3月15日 ミシシッピセスジガメという種類のカメちゃんが来院されました

電話がかかってきて ミシシッピセスジガメの診察をしてくれるかという問い合わせでした。正直な所 そんな名前の亀は初耳でしたが 症状が 急に喉が詰まったようになって呼吸困難を起こしている という事でしたので かなりの緊急事態だと判断して 直ぐに来院していただきました。飼主さんもかなり慌てた様子で ほどなく来院されましたが まずはその小ささに驚きました。頭から尻尾までで五センチほど 体重は十グラムしかありません。これまでも小さな亀ちゃんを診察しましたが 最少記録を更新する小ささでした。
生まれて数か月だそうですが あまりに小さすぎて 環境の微妙な変化などによって 体調に異変をきたす可能性が高い小ささです。せめてもう少し 健康状態が安定するまでは ペットショップが育ててから 販売を始めるべきだと思いますが そんなことをいまさら言っても始まりません。昨日から 食欲も落ちているのだそうで 命に関わる危険な状態でした。十秒に一回ぐらい 努力性の呼吸をしています。普通呼吸というのは 人間も眠っている間も継続される いわば無意識に行われている生命を維持するための活動ですが この子は 十秒に一回ぐらい 恐らく息苦しくなっての事でしょうが 意識的に深呼吸を繰り返して 辛うじて命を繋いでいるような状態でした。
飼われている環境としては 問題が無さそうでしたし 特に昨日今日生活にも変化がなかったのだそうですから 原因が分かりかねますが 取り敢えずは対症療法的に 呼吸を楽にするための薬と食欲元気が出る薬を 注射で投与しました。同効の内服薬をお渡ししましたが 何しろ口が凄く小さいので 点眼瓶に入れて渡しましたが 飲ませるのが難しそうに思います。食欲があれば 餌にかけて飲み込ませる方法も考えられますが 明日までにどれだけ食欲が回復してくれるのか 心配される状態でした。何とかお薬が期待通りの効果を発揮して 明日には呼吸が楽になり 食欲元気を回復してくれることを 心からお祈りいたします。
病院としては 出来るだけの治療をさせて頂いたつもりですが 余りにも成体が小さすぎるし 幼すぎるので ペットショップももう少し買いやすい段階になるまでは キチンと面倒をみてから 販売すべきだと 繰り返しにはなりますが思いました。結構珍しい品種を好む方が多いみたいなので ペットショップは 次から次への新しい品種の動物を販売していますが やみくもに手を広げるよりも ある程度飼い方 安定した面倒のみかたが確立された種類の販売にとどめて頂きたいし ある程度生命力が確立された年齢なり 個体の大きさなりに 成長した動物 飼育にそれほど難しくない段階になるまで 面倒をみてから 販売しないと 例え数日 数週間でも世話をしたのに ペットを死なせてしまうと 飼い主さんに少なからぬ 精神的なダメージが残ることを 心配してしまいます。

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