1月25日 1900年の本日 石坂洋二郎さんが 誕生されました

私は最近でこそ 殆ど読書をしておりませんが 子供のころから三十歳になるまで位は 相当にたくさんの小説を読みました。冊数が一番多いのは 多分栗本薫さんです。この方は シリーズ物が多いので ひとつのシリーズにはまってしまうと 大変な冊数になってしまいます。例えば「グインサーガ」のシリーズは 結局作者の死亡によって 途中で未完のまま終了してしまいましたが 正伝に外伝まで加えると150冊を超えます。正直な所 私が読み始めた時には 既に三十冊ぐらいまで発売されていました。読み始めたのは 岐阜大学の一年生の夏休みでしたので 殆ど一日一冊ずつ読み進めて 夏休み中に発行されている分は読み終えてしまいました。
岐阜大学に通っている頃 私は自力で生活費から授業料まで全てアルバイトで稼ぎ出しておりましたので 経済的にはかなり苦しい状況でしたが 薄っぺらい文庫本とはいえ 一冊300円から400円ぐらいしたでしょうから30冊も購入すると 経済的にはかなり苦しかったのですが あまりに面白すぎて 我慢できませんでした。但し最新刊まで読んでしまうと その頃栗本さんは年にこのシリーズを五冊ぐらいのペースで書き下ろされていましたので 発売されるまで辛抱して やっと発売されたら飛びついて購入して読み漁りました。ただしこのシリーズには ファンの間では常識になっていましたが まずは最初にあとがきから読み始めるのが暗黙のルールでした。あとがきに栗本さんの最新情報というか近況が報告されていますから ファンとしては この小説のこの部分を書いたときの栗本さんの暮らしぶりをまずは確認してから 本編を読みだすのです。
本編よりも必ずあとがきから読み始める小説なんて 後にも先にもこの「グインサーガ」だけの話です。でもこのシリーズのファンは 必ずあとがきから読み始めていたはずです。但し私は この最新刊の発行されるのを待ちわびて 飛びつく というのが辛くて 実は百巻ぐらいの所で 挫折してこのシリーズから距離を置きました。このシリーズは 最初は百巻ぐらいで完結するつもりで書き始めたのだそうですが 途中で完結するのは200巻目ぐらいであろうと 噂されていましたので 完結してからまた 一気に最後まで読み通せばいい と考えておりました。所がまさか このシリーズが完結する前に 作者の栗本薫さんの人生が完結してしまったために 未完のまま終焉を迎えてしまいました。
取り敢えず栗本さんの作品はグインサーガだけでも百冊は読んでおりますし 「魔界水滸伝」のシリーズは かなりおどろおどろした内容でしたが 何とか20巻読み切りました。そのほかの作品も含めると栗本さんの作品は恐らく150冊以上読んでいると思います。その次に読んだ作品が多いのは 多分五木寛之さんだと思います。この方の作品は いかにも二十歳前後の男が読むべき作品だと思います。「青春の門」はやはり出会った時に かなりの冊数が発行されておりましたので「筑邦編」の二冊を読み終わったら 直ぐに「自立編」を買いに行ってしまいました。さらには「放浪編」「堕落編」まで発売されていましたので これまたグインシリーズのように 既に発売されている所まで 一気に読んでしまいました。
伊吹信介という青年の波乱万丈の成長の過程を細かく描写されていましたので 完全にはまってしまいました。ただこのシリーズは 五木さんが栗本さんのように 早いペースで 新しい編を書いてくれないので かなりイライラしたのを 覚えています。いまだに完結していないけれど 数年前にまた新しい編が スタートしたらしいので 機会があればぜひ読んでみたいです。五木さんの作品は そんなに長いシリーズ物は この作品だけなので いろんなジャンルの単発的な小説を それこそ手当たり次第に読みました。一番好きな作品は というとどうしても一つに絞り切れないので 二つあげますが「青年は荒野をめざす」と「にっぽん三銃士」です。どちらも男の無邪気なロマンが描かれていて 自分もいつか夢とロマンを求めて 旅立ちたいとずっと考えておりました。
