10月5日 帰り路に 音色にたたずむ 秋の虫

だいぶ涼しくなってきました。夜病院のシャッターを閉めるために外に出ると 病院内よりも涼しいくらいに感じます。病院の閉め際に近所のスーパーに出かけての帰り道 草むらから聞こえてくる 秋の虫の心地よい鳴き声に 思わずたたずんでしまって 聞きほれてしまいましたので その情景を詠んでみました。私のこれまでの俳句作りの基本形は 上五の部分に とりあえずはその季節の季語を入れてしまって その後の中七と 下五の部分で気持ちや情景を描こうとするワンパターンでしたが 今回は思い切ってとはいっても 別にありがちな形ですが 季語を下五に持ってくる形にしてみました。俳句としていいのか悪いのかは 初心者である私には さっぱり見当がつきません。でも先月から参加している俳句同好会の月一回の句会に参加すれば 東京在住のお偉い先生に 見ていただいて 簡単な寸評がいただけるのだそうですので 提出してみて 評価していただこうと考えております。まだほんの始めたばっかりの未熟者ですから どんな句がよいと評価されるのか よいと評価される判断基準さえ まったく理解できておりません。

まあ俳句も たった十七文字と短いけれど 一つの文芸作品なのでしょうから あまり理屈にこだわっていても いいものができるわけはないのでしょうから 私なりの感性を自由に開放して その時にその場で受け止めたことを素直に表現していきたいと思っております。ただし俳句にもいくつかルールがあるのでその決まりごとは守っていかなければなりません。俳句には必ず季語を入れることが最低条件であることは ご存じの方も多いと思いますが 逆に一つの句に二つ以上の季語が入ってしまうのは 季重なりと言って 絶対に認められないことはないのだそうですが 出来たら避けるように心がけるべきだと教えてもらいました。

先月提出した句にも 季重なりのものがあって 先生に注意されてしまいました。
   「残暑とは 名のみの日差し 滝の汗」
という句です。私は 「残暑」という 季語を見つけましたので 季節としては 残暑と呼ばれる時期なのですが 昼間の暑さはまだまだ夏真っ盛りで 汗っかきの私は 滝のように汗をかいている という状況を詠みたくて作りました。ところが 「汗」という日常によく登場する言葉が これまた季語だったみたいで この句は季重なりになってしまっていたのだそうで 自分としては全く気付かぬうちにルール違反をしでかしていたようです。

そこで今月は 季重なりのルール違反だけは注意しようと心がけておりました。ところが苦労して作り上げた一句になんと三つの季語を入れてしまうという 季語だけで十七文字を一杯にしてしまうような 大失敗を犯してしまいました。
   「急冷に 蟄虫みなふし くしゃみする」
という一句です。蟄虫みなふし とは寒くなると 虫たちが土の穴の奥のほうへ避難してしまう という長ったらしくて みなふしも本来漢字なのですが 探しても見つからないぐらいに珍しい漢字ですから 知らない人は読めないでしょうし 意味も分からないだろうと思われる かなりマニアックな季語を見つけて 初心者にありがちな奇をてらったチョイスしてしまいました。急に寒くなってしまったので 虫たちは慌てて穴の奥に逃げ込むし 私は風邪をひいてしまい くしゃみをしています という状況を詠みたかっただけなのですが 急冷の冷が寒さを表す場合季語として認定されるのだそうですし くしゃみという言葉もやはり季語に含まれているのだそうです。私は急に寒くなった日のよくある一日を俳句にしてみたかっただけなのに なんと季語ばかりで一句を作ってしまいました。本当に俳句というものは 私からすれば 非常に制約の多い厄介な代物ですが まあだからこそ慎重に言葉を選んでたった十七文字の文芸作品を作り上げる作業が とても楽しく感じられますので これからも頑張っていこうと思います。

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