4月3日 歯よりもでっかい歯石を抱えた子の歯石取りをしました

犬種はミニチュアダックスでしたが 経験上ダックスとヨーキーの老犬は ほぼ間違いなく歯石を山のように抱えている場合が多いです。本日処置した子は 先日初めて 皮膚病の治療で初めて来院されたのですが その時に 病院内に入ってきたときから そのあまりに強烈な口臭に 呆れてしまいました。別に歯石は 急に付着したわけではありませんから 毎日の積み重ねで 徐々に巨大化していったはずですし その口臭も長い時間をかけて 強くなっていったのでしょう。飼い主さんにしてみれば 犬から嫌なにおいが漂ってくることには 気付いておられたはずですが シャンプーしても全くその嫌なにおいがなくならないので この犬に固有の体臭だとでも勘違いされていたのかもしれませんが 強い口臭に気付いておられませんでした。
この子の皮膚病は 細菌感染によるトビヒの類の病気でした。皮膚の表面で細菌が感染症をおこしている部分があり 結構強いかゆみを伴うので 搔き毟ると 患部の浸出液が周囲に 広がって その患部と症状があちらこちらに飛び移って拡大してしまうのでトビヒと言う名称がついているみたいです。人間でも夏場は子供さんなどによく起こる病気です。人間の場合 搔き毟しると 余計に患部がひどくなるし 場合によっては 嚢胞が出来て膿が貯留してしまう場合まであり得ますので むず痒かったり 違和感を感じて触りたくなってしまうかもしれませんが 極力患部に触らないよう気を付けてもらいます。人間の場合まさか患部を舐めまわしたりしませんので 刺激の少ない消毒液で 患部を出来るだけ清潔に 保ってもらい 定期的に 抗生剤の軟膏またはクリームを塗布してもらうと 程度に寄りますが 一週間ぐらいで治癒します。状態が相当に悪い場合は 抗生剤と消炎剤を内服してもらう事もあります。
この子の場合 患部が口の届きやすい つまり舐めまわしやすい下腹部でしたので 取り敢えずは口が届かないようにエリカラーを装着しました。暫くは 首枷をつけての生活ですから 不自由をかけてしまいますが 早く皮膚病を治療するためなので辛抱してもらわねばなりませんでした。患部の毛を刈って 消毒しやすい状態にして 外用薬と内用薬をお渡ししたのが一週間ほど前でしたが、昨日皮膚の方がすっかり良くなったので 歯石取りをしてもらいたいとの電話が入りましたので 本日午前中に絶飲食で来院していただき お預かりして昼の休診時間に 処置を行いました。
年齢が 十三歳と結構高齢なので 麻酔を慎重にかけて 丁寧に歯石を除去する処置を行いました。初めての歯石取りなのだそうで スケーラーで歯石を除去しても 輝くような真っ白にはなりませんでしたが 何とか前歯から一番奥の歯まで表から裏まで徹底的に歯石を除去しました。歯と歯茎の隙間まで 丁寧に除去しましたので 歯肉炎を起こして 腫れ上がっている歯茎が きっと元のような引き締まった歯茎に戻ってくれることと思います。まあ結構高齢ですから 時間はかかるかもしれませんけれど。
歯石と言うのは 歯垢がミネラルによって石のように固まったものですから 不潔極まりない代物です。電動スケーラーでその歯石を振動させて 割りながら除去していくのですが 歯石の破片が周囲に飛び散りますので 手術用のマスクと帽子を装着しながらの作業ですが 何しろ付着してからの年月が長いので 簡単に割れないし 歯の表面から剥がれ落ちてくれないので 相当に苦労しながらの 根気のいる作業でしたが こちらの勧めに応じて すぐに歯石取りを決意していただいた飼い主さんの期待に応えるべく 頑張って作業しました。
それなりに荒っぽい作業になりましたので 出血が少なからずありましたし 歯茎の炎症も相当なものでしたので 念のため内服薬を五日分お出ししてみました。うちの病院の雰囲気が気に入っていただけたようなので 来週トリミングの予約までしていただけたので とても嬉しかったです。この子の歯石取りは 結構大変でしたが 飼い主さんにとても喜んでいただけましたので 頑張った甲斐がありました。明日もまたお仕事頑張りまーす。 

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