8月23日 1976年の本日 東京で安楽死国際会議が開かれたそうです

安楽死と言う問題は 人間の医療の場でも 動物病院でも年に何度か直面せざるを得ない出来事かもしれません。人間の場合も 安楽死をご本人が 若しくはご家族が望まれる場合が少なからずあるのかもしれませんが日本では法的には認められていません。積極的な意味での安楽死ではなくても 延命のための治療を予め一切拒否する選択をする人は結構いらっしゃるみたいです。動物病院でも 飼い主さんが安楽死をのぞまれるケースは たまにあります。病院によっては 安楽死を全面的に拒否している場合もあります。基本的に病院とは 病気やけがを治すための施設ですから 安楽死はその趣旨に反するものである と言う事で 飼い主さんが希望されても 断固拒否してしまう場合も結構あるみたいです。ある意味正論かもしれません。
人間の医療において 安楽死を法的に認めているのは ほんの一部の国だけです。日本では勿論認められていません。安楽死とは 自殺幇助であるのかもしれませんから 法的に認められていないのも致し方のないことなのかもしれませんが うちの病院では私が その必要性を認めた場合には 受け入れて実施する場合もあります。獣医師の治療の教科書的な本も最後のページに 安楽死を実施する場合の 薬剤の種類や投薬量が掲載されていますから 病院で行う治療行為の最終段階として 認められているのかもしれません。
私も病院を始めたばかりの頃は 張り切り過ぎる気持ちが強かったからかもしれませんが 安楽死はお断りしていた時期もありましたが 現在は もう少し柔軟に対応するために あくまで私が必要であると判断した場合に限りますが 安楽死と言う処置を実施することがあります。ペットの安楽死の場合 勿論患者さん本人の気持ちは反映されておりません。あくまで飼い主さんの気持ち次第で 安楽死を希望された場合に その希望を受けるか受けないかの判断を迫られます。
私が 飼い主さんの安楽死を望まれた場合に 受けるか断るかは当然患者さんの現在の状態や これまでの治療経過によって判断します。これまでに飼い主さんが 当院以外の病院でも 十分に治療を頑張って続けてこられて 現在そのペットの状態が大きな苦痛を伴っているのであれば 少しでもその苦しみを早く終わらせてあげるために 安楽死と言う 究極的な処置を選択する場合もあるように思います。その判断に 本人の気持ちは反映されませんが 臨床獣医師として 客観的に判断して 安楽死と言う処置を行うか否かを決めます。
実際に行う処置は 体重に応じて決まった分量の薬剤を静脈注射します。その薬剤の作用によって 徐々に呼吸中枢が麻痺していきますので 本人は殆ど苦しみを感じることなくそれこそ眠るように息を引き取ります。但し この処置は 実施するこちらとしても 相当な精神的苦痛を伴いますので それ相応の費用を請求させて頂いております。まあ飼い主さんも納得してその費用を支払われますから 積雪な料金なのかもしれませんが 本音としては 二度とやりたくない処置です。
安楽死とは 肉体的な苦痛を伴わない死に方かもしれませんが もし将来日本でも法改正が行われて 認められるような事になるのかもしれません。私は根性なしの臆病者ですから 将来癌などの末期になってしまって 非常に大きな苦痛が避けられない状態になったら 安楽死を考えるかもしれません。でもやっぱり臆病者ですから 自分で自分の命の幕引きをするような行為は 恐ろしくて実行できないであろうと思います。現在望むことは いわゆる ぴんぴんコロリ と言う元気な状態から あっさりと死に至る結末を迎えられることだけです。これまでも 現在も そして死ぬ寸前までも 私は奥様に面倒や手間暇をさんざんかけておりますから せめて死ぬ間際位は ご迷惑を最小限にできる死に方をしたいと 真剣に考えております。 

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