7月12日 ペットロスについて考えました

犬猫の平均寿命は約15年と言われています。人間の五分の一以下ですから 普通に犬猫を飼い始めたら自分よりも先に亡くなるのは 自明の理であり 飼い始める以前からその事をしっかりと認識しておくべきだと思います。しかし現実には 子犬や子猫と出会ってしまって 可愛い、飼いたいという気持ちになってしまったら どうしょうもない気持ちになってしまって 後さき考えずに買い始めてしまうのかもしれません。最近 うちの患者さんで 長年とても大切に飼っておられた犬猫が老衰のために 亡くなるケースが二三件続きましたので ペットロスについて考えてみました。

突発的な事故や 苦痛を伴う病気で最期を迎えるよりも 飼い主さんに看取られながら 静かに息を引き取ったのですから むしろとても恵まれた最期だったのではないかと 私としては仕事柄か どうしても客観的に判断してしまいがちです。動物の死と直面することの多い仕事ですから 言い方は良くないのかもしれませんが ある意味動物病院においては ペットの死は日常茶飯事なのです。

でも飼い主さんにしてみたら 生まれて初めてのペットとの永遠のお別れであったのかもしれません。その方と動物にどのような関係性が存在したのかなんて ケースバイケースであり 一介の獣医師にはとても窺い知ることは出来ませんが あまりに落ち込まれた姿を見ると やっぱり早く立ち直っていただきたくなります。但し 下手な慰めは火に油を注ぐことにもなりかねませんから 迂闊な言葉はかけられません。

客観的な意見としては やっぱり動物好きな性分は 大切にしていたペットと別れたばかりであっても 変わらないと思いますから 次のペットを飼い始める事なのかもしれません。でも長年連れ添われた奥様なり御主人を亡くされた直後に その当事者に再婚を勧める人などいないように 迂闊に次のペットを飼うことを勧めるのは ありえません。取り敢えずは何か月が過ぎて 飼い主さんが十分に落ち着かれてからの事だと思います。

次のペットを飼い始めることは 何となく先代のペットを忘れ去ってしまう事 心変わりしてしまったことを認めてしまう行為 と考えてしまって ためらわれる方が多いのかもしれません。しかし先代の亡くなってしまったペットの気持ちは 早く飼い主さんが元気を取り戻して 又笑顔で生活してくれることを望んでいるのではないかと 私は推測します。先代のペットと暮らした楽しい生活を取り戻しすためには やっぱり次の世代のペットを飼い始めることがベストとは断言しませんが 少なくともベターな選択肢の一つではないかと思います。

ペットを亡くされて 暫くしてからその飼い主さんとお話しする機会があると 私は次のペットを飼い始められることをさり気無くお勧めすることが多いのですが 新しいペットとの生活をスタートされた方は みるみるお元気になっておられることは間違いないように思います。そんな幸せそうな飼い主さんの姿を見て 恨みがましく思うような動物は 恐らくいないと思います。ここしばらくの間にペットを亡くされてしまって凄く落ち込まれておられる飼い主さんも 心の傷が十分に癒されてからでよいので 新しいペットとの生活を上手にスタートされて また幸せな日々が訪れてくれることを心からお祈りいたします。

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