12月14日 ネズミ捕りにかかってしまった雀が 無事に飛び立っていきました

先日 電話がかかってきて 家にネズミが出るので ベランダに大き目の粘着テープ型のネズミ捕りを仕掛けていた所 雀がかかってしまい 何とか保護したのだけれども 粘着物質が 体中に付着しているので どうしたらいいのか分からない と相談いただきましたので 取り敢えずは来院していただき 診察しました。雀はハトやカラスよりもずっとずっと小型の野鳥です。来院されるまでに小麦粉をかけてみたり 中性洗剤で洗ってみたりと いろいろな手段を試してみられたらしくて 保護された雀がかなり衰弱してしまって 体温も下がってしまっておりました。粘着物の付着している部分もほぼ体の全面一杯にありましたので それらを除去する処置をするにしても かなり時間がかかりそうに思いましたので 取り敢えずは雀の体力を回復させることを優先したほうが懸命であると判断して お預かりしてお帰り頂きました。
取り敢えずは 十分に暖かくて落ち着ける環境を用意してあげて そこに寝かしました。近所に住む釣りが趣味の友人に電話をかけて 釣りの餌用の小さめ餌として用いられる虫の類を届けてもらいました。届いたのはゴカイと言ってイソメよりは小さいのですが 小さな雀 それも体力が落ちている雀には 大きすぎるので 五ミリぐらいに刻んで ピンセットで口元に与えてみました。粘着テープにとらわれて 保護されてから 数時間が経過しているはずですから 相当に空腹だろうと予想していましたが ゴカイを刻んだ餌を口元に持ってこられても食べてくれるか心配でしたが よほど空腹だったらしくて 結構おいしそうに食べてくれました。体が温まり 空腹も癒されたみたいで そこそこ体力が回復してくれたみたいでしたので 外来の患者さんも一段落したみたいなので 粘着物の除去作業に取り掛かりました。粘着物を薬で羽から浮かび上がらせて ピンセットで少しずつ除去していきました。作業が終了するのに 二時間近くかかってしまいましたので またもや雀ちゃんがかなりしんどそうになってしまいましたので 暖かくて落ち着ける場所にゴカイを刻んだ餌をタップリと目の前に並べて朝まで様子を見るしかありません。何しろ野生の動物ですから 心配でも頻繁に私が手を出すよりも 本人の回復力に期待するしかないように思いました。今朝になって 生きててくれるか心配でしたが 鳥かごを覗くと 結構元気に止まり木にとまっておりました。ゴカイを入れたエサ入れも空っぽになっておりましたから すぐに追加のゴカイを入れると 喜んでついばんでおりました。
本来自然の中で生きている動物ですから 戻せる状態になれば 出来るだけ早く自然に戻してあげるのが賢明な判断だと思い手のひらにのせて 運動場に出ますと 青空を見て反射的に力一杯羽ばたいて 飛び立ち 全然こちらを振り返ってくれることなく 一目散に凄く元気に飛びだってしまいました。まあ私は 連れてこられた方が 別に飼い主さんではないので治療費を頂くわけにはいかないけれど 少なからぬ手間暇がかかる動物をお預かりするわけですから 某かの金額を頂いてお預かりしました。弱っている動物をお預かりした以上は 責任をもって介護して 元気になっていただくのが 動物病院の使命だと理解しておりますから 極当たり前の治療をさせていただき 元気になって飛び立ってくれたのですから 素直に喜べばいいだけなのでしょうが 一応縁もゆかりもない私が面倒をみて 元気になってくれたのでしょうから 飛び立つときに 別にありがとうの意志常時はなくてもいいけれど ちらっとでもこちらを振り向いてくれてもいいのじゃないかと 思ってしまいました。本当に 私は器の小さな人間です。お恥ずかしい。

ブログ一覧