと思います。尚、勘違いされているケースが多いのは、賞味期限は開封しない状態での品質を保証する期間ですから、開封してからは賞味期限より前に何か異常が見つかってもフードメーカーに責任は問えませんし 飼い主さんが自分の責任で判断して与えるかどうか決めてください。

犬のグルーミング


  • アメリカンコッカー(7歳、雄、去勢済み)が、若い頃から患っている外耳炎が治らず困っています。耳の穴に生えている毛をこまめに抜くように病院から指示されましたので、犬用の毛抜きを用意して試してみましたが、嫌がって上手くいきません。上手に毛を抜く方法はありませんか?


    コッカースパニエルは、耳が垂れていて内側までびっしりと毛が生えていますから、耳の穴の風通しが悪くて、外耳炎等の耳の病気の多い犬種です。特に体質的に毛深い犬の場合、耳の穴の中まで毛が密集していたりして、適切な治療を施して一旦症状が無くなっても、直ぐに再発するケースは当院の患者さんにもいらっしゃいますので、正直なところ私も手を焼いています。
    解決策と言うより、少しでも状態を改善する為の方策としては、とにかく耳の穴の換気をよくして、少しでも乾燥させるように努める事で、外耳炎の原因である細菌やカビの増殖しにくい環境を作ることです。具体的には、定期的に(治療中は出来れば週に一回位)耳の内側の毛を刈り込み、穴に生えている毛を除去する事です。耳の穴の毛の除去は健康な状態なら飼い主さんにも出来るかもしれませんが、治療の必要な状況では痛みを伴う為嫌がって難しいでしょうから、無理をせず病院に任せましょう。そして、飼い主さんは毎日の点耳薬の効果的な投与に頑張りましょう。
    以上の事をある程度継続されれば一旦は、外耳炎の症状(痒み、腫れ、耳垢による汚れ、匂い等)が、殆ど無くなると思います。とは言っても、耳の穴の奥の外耳炎を起こしていた細菌やカビを根絶やしに出来たわけではなくて、症状が現われない程度に減少させたに過ぎません。ですから、細菌やカビが増殖する条件さえ揃えば、いつでも再発する可能性はあります。ですから、一旦症状が治まっても、その状態を少しでも長く維持する為に毛の刈り込みと穴の毛の除去を定期的に行う事が望ましいと思います。毛を刈る間隔や毛抜きの使い方、犬の保定の仕方等具体的な事は病院に相談してください。丁寧に指導して貰えない様なら、別の病院を探しましょう。きっと直ぐに見つかるでしょう。


  • 短毛種なら毛の手入れが必要ないと思って、柴犬(3ヶ月、雄)を飼い始めましたが、ワクチンを射ちに行ったときに 病院で毎日のブラッシングと月一回位のシャンプーをすすめられました。手入れをしないと、何か不都合がありますか?


    柴犬などの短毛種は、ポメラニアンやゴールデン等の長毛種、マルチーズやプードル等の人間と同様に毛が伸び続けて定期的なカットは必要な種類に比べると、手入れにかかる労力が少ないかもしれませんが、毎日のブラッシングと定期的なシャンプーは、皮膚や毛を清潔にして健康を保つ為に、必要ですから、是非頑張ってください。更に、飼い主さんが犬にブラッシングとシャンプーをしてあげる事には、他にもいくつかのメリットがあります。まず、飼い主さんと犬のスキンシップをはかれる事です。毎日決まった時間、例えば散歩や食事の後等に、ほんの数分でもいいですから、全身を触りながらブラッシングしましょう。犬と触れ合う事で、心の交流も出来ますし、もし多少嫌がったとしても、辛抱する事を覚えさせる躾の良い機会になるでしょう。全身を触ってあげる事で、例えば気付きにくい小さな外傷やトゲ そしてノミ、ダニ等の寄生虫、将来腫瘍などになるかもしれない皮膚の異常などに気付いてあげられるかもしれません。そして、飼い主さんが想像している以上に、ブラッシングは毛のもつれをとかすだけはなくて、埃や汚れを落としますから、犬小屋や家の中を清潔に保てます。人間の頭髪が一日に相当数抜け落ちる事が御存知だと思いますが、犬はその何倍も全身から抜け落ちます。特に冬毛と夏毛の生え変わる時期には想像以上に多くの毛が抜けて、残っている毛の間に絡んでいますから、その時期には毎日頑張って抜け毛の除去に努めてあげてください。シャンプーは、念入りのブラッシングから始めて、洗い、すすいで、きちんと乾燥させるまで相当の時間がかかりますが、毎日のブラッシングと同様のメリット即ち、スキンシップや躾、そして異常の有無の確認等が出来ます。柴犬の場合,注意して頂きたいのはシャンプーを始める前に念入りにブラッシングをする事です。既に抜けている毛の除去ともつれをほぐしてから洗い始めましょう。もつれたままで洗っても しっかり汚れが落ちませんし、毛が十分に乾燥しにくいので直ぐ嫌な匂いが発生します。シャンプーする時の注意点としては、犬も人間と同様に、例えば脇の下とか股間等が特に汚れていますから、念入りに洗いましょう。尚、シャンプーとすすぎは2回繰り返しますと、汚れの落ち方が断然違います。乾燥は人間用のドライヤーでかまいませんが、表面的に乾いているように見えても、毛の根元の部分に水分が残っていますから、櫛で毛の根元まで熱風を送って、しっかりと乾かしましょう。以上の様に表現しますと、すごく大変な作業に思えるかもしれませんが、犬との親密な関係を作り上げる為には、それなりの努力が必要だと思います。シャンプーについてはペット美容室等に頼まれてもいいでしょうが、毎日のブラッシングは是非出来る範囲で結構ですから、飼い主さん御自身で取り組んでみてください。


