8月1日 左手の親指の爪がピンチです

左手の親指を1か月ほど前の診察中に咬まれてしまいました。初めて来院したフレンチブルドッグでした。私はこれまで運が良かっただけなのかもしれませんが 診察したフレンチブルドッグが皆 性格が穏やかで人を絶対に咬まないような犬とばかり巡り合っていたみたいした。その犬とは勿論初対面でしたから 多少は警戒していたつもりですが つい人をかんだりしないと信じていた フレンチブルドッグだったので 油断があったのかもしれません。勿論カルテを作る時に 人をかんだりする性格ではないかと飼い主に質問して 咬まないと返答を貰っていました。

深夜の時間外に来院された患者さんだったので 奥様もいませんから 血液検査をするために飼い主に保定してもらいました。慎重に採血しようとした瞬間に 左手の親指の付け根の辺りを 思い切り咬まれてしまいました。「この犬は 人をかまないと仰っていましたよね」と私が尋ね返すと「犬なんだから 嫌な事をされたら咬みますよ。あなた獣医なのにそんな事も知らないの」と答えました。ちなみに私たちの職業は獣医ではなくて 獣医師です。

若い頃の血気盛んな私なら 怒鳴り散らして治療もしないで追い返していたかもしれませんが ここで追い返しては わざわざ深夜に病院を開けて 更に犬にかなりダメージがあるように咬まれたのに 一銭も入ってこないのでは自分が損をするだけだと判断して 「ああそうですか」と辛うじて返事をしました。爪の付け根の辺りの 一番敏感であり 最も痛みを感じる部分をかまれてしまったので 飼い主にさらに犬の前肢を捕まえてもらって 何とか採血をしました。

痛みで左手全体が痺れるくらいでしたが 頑張って検査を済ませて 結果を説明し 皮下点滴をして 内服薬を準備して 投薬法を説明してから薬を渡して お会計しました。こちらとしては負傷もしたし はらわた煮えくり返っていましたので いつもよりも若干高めに請求してしまったかもしれませんが 御免なさい。それにしても親指の爪のつけねのちょうど真ん中の辺りを咬まれて 完全に歯が爪を通過して皮膚にまで損傷が及んでいましたから そこそこ出血もしましたし 職業柄犬には咬まれ慣れている私ですが 相当につらかったです。直ぐに消毒して 抗生物質の軟膏を塗りました。消炎剤と抗生剤の錠剤をたっぷりと内服しました。左手が使えないと翌日以降の仕事に差し支えますから。

その夜は左手の痛みに耐えながら 何とか眠りにつきました。翌日になってみると 薬が効いてくれたみたいで 殆ど痛みも腫れもありませんでした。但し当然内出血していましたから 親指の爪の三分の一位の部分が 真っ黒に変色していました。これまでの経験から 一旦このような状態になったら 爪がどんどん伸びて黒ずんだ部分が徐々に浮き上がって いずれは爪の先の部分になり爪切りで切り落とすまで大人しく待つほかはないと 覚悟しました。

恐らく数か月はかかるでしょうが どうしょうも無いので 待つつもりでした。所が怪我をしてから一か月ほどが経過すると 順調に黒ずんだ部分は7~8ミリ位浮き上がってくれていましたが その黒ずんだ部分の根元に近い部分から 徐々に爪の崩壊が始まったのです。黒ずんだ部分は恐らく爪が壊死していたのでしょうが その内側には 新しい健康な爪がちゃんと再生してくれてはいましたが 剥がれ落ちた壊死した部分がギザギザになっていますから 洋服を着たりタオルで手を拭いたりするときに 布地と引っ掛かってしまうので 爪の崩壊を進行させてしまいます。

黒ずんで壊死をしてしまった部分の爪の下には 新しい再生した爪が存在するのかもしれませんが まだ爪の先端部分はもともとの普通の爪が残っています。もしその部分まで捲れ上がってしまったら いわゆる生爪をはいだような状態になってしまうのかもしれません。昔から拷問の一種として 生爪をはぐやり方があるぐらいですから もしそんな状態になってしまったら 腰抜け野郎の私は 恐らく痛くて怖くて 仕事が出来なくなりそうで心配です。

なるべく爪のぎざぎざに負担をかけないように慎重に行動しているつもりですが 爪の壊死した部分の崩壊は日に日に進行しているようです。爪の壊死した部分が早く浮き上がってしまってくれて 無事にさよならできるまで何事も怒らない事を祈るばかりの私です。

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