三番目にたくさん作品を読んだのが 石坂洋二郎さんだと思います。石坂さんの作品との出会いは 高校生の時にテレビドラマとして放送された「光る海」でした。ドラマとしてもすごく面白かったし たまたま初回の放送を見てしまってはまってしまい 一回も欠かさずに見ました。当時は ビデオですらまだ普及していなければ ネットなんて影も形も存在していませんでしたから 放送されたのを見逃すと かなりの期間が立ってからの再放送位しか 見られませんので リアルタイムでテレビにかじりついてみていました。このドラマのストーリー自体が 非常に興味深かったのと このドラマの原作となって小説が 文庫本で発売されているのを知って 本屋さんに行ってみました。そこで 原作者が石坂さんであることを初めて知りましたし 「光る海」という小説の近所に 聞いたことのある小説が 何冊も並んでいました。
「光る海」は確か600ページ以上もありましたから 文庫本としては かなり分厚い物でしたので それ相応のお値段がしました。高校生の小遣いなんて僅かなものですから 購入するのにそれなりの覚悟がいりましたが 非常に面白かったドラマの原作となった小説を是非読んでみたいという 欲求が強かったので 思い切って購入しました。土曜日の昼過ぎに本屋さんに出かけて 急いで自宅に戻って読み始めました。あまりの面白さに 600ページ以上あった作品を夜中までかかって 読み切りました。ドラマもすごく面白く脚色してあり面白かったのですが 小説の場合 自分でその場面を自由に想像して膨らませられるので より面白かったので 一気にこの大作を読み通してしまいました。映像化された作品を あとからその原作を読んだ経験が初めてでしたので どうしても登場人物が ドラマに出演した役者さんのイメージに 固定されてしまうので そこがちょっと残念でした。
只石坂さんの作品が非常に面白いことを知ってしまったので 本屋さんに並んでいた石坂さんの作品は 片っ端から読んでいきました。高校時代に限定すれば 石坂さんの作品が一番沢山読んだのかもしれません。さすがにお生まれが1900年という19世紀の最後の年ですから 小説の舞台になっているのが 戦中戦後を時代背景として描かれている場合が多いので その辺りの感覚が 逆に味わったことがなくて新鮮に感じてしまいました。石坂さんの作品は かなりの数が テレビドラマや映画の題材として取り上げられています。映画の主人公としては 当時人気ナンバーワンだったと思われる 石原裕次郎さんが演じておられましたから それなりにヒットが期待されていたのだろうと思います。私が一つ目の大学生だったころに リメイク版が次々に作られましたが その作品では 三浦友和さん辺りが主演されている場合が多かったように思いますから やはりそれなりにヒットすることを前提に作られていたのだと思います。
私が沢山読んだ作家さんを三人あげましたが 石坂さんの作品が 読み直した回数は 一番多いのかもしれません。一番好きな作品は やはり最初のインパクトが凄く大きいからかもしれませんが 「光る海」です。時代背景も現代に一番近くて 親近感が湧くからかもしれませんが この作品はそれこそ何十回も読み直しました。沢山映像化されていますが 映像化された作品を先に見てしまうと どうしてもその役者さんのイメージが強く残るので なるべく先に原作の小説を読んでから 映像を見ようと心がけておりました。
石坂さんの作品の代表作と言えるのかもしれない「若い人」で主人公の江波恵子を吉永小百合さんが演じていましたが 吉永さんでは 清純すぎて全くイメージと会わないのですが 先に映画を見てしまったので 小説を読み進めるのが 辛くて苦労した覚えがあります。吉永さんは ご本人の年代を描いた作品の主役を務められることが殆どでしたが あの映画は 明らかなキャスティングミスだと 私は思います。人気のある役者さんさえ持って来れば 取り敢えずはお客さんが入って ヒット作と言われるのでしょうが やはり役柄に会ったキャスティングを心がけてほしいと思います。
今は 人気のある小説の場合 ネットで簡単に読み返すことができますので 今夜は「光る海」を凄く久しぶりに 読み返してみようかと 思っております。
 

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