6月23日 交通事故に遭ったらしいタヌキが 入院しました

夜の十一時過ぎに電話がかかってきて 車で走っていたら 道端でもがいているタヌキを見つけたのだけれど 多分交通事故に遭って大ケガをしているので診て欲しいという事でした。野生動物の場合 連れてこられた方に治療の実費だけ支払って頂く事にしているので 正直儲かりはしませんが タヌキとのご対面は久しぶりなので ワクワクしながら来院されるのを待ちました。対面してみると お腹の皮膚が大きく破れていましたが 幸いなことに腹腔内にまでは傷が及んでいないらしいので傷口を奇麗な状態にして 皮膚を縫合する手術をすれば何とか元気になってくれそうでした。
そのタヌキは 体力を失っているからなのか もともと穏やかな性格なのか分りませんが 取り敢えずは暴れずに診察させてくれましたから これから退院までも面倒がみやすそうです。野生動物ですから 連れてこられた方に 自宅で面倒をみてもらうのは 無理なので 病院で抜糸まで預かることになりそうです。タヌキはこれまでも 交通事故などで大ケガをして 入院した子は何匹もいましたが みんな割とおとなしくて扱い易くて助かりました。野生動物としては 他にカラスを何度も面倒見ましたが カラスは非常に賢い鳥なので 面倒をみているとすぐになついてくれて 結構可愛くて手放したくなくなりましたが 野生動物ですので 自力で生活できるようになれば 速やかに自然に帰してやらなければなりませんから 下手に愛着がわかないように気を付けております。
取り敢えずはタヌキを預かり 手術の準備をしました。手術としてすべきことは 麻酔を安定してかけてから 皮膚が敗れた部分を縫合できるようにきれいに成形して あとは丁寧に縫い合わせるだけの事です。言葉で表現するといたって簡単なように見えますが 失った皮膚の面積はかなり広いし 本来異なった部分の皮膚同士ををくっつけ合せようとするわけですから かなり丁寧に縫い合わせなければ なりません。麻酔が醒めて ある程度元気になってからは どれだけ活発に動き回るか想像できませんので しっかりと適度に拘束力も必要ですし あまりきつく逢わせてしまうとかえって血流が滞り 再生活動を遅らせてしまいますので 縫合具合の丁度良いさじ加減がかなり難しいのです。
手術は無事に終わり 順調に覚醒してくれましたから あとは食欲が回復してくれたら 十日後には抜糸して退院してもらう事になりそうです。連れてこられた方には 手術の内容とその後の流れを説明して帰って頂きました。費用としては かなり面倒な縫合をして 十日間預かり傷の処置をしながら 内服薬を投薬しますから これが飼い犬の場合なら 深夜に受け付けたこともありますから 費用としては十万円近い金額を請求するところですが野生動物を 見かけて放っておけなくて善意で連れてこられた方でしたから 一万円頂く事にしました。本来は無料でさせていただくのが 筋合いかもしれませんが 私も動物病院をボランティアで経営しているわけではありませんから 仕事をして損をするわけにはいきませんので ご理解いただきお支払いをお願いしました。世知辛い世の中 善意にもお金がかかってしまうのは致し方のない事だと思いますが 如何でしょう。

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