  • シェルティ(3歳、雌、避妊済み)を飼っていますが、毛がパサパサでフケが多くて痒がるので、毎日全身をブラッシングし、週に一回丁寧に薬用シャンプーで洗っています。病院でアレルギーと診断され半年ほど治療しましたが、治りませんでした。これから先、どうしてあげたらよいでしょう?


    飼い主さんのペットを思う気持ちがひしひしと伝わってくるご質問ですが、ひょっとすると飼い主さんのあまりに一生懸命な努力が逆効果を生んでいるのかもしれません。実際に診察していないので一般論的なお答えしか出来ませんが、週に一回のシャンプーは間隔が短すぎて、健康な犬でも毛がパサパサになり フケがたくさん発生するかもしれません。毎日のブラッシングもそのやり方や皮膚と毛の状態、もつれ具合等によりますが、不適切な場合は返って皮膚や毛にダメージを与えて 痒ゆみの原因となる場合もあります。先ず、おすすめしたいのは、少なくとも二つ以上の病院で診察してもらって、グルーミングについてのアドバイスを頂き、貴方の犬の皮膚、毛の状態にあった手入れの方法を見つけましょう。例えば、シャンプーにしても種類はたくさんありますから体質に合う物を見つけるのには根気がいると思います。ブラッシングにしても、使う道具を選び、その使い方や力加減をトリマーさん相談し助言を受けながら 勉強してください。大変だと思いますが、ペットに対してすごい熱意をお持ちの方のようですから、きっと上手に出来るようになられると思います。
    「アレルギーの治療をしたが治らなかった。」と表現されていますので、アレルギー反応に対する治療について。
    動物の身体では異物が侵入すると その異物を無害化して体外へ排出する免疫反応が起こりますが、異物により感作を受けて体質が変化してしまうと、本来守ってくれるはずの免疫反応により 身体にとって有害な症状を引き起こして自分自身が被害を受ける場合があり、これをアレルギー反応と言います。さて、犬の痒みを伴うアレルギー反応の治療とは、本来 反応を起こさない体質に戻す根治療法が理想的ですが、現実的に難しいので、まずは現在ある痒みを和らげる対症療法を行いながら、原因物質を見つけ出して 生活の中からその物質を排除します。例えば食物の中の一種であれば、その食材を含まないフードに切り替えればよいし、特定の金属や繊維との接触で反応するならその物質を身辺から遠ざけましょう。原因物質をきちんと排除できれば アレルギー反応は起こりませんから、痒み等の症状も無くなる筈です。
    たった6行でアレルギーの治療について、さらっと説明しましたが、実は原因物質の特定が、飼い主さんの全面的な協力が不可欠の非常に難しくて 時間のかかる作業なのです。本来は 例えば、○○と言う原因物質が特定できて初めて「○○によるアレルギー性皮膚炎」等と診断を下すべきなのですが、飼い主さんは直ぐに診断名を求められる場合が多いので、原因物質を特定できていない段階で とりあえず「アレルギーによる皮膚病」等と表現してしまう獣医師が結構いるみたいです。そして、原因物質を探しているうちに、症状が改善されない事を理由に、治療が途中で終わってしまう事が多いように思います。
    とにかく、皮膚病には特異的で診断しやすい病気もありますが、症状が類似していて診断を下すのに時間のかかる場合が多いので、別の問いで取上げた「インフォームド・コンセント」を実践すべく、じっくりと病状や治療方針についての説明を受けて、理解し納得しながら、焦らずに治療をすすめていかれる事を期待します。

愛犬との旅行


  • ゴールデンウィークに愛犬と四泊五日の予定で九州の実家へ帰省しますが、何か犬の為に特に準備や注意する事があれば教えてください?


