10月12日 中学生が職業体験でやって来てくれました

昨年から 近所にある杉中学の職業体験学習と言う行事で中学生が実際に働く場に出かけて行って職場の雰囲気を感じて体験してみようという趣旨の様ですが 依頼を受けたので引き受けるようになりました。昨年は女の子が二人やってきました。今年はなんと三人もの可愛らしい女の子がやって来てくれました。

先日 下見がてら 挨拶に来てくれていましたから 初対面ではありませんが 本人たちはかなり緊張しているような表情でした。まずは病院の掃除から 三人に分担してもらって 始めてもらいました。掃除が終わったところで 医局で座ってもらって 実習の心構えや本日のスケジュールを説明しました。

先日挨拶に来た時に 何でもいいから私に質問を考えてくるように宿題を出しておきましたので その質問をしてもらいました。三人ともそれなりに一生懸命に考えてくれたことがうかがえる質問でしたので こちらも一生懸命に答えました。しばらく話したので ある程度は仲良くなれたような気がしました。以前はアルバイトで高校生の女の子を雇っていましたから 当時は若い女の子と話すことに慣れていましたが 何しろ十四歳の女の子相手では 両親よりも私の方がずっと年上ですから こちらとしても それなりに気を使うし 緊張もしていました。

話が終わって 預かっている動物に朝ごはんをあげてもらう事にしました。ある飼い主さんが持ってきた缶詰はプルトップではなかったので缶切りでふたを開けなければなりません。中学生に缶切りを渡したところ 三人とも初めて缶切りを見るらしくて 使い方も見当がつかない様子でした。

私が子供の頃にはプルトップタイプの缶詰など全く存在していませんでしたから 誰でも缶切りを使って缶詰を開けて食べていましたが 改めてジェネレーションギャップを感じてしまいました。しかしプルトップタイプではない缶詰も確実に存在しますから 缶切りの使い方もマスターしておくべきことなのではないでしょうか。教えたらなんとか三人とも時間はかかりましたが 缶詰を缶切りで空けることが出来ました。家にきっと缶切りは存在するはずだから 確認しておくように指示を出しました。昼から犬の避妊の手術の予約が入っていましたから その準備を見学してもらっているうちに十一時半ごろになりました。昼から手術と往診が一件予定に入っていましたが 急に往診がもう一件入りましたので 中学生には先にお昼ご飯を食べてもらう事にしました。

三人は持参したお弁当を食べ始めましたが 殆ど会話が無くて 凄く静かでした。女の子が三人もいれば 賑やかな食事風景を予想していた私は 心配になって「なんで何にもしゃべらないで食べてるの?三人とも仲が悪いの?」と尋ねてみました。三人はクラスが違うので殆ど初対面なのだそうですが 勿論仲が悪いわけではないのだそうです。ある一人が答えてくれましたが お弁当を食べている時間が 皆夢中で食べているので 教室が一番静かになるのだそうです。

十二時になり外来時間が終わりましたので 表を閉めて直ぐに手術に取り掛かりました。導入麻酔を静注して 気管チューブを挿管して手術を始めました。小さなプードルでしたから 慎重に麻酔を安定させてから術野を消毒して 私は手を洗い滅菌済みの手袋をはめていよいよ手術が始まりました。

おへその下を正中切開して腹腔内まで開いて 子宮と卵巣を引っ張り出しました。動脈を切断しますから しっかりと絹糸で括って慎重に切断して子宮と卵巣を摘出しました。ここまでスラスラと書きましたが 実は普段はしないような失敗をしでかしていました。腸間膜にある割と太めの静脈をうっかりと傷つけてしまい そこから予期せぬ出血がありました。

私は実に小心者ですから 中学生とはいえ見学者がいるので 緊張してしくじってしまったようです。勿論慌てたそぶりは見せずに出血点を探して鉗子で挟んで止血しました。手術中の事ですから出来るだけ出血は少ないに越したことはありませんが もし出血してしまったら 慌てず騒がず止血をすればそれで御終いです。

他には出血している所が無い事を十分に確認してから 閉じるために縫合する過程に入りました。まずは腹膜を縫合します。続いて皮下識を縫い合わ背ました。最後にナイロンで皮膚を縫い合わせて手術は無事に終了しました。麻酔を切るとすぐに目覚めましたから 傷口に外用薬を塗って エリカラーを装着して 犬舎に戻しました。

続けて二件の往診に出かけました。一件目はちょうど十日前に本日と同じ避妊の手術をした犬の抜糸に伺いました。飼い主さんが毎日きちんと消毒してくれていたみたいで 非常にきれいに切開した個所がくっついてくれていました。私が下半身を固定して奥様にハサミとピンセットで抜糸してもらいました。中学生は先ほど傷口を縫合した場面を見た直後に 奇麗にくっ付いてくれている傷口を見て 安心してくれたみたいでした。

続いては初めての患者さんで 猫八匹にワクチンをうってほしいとの依頼でした。そのお宅を訪ねてみると なんとその他に犬も数匹いて大騒ぎをしていました。出来たらワクチンをうつところも中学生に見学してもらいたかったのですが 飼い主さんが捕まえた猫に次々に注射していくので精一杯で 見学までしてもらうほどには 余裕はなさそうだったので 申し訳ないけれど家の外で待っていてもらう事にしました。

何とか順番に飼い主さんが猫を捕まえてくれたので 一匹ずつ初めてなので 診察したかったのですが しょうがなくて注射をうっておしまいにしました。病院に戻って 本日の感想や質問を受けていたら 終了予定の三時になったので帰ってもらいました。取り敢えずは無事に見学してもらえましたし 手術の準備やワクチンを大量にうつ準備 避妊の手術 往診の様子などを見学してもらえたので それなりに充実していたのではないでしょうか。元気に三人とも自転車で帰って行ってくれました。明日も実習はありますが 無事に終わってくれることを期待しております。

 

 

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