9月7日 小動物の診療について思う事

 当院では犬猫以外の小動物、例えば小鳥やウサギ、ハムスター、フェレット、チンチラそして爬虫類の類など私が知っている限りの動物は診察させてもらっています。けれども病院によっては犬猫以外の動物は診療対象から外しているケースも少なくありません。診察しない理由はいくつか思いつきますが まず一つ目は あまり売り上げにつながらないことだと思います。小動物の場合購入費用が勿論例外はありますがほとんどの場合 数百円から数千円の範囲だと思います。生き物と縁があって出会い飼い始めたのだから たとえ数百円で購入した動物でもかけがえの無い存在のはずです。ですから愛情を持って動物を飼っていらっしゃる飼い主さんの場合は問題ありませんが、子供さんに小動物を玩具代わりにかいあたえている人の場合購入費よりも高い治療費を請求すると 新しく買いなおすからと言って 治療を拒否される場合があります。確かに玩具ならばものだから修理費が購入費を上回るのなら新品を購入されるのは合理的かもしれません。でも相手は小なりとはいえ一生懸命に生きている動物なのです。たまたま縁があって巡り合って飼い始めたのならその動物が寿命の尽きるのを迎えるまで面倒をみる責任があるのではないでしょうか?こんな面倒な飼い主さんと会いたくないので小動物の診療をしない病院も少なからずあると思います。
 病院が小動物の診察を断る理由の二つ目は 何しろ小さな動物が対象ですから 些細なストレスが体調の悪化につながることが多いからかもしれません。小動物にすればただでさえ体調が悪い時に病院へ連れてこられて知らない人間に診察されることだけで相当に大きなストレスとなるはずです。治療のために注射にしろ内服にしろ薬を投与するそのタイミングと小動物が更に異常を示すタイミングが一致すると薬を投与したから体調が悪化したと勘違いされることがしばしばあります。特に注射による薬剤の投与はそのリスクが高いので余程緊急の場合以外は注射しなくなりました。兎に角小動物の診察と治療は ほんの些細なことで大きく患者の体調に変化が起こる可能性が強いのでどうしても「さわらぬ神になんとやら」で診察を断る病院が多いのだと思います。
 病院の側から見れば もうけが少なくてリスクが大きいので 初めから診察を断る方がメリットが大きいのかもしれません。勿論私も小動物を診察して治療費が購入費を上回り 文句を言われて非常に不愉快な思いをしたことは少なからずありますし 治療したタイミングと患者の体調の悪化のタイミングが一致しただけなのに 飼い主さんから非難されたことも何度もあります。だから、うちの病院としても診察の対象を犬猫に限定しようと思ったことは何度もあります。でも、小さくても大切な命であり飼い主さんにとってかけがえのない存在である場合に 治療して元気になってくれた時の喜びは 犬猫の場合と同じくらいに大きいので これからも小動物の診療を続けていこうと思っています。

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