10月30日 深夜に3件も急患が来られました

当院では 深夜の時間外での急患が平均して週に三件くらい来られます。同じ日に二件来られたことは何度かありましたが三件も来られたのは初めての出来事です。まあ時間外で対応する場合 時間外料金として一万円頂きますので 三件も診察させていただき有難いのが正直な気持ちです。

一件目は夜の十時ごろに 自分が飲むつもりの薬を足元に落としたところ その場にいた犬が飲んでしまったというお電話でした。飲んでしまった直後に電話をもらいましたし、一時間ぐらい前に晩御飯を食べたばかりという事だったので 催吐剤と用いて飲んだ薬を吐き出させるのが 一番簡単であり 確実な解決法だと判断したので 直ぐに来院してもらいました。

初診の患者だったので 簡単にカルテを作り 診察室で一通りの診察を素早く終わらせて 早速催吐剤を口から流し込みました。体重7キログラムのダックスフントでしたので10ミリリットルぐらい飲ませて様子をみました。しばらくしても嘔吐する気配がなかったので 更に5ミリリットル飲ませると ようやく嘔吐が始まりました。晩御飯に食べた茶色のフードがふやけたものの中に 半分ぐらい融けた白い錠剤が確認できました。

晩御飯として食べた分のフードを殆ど戻したので 後から飲んだ薬が腸内に進み吸収される心配はないと判断しました。催吐剤による嘔吐が終了してから 脱水を起こさないように点滴を背中の皮下に流し込み ついでに胃が落ち着いて 明日の朝からご飯が食べられるように作用する薬を流し込みました。明日の朝には恐らく落ち着いて日常の生活に戻れると思います。飼い主さんには薬を飲むときには 足元に犬がいないことを確認してから 同じことを繰り返さないようにお願いしてお帰り頂きました。

治療が終わって片づけをして二階に上がり晩御飯を食べ始めた頃に 時計は十二時を回っていましたが また電話が鳴りました。犬が抱っこしている所から床に飛び降りた時に前足の爪を折ってしまい 出血が止まらないとの事でしたので またすぐに来院してもらう事になりました。急いで晩御飯をかけ込んでから 病院に下りました。

来院された時には 一応出血は収まりつつありましたが 出血を抑えようとしてか足首の所をひもできつく縛ってありました。素人考えによると足首を縛ると出血量が少なくなるように思われるのかもしれませんが 中途半端に縛っても 動脈の血流の勢いは強いので足先に血液はどんどん流れ込み静脈を通って心臓に戻ろうとする血液がせき止められて かえって出血量を増やしてしまう場合がありますから 例え出血していても体幹に近い所で縛るのは慎重にされた方が賢明だと思います。

爪と指の状況を観察すると 爪が完全に根元から無くなっていました。血管を収縮させて止血する薬を塗って様子をみていると 殆ど出血が止まってくれました。傷口の消毒をするために 足先の毛をバリカンで刈りました。相当に痛がり、嫌がりましたので 先ず首にエリザベスカラーを装着しました。続いて飼い主さんに手伝ってもらって なんとか押さえつけて 足先の毛を刈り傷口を消毒して抗生剤の軟膏を塗布する処置を終えました。暴れたので また少し出血が始まってしまったので 抗生剤と止血剤を注射しました。

傷口を消毒してもらい抗生剤の軟膏を塗ってもらうのでその為の薬と 内服薬で抗生剤と消炎剤を出しました。10キロ前後の雑種でしたが 怖がりな子だったので かなりてこずりました。明日からの消毒も大変かもしれませんが 飼い主さんに頑張って頂くしかありません。爪については かなり根っこの部分から無くなっていましたから ひょっとしたら爪は再生してくれないのかもしれませんが 爪が無くても生活に支障はないでしょう。

治療が終わって二階に戻ると二時近かったので 明日も仕事がありますから直ぐに眠ろうとしました。その時にまた電話が鳴りました。さすがにこの電話はパスしようかとも思いましたが こんな時間にうちの病院を頼って電話していただいているのだからと思って受話器を取りました。昨日からおしっこが出ていない猫が嘔吐を繰り返し 痙攣し始めたとの事でしたので 緊急事態ですから直ぐに来院してもらいました。

普通おしっこが詰まってしまうのは 体の構造上雄が多いのですが 来院されたのは雌でした。お腹を触ると膀胱がパンパンに膨らんでいて うめくように泣き続けていました。膀胱を圧迫してみたところぽたぽたとおしっこが漏れました。雌の場合尿道が太くて短いので 上手に膀胱を圧迫してやると 尿道に詰まっているものを排除できておしっこが出るようになる場合があります。慎重に膀胱を捕まえて全体を絞り込むように圧迫すると まっかっかになったおしっこがぼたぽたと流れ落ちて やがて糸のように放物線を描いて出始めました。さらに圧迫してやると 糸のように細かったおしっこがだんだん太くしっかりと出るようになってきました。最後には圧迫しなくても本人の意思でおしっこが出るようになってくれました。

溜まりにたまっていたおしっこがやっと出たので 当の猫ちゃんもホッとした様子でぐったりとしています。とりあえずおしっこが詰まって出ない状態から脱出できましたが かなり心配な状態なので 取り敢えず出てきたおしっこと 採血して血液の検査をしました、尿素窒素とクレアチニンの値が正常値の三~四倍でかなり危険な状態でした。おしっこはふつう三日でなければ死にますがこの子は丸二日出ていなかったので死ぬ一歩手前まで行っていたと言えると思います。おしっこが出てくれましたからは痙攣や嘔吐は鎮まると思います。

取り敢えず自力で排尿できるかどうか確認するために一晩入院してもらう事になりました。点滴をたっぷりと皮下に流し込み、おしっこがスムーズに出るお薬を多めに混注しました。時分の意志でおしっこが出るようになれば一安心ですが 全身状態がかなり悪化していますから まだまだ要注意な状態ですが 後は明日の朝の状況で判断しようと思います。

さて時間は四時近くになっており もうあまり眠る時間はありませんが 朝になればまた病院の仕事を始めなければなりませんから 少しでも睡眠をとっておこうと布団に潜り込みました。いつもは目覚ましが鳴る前に置き出しますが 今朝はさすがに目覚ましのお世話になると思います。ではおやすみなさい。

 

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