4月13日 本日は喫茶店の日なのだそうです

1888年の本日 東京の上野に日本初のコーヒー店「可否茶館」が開店したことに因んでいるのだそうです。喫茶店によく通ったのは 一つ目の大学時代でした。授業は あまり熱心に受けておりませんでしたが サークル活動として 混声合唱団に混ぜてもらっておりましたので サークルの部室でたむろしていると 先輩に喫茶店に連れて行ってもらったものでした。気前のいい先輩なら コーヒー代を奢ってくれましたが 気前の良くない先輩の場合は 割り勘なので 当然かもしれませんが 自分の飲んだコーヒー代を支払わねばなりません。当時学生街にある喫茶店ですから コーヒー代も二百~三百円ぐらいでしたが それだけあれば 大学の食堂で 結構お腹いっぱい食べられましたので 自分でコーヒー代を出すのはかなりつらかったですが 先輩の話を聞きたいので 喜んで喫茶店に通っておりました。
コーヒー通の人は 一口飲めば そのコーヒーの豆の産地が言い当てられたりして 凄くカッコよく見えました。私も一時期 見るとサイホンを購入して 幾種類かの豆を買ってきて 自分で挽いてサイホンでコーヒーを入れて飲んでおりました。じっくりと味わって コーヒー豆の味の違いを見極めようと努力しましたが 私は生まれながらの味音痴みたいで ほんの数種類の豆の味の違いも区別ができませんでした。そのうち 私のような味音痴な人間が コーヒーを楽しむ資格はないのではないかと思ってしまい 段々コーヒーに対して苦手意識ができて 更にはコーヒー嫌いになってしまいました。
丁度そのころ テレビドラマで 私のお気に入りのドラマの主人公たち 「相棒」の右京さんと「メンタリスト」のジェーンさんが いずれも紅茶党でしたので 私の興味も紅茶に移りました。但し 私の味音痴は 種類が紅茶に代わっても 同様に茶葉の違いを区別できない という点では 似たり寄ったりでした。結局私は コーヒーにしても 紅茶にしても 違いの分かるカッコいい大人にはなれない という事を 深く自覚させられました。所詮私なんか カッコよさにあこがれても カッコよくはなれないのだと 諦めました。そんなわけで 今では喫茶店にたまに入りますが その時の気分次第で コーヒーか紅茶を注文します。豆や茶葉の種類を指定できるときでも どうせ違いが判らない人間ですから ブレンドを注文することにしております。
私が喫茶店によく通うことになったのは 短いですがサラリーマン時代になります。塩野義製薬という製薬会社の病院周りの仕事でした。金沢に飛ばされて 金沢大学を先輩五六人と 担当しておりましたので その大学病院の近くの喫茶店によく先輩たちが集合しておりましたので そこでその日にする仕事の指示を先輩から貰っておりました。塩野義時代は かなりの高給取りでしたので 喫茶店代ぐらいさほど財布にはひびきませんでしたが コーヒー一杯の価格がそこそこしたので 私はどうせコーヒーを楽しむだけなら 自動販売機の缶コーヒーで十分なのだけれど 等といつも思っておりました。やっぱり性根がけちん坊なのだと思います。
塩野義を辞めてから 二つ目の大学岐阜大学に入学しました。岐阜は名古屋の文化圏に属するので 喫茶店のモーニングサービスの充実ぶりには 本当に驚きました。関西の喫茶店の場合もモーニングサービスがありましたが 追加料金を払って トーストにゆで卵でも付いてくればいい方でした。所が 岐阜の喫茶店は 何処でも いつものコーヒー代だけで トーストにハムエッグ サラダに デザートまでついてきます。和食系のお店なら 味噌汁にお握り 卵焼きまでついてきて 本当にびっくりします。ですから 日曜日の朝などは 近所のじいちゃんばあちゃんや 子供を含めた家族連れで 喫茶店に朝ご飯を食べに来る人が多いので 一番お店が混みあっていたように思います。岐阜大学時代は 経済的に恵まれていたサラリーマン時代と違って 私の人生で一番お金がなくて苦しかった時代ですが 喫茶店のモーニングサービスが充実していたので コーヒー一杯の代金で しっかりとした朝ごはんがいただけましたので せっせと喫茶店に通ったものでした。
その後は 病院を開業してしばらくしてから 近所に行きつけの喫茶店ができました。そのお店のいわゆる看板娘の女の子が 凄く気に入ってしまい せっせとコーヒーチケットを購入しては 通ったものでした。まあまあ美味しいコーヒーを飲ませてくれたし お気に入りの女の子が あくまで営業笑顔なのでしょうが 凄くチャーミングな態度で接客してくれましたので 奥様もその女の子を気に入っていましたので そこそこ頻繁に通っていた時期がありました。但し その子があるとき非常に不愉快な態度をとったので それきりその喫茶店には二度と行かなくなってしまいました。それ以来 十年以上たちますが 現在ではごくたまにしか喫茶店には 出入りしなくなってしまいました。
そんな風に 私と喫茶店の関係は その時期によって かなり起伏があります。所詮味音痴なのですから 現在は インスタントコーヒーを病院の医局で楽しむのが 身の丈に合っているように思って コーヒーを楽しんでおります。インスタントコーヒーだって 時代とともに進歩しているのかもしれませんし それなりに美味しいので 私には十分だと思います。だけど捨てられないでおいてある埃をかぶったサイホンを見るたびに 少し寂しい気持ちになってしまいます。

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