4月8日 ハムスターの直腸脱を上手く還納できませんでした

直腸脱という病気は 肛門から 直腸が反転して突出してくる状態になってしまうものを言います。普通は その状態になってしまったら その動物が元気や食欲を消失することもあり 直ぐに病院に来院される場合が殆どです。所が 本日来院された飼い主さんは 仕事が忙しかったと言い訳されていましたが 一週間近くもその状態で放置していたのだそうです。本人は 食欲元気が消失してかなりの時間が経過していますし 脱出してしまった直腸に相当な違和感を当然感じていたでしょうから 散々舐めたり噛んだりしていたらしくて 真っ赤かになって晴れ上がっている状態でぐったりとしていました。
私は取り敢えずは 脱出してしまってから かなりの時間が経過して 酷い炎症を起こしている直腸をヒビテンを浸した脱脂綿で清潔にしてから 腫れや痛み発赤をひかせる薬と 抗生物質のの合剤をタップリと直腸の表面に塗り込みました。直腸自体が 相当に腫れ上がってしまっているし かなりの時間が経過しているから ある程度直腸の状態が落ち着いてからでないと 肛門内に上手く戻せない事が 十分に予想されましたが 何とかこの場で 還納できるものならしてあげたいと思って 肛門内に戻そうと試みてみました。粘滑剤を表面にたらして 滑りが良い状態にしてから 何しろ小さな肛門ですから 細い綿棒を使って 直腸が何とか肛門内に戻せないかと 頑張ってみました。でも赤く腫れあがった痛々しい直腸を 肛門内に上手く還納できませんでした。
何しろ一週間ぐらい 殆ど食べてもいない状態でしたから 少しでも体力を回復してくれることを期待して点滴に抗生剤や消炎剤を加えて 皮下に投与しました。直腸の表面に投与した薬がある程度効果が現れたら はみ出している直腸の容積が縮小しますから 何とか還納できる状態に変化してくれることを期待して 取り敢えずは塗り薬と飲み薬を処方しました。毎日きちんと薬を投与してくれれば 数日でいい状態に戻ることを期待しておりますが、直腸が肛門からはみ出してから 平気で一週間も放置してしまう飼主なので 治療をキチンとしてくれる可能性は 正直あんまり高くないのかもしれません。ある程度脱出している直腸が縮小したら 肛門内に還納して 直ぐにまたはみ出してこないように 肛門に医療用の接着剤で蓋をしてしまいます。接着剤ですから 何時まで肛門が閉まった状態を維持してくれるか分かりませんが 殆ど食べられていない状態なのですから しばらくは排便する可能性も低いので 肛門と直腸の状態が落ち着くまで 一時的に必要な処置だと思います。但し この飼い主さんが きちんと治療を自宅で頑張ってくれて 良い状態になったらまた来院して治療の仕上げをさせてくれる可能性は 正直あんまり高くないのかもしれません。ペットに十分な愛情を持てない飼い主さんと巡り合ってしまった このハムスターちゃんが不幸なのかもしれませんが 何とかこの命に関わる大ピンチを上手く乗り切ってくれることを願っております。

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