11月9日 不愉快なオバはんがやってきました

 午後の診察時間に患者さんが二三人やってきて治療が終わりひと段落したころに そのオバはんはやってきました。野良猫が目を怪我しているので薬を出してほしいとの要件でした。「これが一週間前の写真」、「これが昨日の写真」と携帯電話の画面で写真を見せられました。「今がどんな状態でどんな治療が必要か診断してくれ」と言われました携帯電話の小さな画面に全身が写っているピンボケです。とても目の状態を診断できる訳がありません。私が正直に診断できませんと答えると 「二枚も写真を見せたのに何故診断ができないのか」と 問われました。「あんたは本当に獣医か」とも問われました。「その小さな不鮮明な写真ではとても目の状態について自信を持ってお応えできることはありません」と答えました。しょうがないので口頭でその猫の目の状態について尋ねました。「多分一週間ぐらい前に喧嘩をして怪我をして 掻き毟ったのでひどくなったようだ」とオバはんは答えました。「掻き毟っているのなら まず掻き毟らないようにその猫にエリカラーを装着することが必要でしょう。その後目薬をかなり頻繁にさせば治るかもしれません」と私は答えました。「一日に少なくとも二十回以上目薬を差すことが必要だと思いますが それだけ面倒をみらえますか」と私が訪ねると「私は猫を飼ったことがないし 自宅も猫は飼えない。ラーメン屋さんの前に何時もいるから ラーメン屋さんに目薬を渡してさしてもらう」とオバはん答えました。
 私は呆れ果てて もう答えるのも面倒になり 「目薬を自分でさすつもりなら渡しましょうか」というと「自分では面倒を見れないと言っているやろ。写真を見て診断できないようなやぶ医者にはようはない」と言ってオバはんは出ていきました。若い頃なら「死ね糞婆」と大声で怒鳴っていたでしょうが かろうじて我慢しました。
 全く不愉快なオバはんでした。大体携帯電話の小さなピンボケ写真で正確な診断ができるわけがありません。もしそんな診断材料で自信を持って診断ができるとしたら 神様か大ぼら吹きでしょう。そんなもんで診断ができるのならわざわざ病院まで出かける人は殆どいなくなります。獣医師であることを疑われるような発言までされましたが 動物病院の看板を掲げている獣医師だからこそ 十分に診断できる材料のない場合 診断できないと答えることが誠意のある回答だと思うのですが 残念ながらこのオバはんには理解してもらえませんでした。そもそも動物病院で診断を仰ぐならそれ相当の費用が発生するのですがそのあたりをオバはんはどのように考えているのでしょう。無論野良猫に善意で治療を施したい方には 病院としてもそれなりに配慮はしますから 責任を持って面倒をみられると判断した人には殆ど無償で治療のお手伝いをさせて頂きます。
 このオバはんは 何時もラーメン屋さんの前で野良猫に餌を与えているらしいのですが この行為はその近辺で生活されている方々に非常に迷惑をかけています。動物は食事をすれば排便、排尿するのです。餌を与えている人たちは野良猫の窮地を救ってやっている英雄気取りで 自己満足に浸っているだけでしょうが 自分たちが与えた餌が排泄物となってそこかしこにばらまかれて そのご近所さんに迷惑をかけている事実をどのように受け止めているのでしょうか。
 オバはんは目薬をラーメン屋さんに預けてさしてもらうつもりでいますが ラーメン屋さんは飲食店であり 野良猫が集まるだけでも不衛生なイメージがあるのに 近所に排泄されて相当な被害を受けているはずですから 自分の代わりに目薬を差してあげてほしいと頼んでも了解してくれるはずがないでしょう。
 これだけ 独りよがりで 無責任で 自己中のオバはんとは久しぶりに会いました。最後にもう一度「死ね、くそばばあ」と書いて終わりにします。

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