12月14日 本日は 赤穂浪士の吉良邸への討ち入りの日です

日本人が一番大好きなお芝居は 忠臣蔵と言われていたように思います。私が若い頃には 毎年この時期になると ドラマや映画で 赤穂浪士の討ち入りが 放送されていたように思います。夕方のニュース番組などでも 話題として取り上げられていましたし 討ち入りに出かける前に 浪士たちが 蕎麦を食べていたのは有名な話なので この日の晩御飯は 暖かいお蕎麦になる家も多かったのかもしれません。所が 今年は テレビで赤穂浪士関連のドラマや映画は 全然放送されていなかったように思います。私も全然忘れていたので 見逃しているだけなのかもしれませんが ヤフーニュースなどにも上がっていなかったように思いますから 徐々に赤穂浪士の討ち入り と言う日本人の大好きな 江戸時代の大ニュースも忘れ去られていくのでしょうか。
赤穂浪士の話は NHKの大河ドラマなどでも何度も取り上げられた 題材ですが ここ二十年近くは 取り上げられていません。やはり戦国時代と明治維新の前後を題材とするドラマが多い様に思いますが赤穂浪士の討ち入りを題材にすると 討ち入りの前後は盛り上がりますが 一年かけてそこに至るまでの 経緯を事細かく表現しても なかなか45分間の放送番組としては 盛り上がりに欠けるのかもしれません。それに 討ち入りの結末を知らない日本人は 恐らく存在しない位の大事件ですから 一体この先どうなってしまうのかと言う ワクワクドキドキ感に欠けるのかもしれません。
客観的に考えると そもそも浅野内匠頭が 小藩のトップとしての自覚に欠けていたために 刃傷沙汰事件を起こしてしまったことが 事の発端です。平和な時代の続く江戸中期の侍なんて 現在のサラリーマンと似たような境遇かもしれません。サラリーマンにしてみれば はらわた煮えくり返るような上司がいる事なんて当たり前だし 取引先から 執拗に苛められたりいじわるされる事なんて 日常茶飯事のはずです。確かに吉良上之介のいじわるが 度を越していたのかもしれません。
でも上役に対して 十分な付け届けをするのが当時としては受け入れざるを得ない 常識だったのでしょうし 吉良さんが付け届けにより態度を変える事なんて 当然事前の調査で知っておかなければならない情報でしょうし きちんと対応しなかったがために 必要以上に意地悪をされてしまったのです。付け届け 所謂賄賂の内容によって態度を変える吉良みたいな人間が褒められた存在ではない事は認めます。でもそれが世の中の当たり前の習慣になっていたのなら 勿論そんな悪習を 肯定する気持ちはありませんが 小藩だからこそ そのトップたる人間は 慎重に対応する必要があったように思います。
ドラマや映画では この辺りの顛末で 吉良が一方的な悪者 浅野が可哀想な被害者の様に 描かれてしまいますが 当時の当たり前の習わしを踏襲できなかった 浅野に非があるのかもしれませんし、刀を振るう事を厳禁とされた場所で 一方的に切りつけたやり方は 明らかに浅野の態度に問題があったと 現在の司法制度に照らし合わせてみても 判断されて それなりの重い処罰を課されてしまったことは 当然の流れの様に思います。武士の喧嘩は両成敗が御常道だから 吉良が何の処罰も受けないのは 片手落ちだと言われていますが 吉良からすれば 一方的に切りかかられただけで 喧嘩をするつもりは全くなかったのだとすれば 両成敗と言う判断を押し付けられても 可哀想に思えなくもありません。
赤穂浪士の討ち入りにしても 主君の仇を見事に討ち果たした 忠義侍の鑑のように解釈されてしまっていますが そのしでかした事実だけを客観的に見てみると 押し込み強盗殺人のようなもので ここでも吉良さんが一方的な被害者の様に思えなくもありません。日本の99パーセントの地域では 赤穂浪士よよく主君の仇を打ち果たした と拍手を惜しまないのかもしれませんが 吉良さんの地元だけでは吉良さんが一方的にひどい目にあってしまった被害者として 考えられているみたいです。吉良さんは身代のちいさなお侍でしたが 位だけが凄く髙かったため 伝統ある儀式のしきたり等を熟知していたので 儀式に対する振る舞いの指南役を務めていたのだそうです。地元領民に対しては 人情厚く接していたために 名君の呼び声も高かったのだそうです。ですから現在でも地元では悲劇的な災難に遭遇してしまった名君として拝み奉られているのだそうです。
赤穂浪士の行動を高く評価することで 主君に対して忠誠を尽くすことを尊び 強いては各大名家が安定し 更にはその上に君臨する将軍に対する各大名たちの忠誠心を 高めるための政治的配慮によって 浅野家が正義の味方 吉良家が稀代の悪者と言うように 評価されるようになってしまったのかもしれません。今後赤穂浪士の討ち入りを描くドラマなり映画なりが 制作される場合には そのような固定観念にとらわれないで もう少し客観的な視点に立って描かれることを 私は期待します。

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