(入院中)12月5日

 いよいよ手術の当日を迎えてしまいました。全身麻酔をかけるので朝から絶食ですが 血液をサラサラにするためにスポーツドリンクを二本(500ml)渡されて 十二時までに飲むようにと指示されました。普通は飲み物も制限されるみたいですが 水分補給が出来たので助かりました。普段通りラジオを聴きながらすごして 屋上を散歩したりしながら 手術の時間 午後二時になるのを待ちました。

 昼過ぎに奥様が病院を閉めて駆けつけてくださいました。毎日夕方には顔を見せてくれていましたが ひょっとしたら奥様の顔を見るのも最後かとしみじみと眺めていましたら 「何をじろじろ見てんのよ」といつもの調子で怒られました。奥様は全身麻酔の経験者だし 手術の日も絶食だったので動くと余計にお腹が空くからという理由で 手術の直前までお昼寝をしていたくらいの 図太さなので 今回の私の手術にも全く心配していませんでした。羨ましい限りです。

 手術の少し前になると オペ室の看護士さんが 手術室に行くまでと手術室での手術までの流れを説明に来られました。非常に若くてとてもチャーミングな方で少し嬉しくなりました。苗字は忘れましたが 下の名前は「ゆりちゃん」でした。そういえば病棟の看護士さんも四日目で初めて若くて可愛らしい女の子が担当してくれました。昨日までははっきり言っておばちゃんばかりだったので この病院には若い看護士さんは存在しないのかと思っていました。嬉しくなっていろいろとお喋りをしていると なんと彼女も来週親知らずを三本まとめて抜くので 初めての全身麻酔を経験するそうです。初めて全身麻酔を経験する者同士ですっかり意気投合してしまい 無事に手術から戻ってきたら しっかり握手をしてくれるように約束しました。

 予定の二時を10分ぐらい過ぎて いよいよお迎えが来ました。手術室まで歩いて向かいますが奥様と若い看護士さんも付き添ってくれました。手術室に入ったところでさっきの可愛いゆりちゃんと再開しましたが 緊張のピークなので認識できませんでした。若い病棟看護士さんが最後にぎゅーと手を握ってくれたのが凄く嬉しかったのだけは覚えています。さて 手術台に横たわりました。周りには口腔外科の先生は勿論ですが、麻酔科の先生や内科の先生まで心配して来られていたように思います。看護士さんも含めるとかなりの人数がいらっしゃるのを見て若干驚きました。

 腕の静脈から麻酔薬が入ってきて 少しし泌れるような感覚が腕に走ったかと思うと 例えばテレビを見ていてコードをコンセントから引き抜いたかのように突然画面が真っ暗になるような感覚で 瞬間的に意識がなくなりました。次に目が覚めた時も 突然コードを差し込んでまた急にテレビの画面が明るくなるように 意識が突然戻りました。もうろうとしている時間は麻酔状態に入るときも覚めるときも全然ありませんでした。

 「よく頑張られましたね」と言われてもこちらは完全に意識が飛んでいたので こそばゆい気持ちでした。手術室を出る前に執刀してくださった主治医の先生にのう胞がきれいに摘出できたのかどうかだけ尋ねました。場合によってはのう胞を完全に摘出できないケースや 近所にある神経に触ってしばらくしびれが残るケースなども想定されましたが 順調に摘出できたとのことをきいて ほっと安心しました。

 勿論横たわったまま 手術室から自分の病室まで運ばれましたが病室に着いたので 普通はストレッチャーからベッドへ移す作業が行われるはずなのに、それがありません。不思議に思って尋ねると 私が太っているのでストレッチャーからはみ出そうだったのと 移動を一回で済ませるために病室の私のベッドを手術室まで運んで手術台から直接ベッドの上に移されたのだそうです。私の意識が戻った時にはすでに自分のベッドに寝ていたのでした。

 私は麻酔から覚めた途端にかなりの痛みに襲われるのではないかと心配していましたが 大した痛みは感じませんでした。手術をされた大部分は縫合されていましたがある部分は解放したままで回復して歯茎が盛り上がるのを待つのだそうです。その部分からの出血を抑えるためにガーゼを噛まされていました。夜になって 主治医の先生が診察に来られた時にガーゼを交換しましたが まだ少し出血が続いているそうです。まあこの程度の出血は想定内という事で少し安心しました。先生からは早速夕食を食べることをすすめられましたが いくら食いしん坊の私でも遠慮しておきました。夜の八時までは酸素マスクを被せられていましたが はっきり言ってそれが一番苦痛でした。時間が来てマスクを外された時は凄くほっとしました。

 それから、頭はかなりボーっとしていましたが病室に戻ってから少ししてから 若くてかわいい看護士さんが部屋に来てくれて両手でキューと私の手を握ってくれた時には 手術をしてよかったと思いました。うっかり名前を覚えるのを忘れてしまいましたが 退院までにもう一度くらい私の担当になってほしいと思いました。

その夜は傷がいつ痛み出すかと心配でしたが 幸いなことに殆ど痛みませんでした。所が喉の奥が痛くてつばを飲み込むのが辛い位でした。風邪のひきはじめによくおこる症状らしかったので 風邪には気をつけようと思いながら眠りました。前日が緊張してあまり眠れなかったのと やはり手術でかなり体力を消耗したからかもしれませんが 割と簡単にぐっすりと眠れました。以上で手術の日の報告を終わりにします。

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