3月24日 この所 天寿を全うされた動物が 相次ぎましたので 流石に落ち込みました

動物病院と言う仕事柄 動物の死とは 常に隣り合わせですから 動物の死と直面しても これまで二十年以上のキャリアがありますから それなりに上手に気持ちを切り替えることはできるように思います。犬猫の平均の寿命と言われている十五歳を超えるまで頑張って来てくれた ペットたちが 所謂老衰で最期を迎えるのは致し方のない事ですから いちいち気落ちしていたら 仕事になりません。但し それだけの御長寿さんですから 長年当院に通ってきてくれていて 飼い主さんとも親しくなっている間柄の場合が多いので そんな老衰によるそれほど苦しまずに亡くなるケースとは言え 何例が続いてしまうと 表面的には平気な顔をしておりますが 流石に気分が滅入ってしまいます。

我々にとっては ある意味日常茶飯事の出来事も 飼い主さんにしてみれば 十年以上も生活をともにしてきた 家族同様のペットとの別れですから 泣きだされる方やひどく取り乱される方が 少なくありませんので その場面に同席することを繰り返しますと 辛い気持ちの切り替えが上手くいかなくなってしまうのです。人間を含めてすべての動物は 生まれ落ちたその瞬間から いずれは間違いなく死ぬことを宿命として背負いながら 生きているのです。寿命が尽きたら 死ぬのは当たり前のことだし ましてや平均の寿命を超える所まで 生きられたのなら 客観的に見れば 幸せな人生だったと言えるのかもしれませんが 現実的には飼い主さんたちがそんな風に単純に割り切れるものではありません。

この一週間で 老衰による衰弱した患者さんを 三匹預かりました。長年の経験から 持ってもあと1日であろうという状況は ほぼ見当がつきます。これが病気や怪我で瀕死の状態なら 何とか手を尽くせば 回復してくれる可能性がありますから 最後までその見込みが低くても頑張ることを諦めません。でも老衰のために衰弱しているのであれば 勿論治療により 一時的に回復する場合もありますから 最初からさじを投げてしまうのは 獣医師としてはあるまじき考え方だと思いますが 出来る限りの治療をしても回復の兆しが 見られない場合には 飼い主さんにお返しして 自宅で飼い主さんに看取られながらながら最期を迎える方が幸せだと思います。少なくとも私自身は 式が近づいたと自覚したなら 病院で色んな治療を受けていたとしても 取り敢えずは自宅に戻ることを希望します。

私もそのようなつもりで 飼い主さんに状況を説明して 迎えに来られることをおすすめするのですが 場合によっては 病院に見捨てられたと 勘違いされそうになる場合もありますし 息を引き取る姿をとても見ていられないので 入院の継続を望まれる場合も 少なくないのです。今回の3人の飼い主さんはいずれも 入院の継続を望まれました。ある意味病院を信頼して任せてくださるわけで 光栄な事かも知れませんが 私も他にも仕事がありますし その子にずっとついてあげられる訳ではありませんから 最期を看取ってあげられないかもしれないと お話しするのですが お迎えには来られませんでした。

結局3匹とも朝起きて入院室を覗いたら 死ぬ直前の状態で 何とか蘇生を試みましたが 飼い主さんが駆けつけられるのが間に合わないまま 息を引き取ってしまいました。最期を私が看取ってあげられたと言えるのかもしれませんが 自分の無力さを続けて自覚させられたみたいで 気持ちのダメージが 積み重なって 現在少なからず落ち込んでおります。臨床獣医師としては 患者さんの死を真摯に受け止める必要はあるのでしょうが その度に落ち込んでいたのでは 前向きに仕事に取り組めませんから 適度な切り替えが必要な事は分っています。でも前日の夜にでも 迎えに来て頂いた方が 患者さんたちの気持ちとしては嬉しかったのではないかと思うと どうしても後ろめたい気持ちになってしまうのです。

私の現在の最大の元気のもとは ナーちゃんの写真集を眺める事ですから せいぜいナーちゃんの笑顔で 嫌されて 立ち直っていこうと思います。泣き言を言っていても また有り難い事に患者さんは 来院してくださりますから 元気を出して仕事に取り組んでいこうと思います。

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