1月9日 記憶に残りそうにひどい状態の犬の歯石取りをしました

16歳とかなりご高齢のチワワでしたが 歯石の状態が相当にひどかったです。歴代ナンバーワンとまではいいませんが 昨日両目の下が 急に腫れあがってしまったという事で来院されたのですが 口の中の状態を診ると歯よりも歯石の方がずっと大きくなってしまっていました。特に上の歯の方が歯石のつき方がすごかったので 恐らく歯の根っこまで 歯石が回ってしまっていて 目の下の部分が腫れ上がってしまっているのだろうと思われました。
根本的な解決法は 歯石を除去してしまう事ですが 年齢が高いので 麻酔をかけられるのかどうかが 問題になってきます。常連の患者さんでしたが 最近は病気らしい病気がなかったので キチンと血液検査をしたのが 三年前の事でした。人間でいうと十年以上も前に検査したようなものでしたから その場で採血して 肝機能 腎機能を中心に健康状態をチェックしました。幸いなことに両機能の項目が正常値の範囲に収まってくれていましたし 聴診すると心音も正常に近い割と良い状態でしたので すぐにでも歯石取りをしましょう と言う風に話が進んで 本日歯石取りの処置を行いました。
チワワのかなりの怖がりさんでしたので 麻酔前投薬の静注をするときに 結構抵抗してくれましたが 体重が三キロ未満の子でしたので 奥様が上手に保定をしてくださって 割とスムーズに麻酔がかかってくれました。気管チューブを挿管して 麻酔状態が安定するまで慎重に様子を見ましたが 年齢を考えると 出来るだけスムーズに歯石の除去を終わらせたかったので 出来る限り素早く処置を行いました。両目の下をは膨らませている上の歯は いずれもすでにぐらぐらしていましたので さっさと鉗子で引っこ抜いて綿棒でしっかりと止血しました。歯の根っこの部分が殆ど全面的に歯石に覆われていましたから 歯石除去する=歯が抜けるになってしまうのは致し方がなかったように思います。歯の根っこのあった部分を奇麗に洗浄しましたから 多分目の下の部分の腫れは数日で引いてくれるでしょう。
兎に角この子が病院内に入ってきたときから 放っていた強烈な口臭は無くなりましたので ホッとしました。すでにかなりの本数の歯が抜け落ちてしまっていましたので 割と短時間で歯のお掃除 表から裏から 歯周ポケットまで奇麗な状態にできましたので 早速麻酔を切りました。サービスで皮下点滴に抗生剤や止血剤 消炎剤などを混注している最中に もぞもぞと動き出しましたので すんなりと麻酔状態から醒めてくれましたから 一安心できました。やはり正直な所 高齢な動物に麻酔をかけるのは 相当に神経を使いますから 短時間ではありましたが結構疲れました。
歯石取りの処置は バイ菌の塊のような歯石を超音波のスケーラーで割りながら行いますので 病院内に 黴菌を撒き散らしているようなもので 正直有難くない作業ですが 現実に非常に汚かった犬の口中が かなり見た目にもきれいになり ひどかった口臭も 一時的にかもしれませんが 除去されましたから 処置の効果が目に見えますので それなりにやりがいのあるお仕事です。動物本人としても 麻酔から醒めた直後は 口内の感触が違和感に満ちているので 落ち着かないのかもしれませんが 口中の状態が明らかに改善されましたから すぐに食べやすくなった 噛みやすくなった事に気付いて喜んでくれるでしょう。
取り敢えずは 元気な状態に戻って 飼い主さんにお返しできましたし 見た目も口臭もいい状態に変化しましたので いいお仕事ができてよかったと思える一日でした。

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