5月12日 アメリカンフットボールの日大守備選手のプレーについて思う事

アメリカンフットボールの選手は 凄くごっついプロテクターを装着して プレーをしています。私は身に付けたことがないのですが かなり重そうだし 慣れるまでは 凄く動きにくくて 相当なストレスのかかる装備であることは間違いないように思います。とは言ってもあのプロテクターは前面からかかる衝撃に対する防御のためのものですから あのラフプレーの様に真後ろから 腰を狙ったタックルに対しては 全くその体を守ってはくれなかったであろうと思います。
スポーツの試合中は 勿論選手は凄い緊張状態にあります。緊張感を持っている状態であれば 不意を突かれて ダメージを受けたとしても そんなに大きくはなりません。只人間の緊張感がそんなに長時間継続することは不可能です。アメリカンフットボールは プレーが行われているオンタイムと 行われていないオフタイムがくっきりと分かれて 交互に繰り返される スポーツです。関学のQBが タックルを受けたのはパスを投げて 不成功に終わり 既にオフタイムになった瞬間ですから 作戦が上手くいかなかったこともあり 余計にガッカリして 力が抜けてしまっている瞬間に 腰に後ろから思いっきりタックルされたのですから その選手の被害が甚大になってしまっても致し方がないように思います。
アメリカンフットボールと言うスポーツは 攻撃側 守備側十一人ずつの選手が 好き勝手に動いているように見えるかもしれませんが 殆ど全ての選手の動きは 予め決められた通りに動いているのです。ディフェンスバックの選手だけは 相手の攻撃パターンに応じて 対応をその場で考えて反応しているようなものですが 攻撃側の選手については 一人一人細かく動きが指定されているはずです。反則を犯した選手は QBを狙ってタックルをかけたのですから一応形としては QBサックをかけたのでしょうが 原則としてQBサックはQBが ボールを保持している間 パスを投げるまでの間にタックルをかけなければ そのプレーの効果はありません。
守備側のチームとしては QBサックと言う守備行為は パスやランによる攻撃に対する守備要員から わざわざ一人を割いて サックと言う攻撃的な守備をするわけですから 勿論上手く決まれば攻撃チームが大きく地域をロスするわけですから 得るものは大きいのですが もし空振りに終わると ランなりパスなりの守備陣が一枚手薄になってしまっているわけですから 大きく前進されてしまう危険性も高いのです。いわばハイリスクハイリターンの守備陣形なのです。
人間与えられた役割を果たすまでは 当然緊張感がありますがその後は 当然ホッと一息つく瞬間があります。その一番気を抜いている瞬間に 真後ろと言う見えない方向から 全力でタックルされてしまうのは 非常にダメージと恐怖を伴うプレーをされてしまいました。QBと言うポジションは 攻撃のかなめですから 一チームにそんなに何人もいないはずです。攻撃のパターンをその場の状況におうじて組み立てなければなりませんから それなりの経験も必要かもしれません。
とにかく 攻撃を組み立てる中心選手ですから そのQBをゲーム中に負傷で失うのは チームの戦力が大きく低下してしまいますから 大きな痛手です。明らかにパスを投げた後の気を抜いた瞬間に全力でのタックルですから 最初からそのタイミングを狙っていなければ 出来ないように思います。このプレーに関して ヘッドコーチは関与を否定しているようですが これだけはっきりした反則行為の中でも特に危険とされているプレーですから まだ一学生に過ぎない選手の判断で 行えるとは考えられません。
殆ど間違いなくヘッドコーチからの厳命によって 実行されたと考えるのが 自然だと思います。ラグビーやアメリカンフットボールではゲーム中に人だかりに埋もれてしまう事がちょくちょくありますが そんな時に審判に見えない所で殴られたり けられたりするプレーは殆どありません。もしそんなプレーをしたら 自分が人ごみに埋もれた時に 当然自分がやった以上に報復されてしまうからかもしれませんが 不思議と審判の全く目の届かない所でもフェアプレーが実践されているのだと思います。
選手がフェアプレーを実践しようとしても アメリカンフットボールチームにおける ヘッドコーチの存在は大きくて その権限は絶大なんだと思いますから そのコーチから反則行為を求められて 恐らく断れば 全くそのゲームには勿論 今後の試合でも出場する機会が全く与えられないかもしれないわけですから その選手も拒否できなかったのかもしれません。実際に反則プレーを実行した選手こそがひょっとしたら 最大の被害者なのかもしれません。日大でそこそこ実績のあるアメフト選手なら アメフトで就職先が決まるのかもしれませんが こんな大騒ぎの張本人扱いされてしまっては とてもアメフト部に在籍してはいられないでしょうし 今後アメフトを続けていっても 常にあのとんでもない反則行為をした選手だ というレッテルは一生ついて回るのでしょうから 可哀想にも思えます。
アメフトをやっている選手ですから 自分が命じられた反則行為が いかに悪質で危険な行為なのかは 勿論分っていたはずですが、絶大なる権力者ヘッドコーチの命令なら 逆らえなかったのかもしれません。でも やはりスポーツマンシップを思い出して フェアプレーの精神から 拒否することを選択していてほしかったように思いますが もし自分がその状況に追い込まれたとしたら 敢然と拒否できた自信はありません。兎に角一プレーヤーとヘッドコーチと言う立場からすると ヘッドコーチの申し出を断れなかったのですから これは典型的なパワハラにあたるのではないでしょうか。
現実の被害者は 負傷した関学のQBであることは間違いありませんが 反則行為を強要された選手の 今後の選手生命を奪ってしまったのですから ヘッドコーチは厳罰に処されるべきだと思いますが 実際に裁かれた時には パワハラは犯した罪の大きさに比べて 刑罰が軽すぎるように感じます。スポーツ選手にとって一番大切なスポーツマンシップを踏みにじるような行為ですから ヘッドコーチ自身と任命した責任者位は 厳罰に処されて 二度とアメフト界とはつながりを持てないような厳罰が下される事を期待いたします。

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