    まず飼い主さんにとっても犬にとっても、余裕のある無理のない旅行のスケジュールを組みましょう。そして、余裕を持ってかかりつけの動物病院で健康診断を受けておきましょう。飼い主さんの気付いていない病気や怪我が見つかるかもしれませんから、もし見つかれば、勿論旅行の前に治療を済ませて安心して出かけましょう。
    もし狂犬病及び混合ワクチンを一年以内に接種されていなければ、良い機会ですから是非接種される事をおすすめします。繰り返し申し上げますが、旅先ではどの様な状況でどの様な犬と接触するかわかりませんから、予想外のトラブルに巻き込まれるかもしれませんし、体力や免疫力の低下により伝染病をもらう可能性は普段よりずっと高くなると予想されます。
    宿泊するのがご実家であれば、親戚の方に頼んでゴールデンウィーク中も緊急の場合対応してくれる動物病院を見つけてもらっておけば安心です。いざという時に探してもなかなか見つかりません。
    もしも、旅先で病院にかかる場合、初めての先生に診てもらうわけですから、犬の事を要領よく的確に知って貰う為に、犬の情報(種類、生年月日、性別、予防歴、手術歴、治療歴、特徴等)を予め紙に書いておいてみてもらえばスムーズに診察が始まるかもしれません。
    最後にもう一度申し上げますが、飼い主さんとの旅行は犬にとっても凄く楽しい出来事ですが、だからこそ犬にとっては精神的にも肉体的にも大きなストレスがかかります。ですから、くれぐれも余裕のある楽なスケジュールで旅行を楽しんでください。


  • 家族でよくキャンプに出かけるのですが、我家の愛犬は車酔いがひどくて、いつもお留守番です。何とか連れて行ってあげたいのですが、よい方法はありませんか?(市販されている酔い止め薬を試してみましたが効果はありませんでした)

    乗り物酔いは人間でお困りの方が少なからずいらっしゃるようですが、犬でも割と頻繁に相談を受けます。車の中は、狭くて密閉された空間ですし、特殊な匂いや音、振動等 他にない独特の気配が充満していますから、極端にデリケートな犬の場合 停車している車の中にいるだけでも五分位で嘔吐するケースもありました。対策としては、普段犬がいる場所を車中の気配に近づける事、車に慣れるトレーニングをする事、有効な酔い止め薬を用いる事、等があると思います。まず、普段犬がいる場所は室内であれ、玄関先であれ、庭であれ車中の雰囲気に近づけてみましょう。例えば、車に置いてある芳香剤を、使ってみましょう。そして、普段車で聞いている音楽やラジオの放送を出来るだけ多くの時間聞かせてみましょう。出来たら車を運転しているときに車中で聞こえるエンジン音やブレーキ音も録音して、流してみるのもいいかもしれません。普段から車中と似た匂いをかぎ、音楽や音と接していると 実際に車に乗った際の緊張感が和らぐでしょう。次に、徐々に実際に車に接して慣れていきましょう。最初は一日に一回 お散歩に出かける前にでも、車のドアを開けたままの状態で座席にでも乗せてみましょう。例えば運動靴の紐を結び直したりして、ある程度の時間車の座席に乗ることに慣れましょう。犬が降りたがったら直ぐに降ろしてあげてかまいません。毎日根気よく続けていれば、徐々に座席に乗ることに慣れてきますから、ある程度馴染んだら、飼い主さんも一緒に乗ってドアを閉めましょう。窓を開けておけば開放感がありますから、ドアが閉まってもそれ程抵抗はないでしょう。出来たらいつも聞かせている音楽を一曲位聞き終るまで車中に留まりましょう。犬が車に慣れるに従って、窓を閉める、続いてエンジンをかけてみる等少しずつ、車が走行している状態に近づけましょう。その状態で犬がある程度寛げるようになったら、車を少しずつ動かしてみましょう。徐々に走行時間と距離を延ばしていきましょう。車の座席に乗せてみる所から、早い子なら二ヶ月位で、遅い子でも半年位である程度の車に乗っても平気になると思います。トレーニングしても、効果の現れない子もいます。そういう場合には 残念ながら酔い止めのお薬を使うしかありません。人間の風邪薬と同様で、ペットショップ等に市販されている薬は効果が弱いので、動物病院で出来たら診察を受けた上で、体調や必要に応じて薬を貰って下さい。但し、精神安定剤の様なお薬ですから、頻繁に使用する事は出来ませんし お薬の効果にも個体差が大きいので、用法、用量など病院の指示に従って 慎重に投与してください。


