3月4日 近所の家にカラスが十羽ぐらいたかっていました

病院の受付からみえる直ぐご近所の家にカラスが十羽ぐらいたかっているのをみかけました。一体どうしたのだろうと注意してみていると どうもそのお宅の庭木に赤い実がなっているみたいで カラスはそれを食べに集まっているみたいでした。その庭木にしばらくとまっていると赤くて結構大きな塊を咥えて飛び立ち近所の家の屋根の上でゆっくりとつつきながら美味しそうに食べています。

一体何の実がこの寒い時期になっているのか気になったので そのお宅の傍まで確認しに行きました。診察時間中に何をやっているのかと思われるかもしれませんが この時期病院は暇なのです。遠くからでも赤い塊が見えたのでひょっとして今の時期に柿ぐらいの大きな実がなっているのかと思いましたが、近くで確認すると南天の実でした。南天の実自体は一粒が一センチあるかないかの大きさですが それが密集して実っているのです。

カラスは賢いので一粒ずつを食べるよりもブドウのように密集して生えている実を枝ごと折って 咥えて飛び立ち落着ける場所に運んで ゆっくりと食べているのでした。木の下には南天の実が一粒ずつ散らばっていましたが カラスは落ちた実を一粒ずつつつくよりも 密集している枝を折って咥えて飛んでいく方が 効率的であることを知っているから落ちて転がっている実には見向きもしませんでした。全くカラスの賢さには驚きます。

数年前にカラスの幼鳥を保護したことがあります。巣立つ前に巣から転げ落ちて猫に襲われたみたいで 結構ひどい外傷を負っていました。たまたま見かけた通りがかりの方が 可哀そうなので面倒をみてやってくれと連れてこられらのです。普段なら野生鳥獣の場合、治療は病院として無料でさせてもらいますが 基本的にその鳥獣の面倒は連れてこられた方にお願いしています。

所がその連れてこられた方が旅行中であと数週間は家に戻らないという事だったので 病院で預かって面倒をみることになりました。ツバメの場合は餌として虫しか食べないので 魚釣り用のゴカイでも用意して食べさせなければならず結構面倒なのですが カラスは雑食性なので 人間の食べるものは何でも食べてくれます。スーパーで売れ残った腐る寸前の果物やパンくず ニンジンやジャガイモの皮など生ごみになりそうなものをきれいに平らげてくれました。ひな鳥なので 食欲が凄くありみるみる体が成長していき 外傷もみるみる回復してくれました。

カラスと言えば真っ黒だしゴミを漁っていたりして あまりイメージが良くない方が多いかもしれませんが 私も初めてカラスの面倒をみて カラスのイメージが全然変わりました。まず、カラスはすぐ傍で見るとかなりでかいです。最初はヒナだったのでそれほど大きく感じませんでしたが 成長期ですから一杯食べてグングン大きくなり そこらへんによく見かける土鳩よりもずっと大きくて抱いた感じだとほぼ鶏位になりました。それとカラスの羽の美しさは見とれるぐらいで 本当にまじりっけのない黒さです。そして賢いので傷の消毒をするときには多少抵抗しますが 自分を保護して餌をくれる存在だと認識すると直ぐに懐いてきて 甘えるような仕草までするようになりました。何となく可愛くなってしまい このまま面倒を見続けようかと思うぐらいでした。身近で面倒をみるとカラスというのは凄くチャーミングな鳥でした。

このカラスの雛を病院に保護してからずっと病院の前の電線にカラスがとまっていて朝シャッターを開けるときからずっとこちらを見てカーカー鳴いています。どうしたのかな位であまり気にも留めていませんでしたが 保護していたカラスが十分に飛べるぐらいに成長し、外傷もすっかり治りましたので 近所の公園に連れて行って放してやりました。最初は戸惑っているみたいでしたが 危なっかしく飛んでいると他のカラスが近づいて上手に誘導して 直ぐに上手く飛べるようになりました。そのカラスはなんと病院の前の電線に何時もとまっていたカラスのようでした。

これは推測ですが 恐らく自分のヒナが巣から落ちて猫に襲われ通りがかりの人に保護されてうちの病院に運び込まれたのを見ていたのだと思います。それから心配していつもうちの病院の前で様子を窺っていたのでしょう。無事に自分のひな鳥が怪我から回復しちゃんと飛べるようになるまで成長したので 未熟な我が子に上手く飛べるようにアドバイスをしたのだと思います。カラスのヒナを放してからはそのカラスを見かけることは無くなりましたからたぶん間違いないと思います。

その時にカラスの記憶力を含めた賢さと 親が子を思う気持ちの強さに 凄く驚きまた感動したのを覚えています。

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