4月10日 部屋の壁に激突した文鳥さんが 来院されました

よる病院を閉めようと シャッターを下ろしかけていた所 慌てて来院された飼い主さんの手の中に血まみれになったサクラ文鳥がいました。どうしてこうなったのか 訊ねると部屋の中でフリーにして遊ばせていた時 急に孫が歓声を上げて部屋に入ってきたので 驚いて飛び立ち部屋の壁に激突したのだそうです。カルテを作るよりも先に 取り敢えず診察を始めました。体重体格は標準的でした。口から出血していましたが 嘴が一部損壊して そこからの出血があるようでしたので 、まずはクイックストップと言って 爪切りをしたときの 出血を止めるための薬剤を 嘴の出血点にたっぷりと塗布しました。この薬は 酸の作用によって 血管を焼いて 出血を止める作用がありますので なるべく出血点だけに限定して投与した所 何とか出血が治まってくれました。数十グラムの体重しかない 小鳥の場合体内の血液自体が 数ミリリットルしかありませんから ほんの僅かの出血ても 出血多量で命に関わることが多々ありますので 取り敢えずの所 止血できましたので ホッとしました。
意識が朦朧としているみたいでしたが 徐々に回復してきましたから 壁に激突したダメージから少しずつ回復してくれているようです。体の他の部分を丁寧に診察しましたが 損壊した嘴以外は 外傷がないようですし 念のためレントゲンを撮ってみましたが 特には異常な部分が観察されませんでしたので 大量の出血と 激突したことによる物理的なダメージから 何とか回復に向かってくれれば 助かる可能性が高いと判断しました。兎に角小さな命です。三キロの生まれたての子犬の百分の一しかありませんから 回復に時間がかかることは予想されますが 飼い主さんが 事件が起こって約十分後には 病院に駆け付ける位に この子の命を大切に思って飼っていらっしゃるので 何としても無事に回復してくれることを期待いたします。
傷口を消毒してから 抗生物質の軟膏を塗布しました。出血は幸い完全にコントロールできたようなので 後は肉体的なダメージからの回復を待つしかありません。抗生剤と消炎剤を注射で投与して 内服薬でも同効の薬剤を処方しました。自宅で 嘴の消毒と外用薬の塗布、点眼瓶に入れて渡した内服薬の投与を きちんと継続していただければ これから暖かい季節に向かっていくこともありますので 見通しは暗くないように思います。飼主さんが愛情をもって 大切に飼われているペットですから 無事に元気になってくれることを 心よりお祈りいたします。

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