  • 愛犬と泊まれるホテルをさがしたら、狂犬病ワクチンの接種済を条件とすると事、混合ワクチンの接種済を条件とする所、特にその様な条件のない所が見つかりました。うちの子は子犬のときに二回混合ワクチンを接種しましたが、その以外は何もしていません。どの様な条件のホテルが便利で安心でしょう?


    正直申し上げて私はペット同伴で旅行したり、宿泊した経験がありませんので、どのような条件の所が安心か利用客としての意見を申し上げる資格はありませんが、飼い主さんから そんな施設についての様々な情報が入ってきますので 獣医師としての経験と知識を合わせて 解かる範囲でお答えしたいと思います。
    愛犬と泊まれるホテルに限らず、ペットホテルや、愛犬と飼い主さんが一緒に遊べる施設等でも予防注射の接種済を条件としている場所は少なくありません。そこで、まず犬の予防注射の意味合いを もう一度考えてみましょう。狂犬病ワクチンは、犬から人間にも感染して 発病すれば100パーセント死亡する恐ろしい病気を予防する注射であり、接種する事が狂犬病予防法で飼い主さんに義務付けられています。義務を果たさないと、犬は拘留、処分されますし、飼い主さんには罰金が科される事が定められています。注射と同時に登録され鑑札が発行されますので、犬同士若しくは人間とのトラブルが発生したときにその重要性を痛感されるかもしれません。例えば 登録されていない犬が 登録されている犬に咬まれた場合、咬まれた犬は被害者であっても、登録されている犬の方が強い立場になりますから、治療費の請求は難しいでしょう。次に混合ワクチンですが、メーカーによって5~9種類の病気(ジステンパー、パルボウィルス感染症等)をまとめて予防する注射で、実際にかかる可能性のある病気を防ぐ為の、つまり人間と同じ意味の予防注射です。
    それでは、犬と飼い主さんが一緒に宿泊できる施設が なぜ予防注射について一定の条件を設定する場合が多いのか考えてみましょう。犬を預かる側の立場としてまず考える事は、犬を健康な状態で預かり、無事にそのまま飼い主さんに返す事です。宿泊施設内では、初対面の人間や犬達が接触する機会が少なからずあると思いますが、犬も人間同様に、或いは人間以上に興奮しているかもしれませんから、何らかのトラブルが起こる危険性は低くないと思います。万が一 何かの事故が起きたとしても、狂犬病ワクチン接種の必要性を理解している飼い主さんどうしであれば トラブルを最小限に食い止める事が出来るでしょう。人間もそうですが、犬にとっても旅行は、普段の生活とリズムも違うし 凄く刺激が多いので緊張状態が継続すると思います。飼い主さんと一緒に過ごせるので楽しくはあるけれど大きなストレスがかかり続けます。当然普段よりも体力や免疫力が低下しますから、伝染病にも罹り易くなるでしょう。ですから、普段以上に混合ワクチンによる免疫力の強化が重要になる訳です。
    以上の事から、犬を旅行に連れて行って一緒に宿泊して楽しい時間を過ごす為には、両方のワクチンをきちんと接種して出かけれることをおすすめします。そして宿泊施設としても、両方のワクチンの接種済みを条件とする所には、犬に対する責任感と病気に対する安心を重要視される飼い主さんとその飼い犬が集まる事が期待されますから、安心して宿泊できるのかもしれません。勿論その様な宿泊施設であろうと、どの様なトラブルが起こるか分かりませんから、慎重に行動される事が大事だと思います。最近はインターネットの掲示板などを利用して具体的な宿泊施設の名前をあげてアドバイスを求めると僅かの時間で かなりの数の体験談や他の施設の情報等が得られたりしますから、その様なサイトを利用してみるのも、情報収集には良いかもしれません。

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