12月20日  小沢一郎さんの今後が心配です

私は現存する政治家の中で一番好きな人が 小沢一郎さんです。お金にまつわる事件で告訴されましたから 裏に回ればきれいな政治家ではないことは明白です。でも政治家はきれいごとを言うよりも 政治家ですから政治力にたけている人が魅力的であると私は思います。

竹下派七奉行の一人にして 「人気の橋龍」「人柄の小渕」「政策の羽田」等の総理大臣経験者と並んで「力の小沢」と称されていました。四十台にして 衆参合わせて400名を超えていた 自民党の幹事長に就任したのですから その政治手腕はずば抜けていたのだと思います。若くして自民党の金庫番を務めたわけですから 金銭感覚が一般人とかけ離れてしまったのは 致し方のない事だったのかもしれません。

テレビ番組に出演した時の小沢さんは 少なくとも私から見れば 討論番組であろうと、インタビューに受け答えをする番組であろうと 私のように政治について無知な人間にも分かりやすい言葉を選んで 曖昧な表現を使わないで きっぱりと正直に受け答えをされているように感じられました。政治家同士の討論会などをきいていると 直ぐに専門的で分かりにくい言葉を使ったり どのようにでも受け取れるいわゆる玉虫色の表現を多用して 本音を語ってくれない政治家が多くて不愉快でした。

小沢さんの発言は 政治に不勉強な私が聞いても 分かりやすい表現なので 殆どが理解できましたから この人の考え方には納得できました。確かにお金に対する感覚が尋常ではなかったのかもしれませんが 別に小沢さんが自分で不正な金を集めようとしたのではなくて 小沢さんの人気であり 持っている権力を利用して金儲けをしたい人間が寄り集まってきて 結果的には一般人には桁違いで理解し難い金額の清潔ではないお金が小沢さんの所に流れ込んだのではないかと思ってしまいます。

自民党を飛び出して新生党を作った頃の小沢さんが 一番輝いて見えました。日本新党の細川さんを総理大臣にしたのも 羽田さんを総理大臣に就任させたのも 全て小沢さんの手腕によるところだと思います。自分が表に立たないでいる 陰の実力者的な存在感が いかにも映画に出てくる黒幕のフィクサーという雰囲気で 魅力的でした。

選挙制度を日本特有の中選挙区制から 比例代表制と並立した形で小選挙区制度に変革したのも 結局は小沢さんの仕業だと思います。小選挙区制度はアメリカやイギリスのように二大政党が拮抗している状況では 政権交代が起こり易くて 有効な選挙制度ですが 日本のように少数野党がいくつも存在する状況では大きな政党が大勝してしまう可能性が強いので 望ましくありません。

共産党を除いたそれまでの野党が寄り集まって 新進党を結成して 羽田さんを首相の椅子に座らせたところまでは 全て小沢さんの計算通りだったと思います。新進党の規模は 自民党に十分対抗しうる大きさだったはずですが やはり選挙の為だけに寄り合っても 政策で食い違っては一緒にいられるはずもなくて あっという間に空中分解してしまいました。その辺りから 徐々に小沢さんの思惑とは異なる方向に政治の流れが向かってしまいました。

今回の選挙では 政党としては全く存在感もアピールできなくて 敗れ去ってしまいました。小沢さんの政党は 政党としての規模 つまり国会議員が衆参合わせて五人以上という規定を満たさなくなってしまいましたから 一定額の政党助成金すら受け取れなくなってしまいました。残念ながら政治活動には 結構お金がかかるものですが 通常の政治活動でさえ難しい状況になってしまいました。

ここ数十年にわたって 政治の花道を歩いてこられた方ですから 引き際も綺麗に飾って頂きたいと思います。どんなに政党として勢いがなくなっても きっちりと地元岩手四区で当選を果たされるのはそのカリスマ性のお陰だと思います。政治家には定年はありませんが 一人の人間としても もう十分に大活躍されましたから これから任期四年はありますが 静かに穏やかに過ごして頂ければと いらぬおせっかいですが思ってしまいます。小沢さんは死ぬそのひまで政治家として生き続けられるのかもしれませんが もう肩の力を抜いて楽に生きていって頂きたいと心からお祈りいたします

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