5月14日 1957年の本日 古尾谷正人さんが誕生されました

古尾谷さんは 私と同じ年の生まれで 誕生日も十日ほどしか違いませんから ちょくちょく自分の人生と重ねあわせて 比較したりしていた方でした。私は初めて古尾谷さんの知ったドラマは 81年に放送された「キッド」と言う刑事ドラマでした。主演の堺正章さんが演じる通称キッドの相棒として若手の刑事を演じておられました。連続ドラマに重要な役所で出演されるのは 殆ど始めてだったように思いますが キッドに振り回されて 途惑ってしまう若手刑事を上手に演じておられました。その時は 役者としての実績にも乏しいし 年齢もまだ若かったので コミカルな役どころを巧みに演じていたように思います。
その後は ご本人自身が インタビューなどを見てもかなり硬派な方みたいで 割と真面目でいかつい人物の役を好演されていたように思います。すらっと背が高くて 男前ですから 直ぐに人気が出たのだと思います。演技力もかなりあったように思いますから 凄く沢山のドラマに かなり幅広い役柄で 出演されていたように思いますから かなり頻繁にテレビに登場されていた時期がありました。私が一番印象に残っている作品は映画「ヒポクラテスたち」です。医学部の六年生が 各科を研修で順番に回っている姿を描いた作品です。
映画を見た時には 何も感じませんでしたが 今になってキャストに並んだ役者さんの名前を見ると かなり豪華な顔ぶれだと思います。続編が作られる話もありましたが 出演していた役者さんが 多忙になりキャスティングが出来なかったのだそうです。私がこの映画の中で 一番好きなセリフは 野球を凄く頑張っている学生が「俺は 打って守って走ってと 三拍子そろった医者になる」というものです。私たち獣医師は 外科から内科 小児科も産婦人科も対応しなければなりませんし、診察する動物も 犬猫ばかりではなくて 魚や爬虫類 鳥と多岐にわたっていますから 得意分野に拘らず 色んなことにチャレンジして 技術を磨いていきたいので 私の目標としている言葉でもあります。
ほんの一場面の出演でしたが 強烈なインパクトを受けた演技が 「北の国から、初恋」の最後のシーンで 純を東京へ送っていくトラックの運転手を演じている場面です。五郎さんから運び賃として受け取った泥のついた一万円札を 「自分には受け取れないから 一生大事に持っていてお守りにしろ」と言うセリフが 少し表現は違うかもしれないですが 感動的でした。その泥のついた一万円は その次の放送で 重要なアイテムとなりましたが その事を予感させるぐらいの 説得力のある演技だったように思います。
出演されたドラマは 凄く広いジャンルにわたっていて それだけ役者としての奥行きがある と言うか 引き出しを沢山持っている有能な俳優さんだと思いますが 逆に器用貧乏みたいな面があったからなのかもしれませんが 古尾谷さんの代表作 と言われても 直ぐにこれだと思い当たる作品が無いように思います。古尾谷さん自身の性格からすると 硬派で厚みのある役柄を演じることに拘りたかったのかもしれませんが その役柄に拘ったことが 不幸の始まりだったのかもしれません。
役柄に拘り 仕事を選ぶようになると 実績をかなり積んでいましたから それなりにギャラのランクも跳ね上がっていたらしくて プロデュサーとしたら 扱い辛い役者さんとして認識されてしまったようで 仕事のオファー自体が激減してしまったみたいです。働き盛りなのに 仕事が無くて 昼間から 自宅で酒を飲んでは くだをまく生活になってしまったのだそうです。仕事が無くなれば 当然収入も無くなりますから 生活は困窮して 奥さんは 共演した女優さんでしたが 水商売で働いて 生活費や住宅ローンを賄っていたのだそうです。
経済的に苦しくなっている時期に お父さんが亡くなり 遺産相続について 継母ともめて 裁判沙汰になっている最中に 自殺されてしまいました。45歳と言う 働き盛りの年齢で 役者として ルックスに恵まれていたし 演技力も幅広く持ち合わせていたし 奇麗な奥さんと可愛い子供が二人もいて 羨ましいぐらいの人生に どうして自分で幕引きをしたのか 私には見当がつきません。私の様に 見てくれが悪くて その上人間的にも問題があるので 辛く寂しい人生を送っているものからしたら なぜ自殺と言う選択肢に辿り着いてしまったのか 不思議で仕方がありません。
役者として 当然自分が演じたい役柄や 作品に対する拘りがあるのは 当然だと思いますが 仕事ですから やりたくなくても 不本意であっても 受けなければならないことがあるのは当然だと思います。家族を養っていくためには 演じたくない役でも 受け入れなければ致し方なかったはずなのに 結局は 一番大切な家族に 寂しい思いや 悲しい思い 経済的な辛さを味あわせてしまったのですから 夫として 父親としては 褒められた人生ではなかったのかもしれません。
芸能人で 若くて 凄くカッコいいうちに自殺された方として 思い浮かぶのは 田宮二郎さんと 沖雅也さんですが お二人とも主役を務める役者さんだから 当たり前ですが 凄くスタイルが良くて男前で羨ましい限りなのに どうして自殺と言う悲しい行為に走ってしまったのでしょう。二人とも他人には理解しがたいけれど どうしょうもない理由があったのだとは思いますが 私の様に 不細工な顔とズングリムックリのスタイルの男からみると 何で死なないかんかったのか 全く理解できません。もし私が そんな男前になれたら 若くてきれいなお姉ちゃんと ヤリまくってみたいと 還暦を迎えているのに思ってしまいます。
古尾谷さんも 役者としての道を究めようとされた結果 仕事に譲れない拘りがあったからこそ 仕事が無くなり 貧すれば鈍するで 客観的に愚かな道を選んでしまわれたのですから 安易に批判は出来ないようにも思いますが やっぱり残されたご家族にすれば こだわりを捨てれば 仕事があったはずですから 死んでしまえば 自分は楽になれるかもしれませんが 周囲の人たちへの影響を考えて欲しかったと思います。私が一番大好きな落語家 桂枝雀さんも あまりに仕事に拘り過ぎてしまって 自殺されてしまいましたから その拘りが他人事としては カッコいいとも言えるのかもしれませんが やはり枝雀さんにも奥さんや子供さんがいたのですから 一番大切な人たちへの配慮に欠けていたように思います。
この方たちと比べると 私の人生なんて 本当にとるに足らないようなものですが 大切な奥様を死ぬまで 守っていきたいと考えております。まあ 奥様に言わせると 奥様が私を守って支えてくれている と言う事になりそうですが ほぼ間違いなく その表現の方が適切であるように思います。

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