11月10日 子供の頃 寒い日曜日の夜はすき焼きでした

 季節が冬になると 日曜日の夜にはやはりお鍋が多くなります。私が一番好きなお鍋料理は すき焼きでした。私は子供の頃 カレーなどに入っている塊のお肉が苦手でした。噛んでも噛んでも上手く飲み込めなくて大抵水と一緒に流し込んでいました。ですから うちで作るカレーはミンチ肉かスライスされた肉でした。すき焼きも勿論スライス肉が入っていますから 子供の頃から美味しくいただけました。
 日曜日の夕方 サザエさんが放送されるころにまず温めたすき焼き鍋に牛脂を塗ってお肉を焼き始めます。そこに砂糖や醤油を加えてぐつぐつ炊くとお肉のいい香りが立ち上ります。その後野菜や豆腐 イトゴンニャクなどを加えて 火が通ったら食べ始めます。溶き卵にお肉を浸して食べると 最高に美味しかったように思います。
 所ですき焼きの作り方は 地方によっても違うでしょうし 各家庭によっても微妙に違いがあるようです。私は自分の家の作り方にそれほどこだわりはないので よそのおうちで御馳走になったり、友人の下宿に集まりすき焼きパーティーをするたびに へえそんなつくり方がるのかと感心しました。まあ多少作り方に違いがあっても 美味しければいいので 他人のうちでは他人の作り方に全然抵抗はありませんでした。
 ただいつもちょっと不思議に思うのが追加のお肉を入れるときです。最初にお肉をしっかり焼いてからはじめる場合も 割り下を最初から鍋に入れて肉を焼かずにぐつぐつ炊きはじめるやり方にしても 追加のお肉を入れるときにはお鍋に肉を追加するスペースをる作るとそのままお肉を放り込みます。最初のこだわりは一体どこへ行ってしまったのでしょうか。
 以前に一度だけすき焼き専門店ですき焼きを頂いたことがあります。そのお店では お店の人が最初から出来上がりまでお客の見ている前ですき焼きを作ってくれます。逆に言うとお客さんには何にもさせてくれません。お客さんは食べるだけです。そのお店ではやはり最初にお肉をしっかり焼いてから 予め出来上がっている割り下を加えて野菜や豆腐を加えて 出来上がったらお客さんの溶き卵の入った器にどんどん放り込まれます。そして第一陣をすべて食べ終わってから お鍋をきれいにして もう一度お肉を焼き始めるところから第二陣が作られ やはり出来上がったらお客さんの器につぎ渡されます。どんどん食べないと器があふれそうになりますから 熱いのを我慢して頑張って食べました。勿論すごくおいしかったので別に苦痛ではなくて楽しい思い出です。
 私が一番好きなお鍋はすき焼きでしたが 作られる頻度が一番高かったのは両親が九州出身だからかもしれませんが 水炊きです。水炊きと言っても鶏肉の塊肉ではなくて 鶏肉のミンチにネギやしょうがを少し加えて卵を一個落としたものをよく練りこんで鶏団子を作りそこに 豆腐や白菜や春菊、エノキシメジなどのキノコ類を加えて こんぶだしのつゆでぐつぐつ炊いたお鍋が冬の定番でした。器に味ポンや柚子こしょうを入れて食べます。私の父はこのお鍋がいちばんすきなたべものらしくて 冬にはかなりの頻度で作られました。私は子供なのでポン酢もあまり好きじゃないしできたらすき焼きにしてほしかったのですが まあ正直言ってすき焼きは牛肉をたっぷりと食べるのでかなり費用が掛かるし 鶏ミンチと野菜、豆腐の水炊きの方がかなり安上がりなので 当時の私の家の経済的な事情も関係していたのかもしれません。まあ、水炊きを作っておけば日頃は口うるさくて文句の多い父親が上機嫌なので どうしても母親が水炊きをチョイスする機会が多かったのかもしれません。
 子供の頃には兎に角すき焼きのあの甘辛くてしつこい位の味が大好きでしたが この歳になると さすがにすき焼きは食べ始めは美味しいのだけれどしつこい味付けと肉の油濃さが 邪魔をしてすぐにお腹が一杯になります。若い頃にはすき焼きのお肉は幾らあっても足りないぐらいでしたが 今ではひとり100グラムもあれば十分です。正直味ポンのあっさりした味に柚子こしょうの風味の方が美味しく感じられる年齢になってしまいました。
 そういえば柚子こしょうと言う薬味は今では関西でも簡単に入手できますが 私が子供の頃には関西では入手できませんでした。ですから父親が九州に出張するとお土産に柚子こしょうを買っていました。それから、博多明太子も今ではどこでも売っていますが 私の子供時代には少なくとも関西では全く売っていませんでした。それだけ九州の文化が浸透してきたのかもしれません・
 所で 柚子こしょうという名前は原材料から考えると少しおかしいと思います。柚子こしょうの原材料はゆずの皮と青唐辛子、そして塩です。コショーは全く入っていません。ですから内容を分かりやすく表現するなら柚子こしょうではなくて柚子唐辛子の方が良いのではないかと思いますが まあこんなことが気になるのは私ぐらいのものだと思いますので 今日はこの辺で止めておきます。

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