7月1日 飼い主から「殺したろか」と面と向かって言われてしまいました

これまでにも 飼い主から罵詈雑言を浴びせられたことは 度々ありましたが「殺したろか」等と面と向かって言われたことは 初めての経験です。まあ正確に表現すると 昨日も同じ飼い主から 同じ言葉を浴びせかけられましたので 二回目の経験と言うべきなのかもしれません。それもかなりよぼよぼした ご年配のご婦人から言われてしまいました。明らかに私よりも年齢が上だと思われますが そんな威勢のいい言葉を頻繁に口にするのですから 当分はくたばりそうもない代物です。

患者はイタリアングレーハウンド と言う犬種のまだ若い子ですが 階段から落ちたのだそうで 右前肢を骨折していました。昨夜遅くに 緊急で治療してほしい と電話がかかってきましたが まあその話しぶりからして まともな人間ではなさそうな雰囲気でしたから そして丁度その時 それよりも少し前に連絡を貰った交通事故に遭った猫の手術をしていましたから 対応できないとお断りしました。

本日になって また電話がかかってきて 昨夜は救急病院に出かけて 治療してもらったのだが その続きの治療をしてほしいとのことでした。診察時間中の事でしたから 断りようがなくて 来院してもらいました。救急病院の診断書や レントゲン写真 血液検査結果などを持参してきましたので それらを確認してから 診察を始めました。

昨夜 この骨折は 骨折の状態や 部位から判断すると 外固定つまり 骨折している部分を 添え木でもしてテーピングで固定して骨がくっ付くのを気長に待つしかしょうがないと言われたのだそうです。取りあえず 患部からテーブを除去して 患部の具合を見て 触って 本人の反応などを観察しました。外傷はないけれど 完全にぽっきりと折れています。部位が手首に近いし イタグレと言う非常に足が細長い犬種ですから ピンを通して固定したり プレートを当ててボルトで 固定するのはむずかしそうなので 昨夜の先生が診断された外固定による治療に私も異論はありませんでした。

そこで 骨折している前あしを飼い主さんに固定してもらって テープで患部を固定する作業を始めました。所が 骨折している部位を処置するわけですから 当然イヌ本人は 苦痛の声を上げて 暴れようとします。犬が動こうとすると 直ぐに飼い主が保定している手を放してしまうので 全然作業が進みません。私が飼い主に 動かないようにしっかりと捕まえるように指示を出すと「犬が痛がって 嫌がっているのに 捕まえておける訳がないやろ。殺したろか」と私に向って 言いました。私は 非常に驚きましたが 一番つらいのは骨折している犬ですから ぐっと堪えて 患部をきちんと固定できなければ 折れた骨がくっ付かないので 少々痛がっても 頑張って捕まえてください とお願いしました。

結局殆どちゃんとした保定をされないまま テーピングをしましたので 患部をきちんと固定できたかどうか分りませんが 一応の治療は終わりましたので くれぐれも狭い所に綴じ込めて なるべく動かないような環境で面倒をみてもらう様に指示しましたが 何処まで従ってもらえるのか 全く期待できませんでしたけれど 内服薬を渡して 帰宅してもらいました。

本日は 午前中なら 奥さんがいますから きちんと保定してもらえるので 昼までに来院するように 指示しましたが 案の定来院したのは 病院の終いがけの時間でした。午前中に来院してほしいと伝えたことを告げると そんな事は聞いていないと 突っ撥ねられました。まあしょうがないので 出来るだけ動かないような環境が用意できたのか 尋ねると 狭いかごに入れておいたが 掃除をする間に 部屋中を走り回っていた と言いました。

「かごを掃除する間 誰かに抱っこでもしてもらっておけばいいのでは」 と言うと 「一人しかおらへんのやから そんな事が出来るか 殺したろか」と言われてしまいました。私は一度ならず二度までも「殺したろか」と言われてしまったので 「そんな言葉を浴びせられるような飼い主には 対応できませんので お帰り下さい」ときっぱり言いました。その婆ちゃんにしたら 「殺したろか」が口癖のようなもので 家族や友人に向って 日常茶飯事の様にそんな言葉を吐いているのかもしれませんが こちらが誠意をもって 対応しているのに 一度ならず二度までも そんな暴言を投げかけられたので 治療を拒否しました。

飼い主は「あんたに向って言ったんやない。面倒ばかりかけるこの犬に対して 殺したろか と言うたんや」等と言い訳をしてきましたが その婆ちゃんは 明らかに私の顔を見ながら その暴言を吐いていましたし、もし犬に対して本心からそんな言葉を投げかける飼い主なら それはそれで 対応したくなかったので その後もごたごたと言いたい放題で 罵詈雑言のオンパレードでしたが こちらが完全に無視したので 何とか帰ってくれました。

まあこれで あの婆ちゃんがあっちやこっちでうちの病院の悪口を言いたい放題するのでしょうから またまたうちの病院の評判が悪くなってしまうのでしょうが 病院の評判を気にして あんな人間と関係を続けていても 勿論治療が継続されれば 売り上げにはつながったかもしれませんが 私の堪忍袋の緒が切れるのは 時間の問題だったと思いますし キッパリと縁を切ってよかったと思っております。

動物病院は サービス業に分類されますから 患者さんと言うか飼い主さんの言う事には 絶対服従するような病院もあるみたいです。勿論不愉快な感情は発生するでしょうが 何とかうまくその気持ちを昇華出来れば 病院の評判は上がるでしょうし 儲かるのも間違いありませんが 私は還暦を過ぎても まだまだ人間が出来ていないので あまりに非常識な人間とは 決定的に対立してしまいます。

まあおかげで うちの病院の評判は ボロボロだし 何時でも閑古鳥が鳴いています。それでも何とか私を信頼して頂ける飼い主さんが 幾らかでもいらっしゃいますので 何とか病院を潰さないですんでいるのだと思います。頑張ってもあと三年足らずですから 今まで通り 自分なりのポリシーに従って一生懸命に 仕事に取り組んでいく所存ですので どうぞよろしくお願い致します。

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