5月12日 狂犬病集合注射の副反応の報告が今頃になって届きました

本日の午前中に 樟葉で開業されている獣医師会の会員の先生から電話が入りました。先ほど保健所さんから連絡が入り その先生が集合注射会場で注射した犬に副反応が認められているのだそうです。今年の集合注射の反省会もとっくに終わった今頃になって という気持ちもありますが 注射の副反応によって苦しんでいる犬がいるのなら そんな事は言ってはいられません。

事の発端は 本日の朝一番で 犬の飼い主さんのお父さんに当たる方が 訪ねてこられて「狂犬病を注射してから 犬の体調が悪くなった。首が傾いてひくひくしている。神経症状が出ているから 脊髄に注射されたのではないか?近所の病院の先生に尋ねたらそう言われた」という事でした。

保健所の方が注射を担当した先生の所に電話をかけて知らせたのだそうです。七歳の20キロ近くあるフレンチグルドックなのだそうです。私が本当は会長としてのお仕事はもうお役御免のはずの時期なのですが 一応私の任期中に発生した事件なので 私に連絡してこられました。現実問題としてそれだけの体格の犬の脊髄に 八分の五インチ(約15ミリメートル)の針が届くことは絶対にありえません。まともな獣医師なら 一笑にふす位の事ですが 無知だからなのか 悪意があるからなのか 分かりませんが 一応獣医師の免許を持って開業している人間が そのような間違った情報を飼い主さんに与えてしまったがために 飼い主さんが大いなる誤解をしてしまいました。

私はたまたま本日の昼一番で 四月分の狂犬病の書類を保健所さんへ提出する予約を取っていましたので 約束通りにその時間に出かけて行って その時の飼い主さんの様子や言い分を詳しくききました。脊髄への注射なんて もし注射するものが 意図して注射しようとしても物理的に針の長さが届かないので 不可能であり ましてや注射を担当する獣医師は万が一にもそのような事を起こさないように注射する事を心がけていますから 100%間違いなく脊髄への注射なんてありえない事を保健所の方に説明しました。

第一にもし注射の針が脊髄に到達していたら その瞬間からのた打ち回るはずです。飼い主さんのいう事では注射の翌日から様子がおかしくなったのだそうですから その事実から考えても 注射で脊髄に損傷を与えた可能性を示唆する獣医師の馬鹿さ加減が分かろうというものです。

一体どんな先生がそのようなバカげた情報を飼い主さんに話したのか 保健所さんに尋ねたら 勿論獣医師会には加盟していない やぶ医者として悪名の高い獣医師であることが判明しました。飼い主さん側は その全く間違った情報によって かなり怒り狂っておられるようなのです。

当面の責任者は注射をした先生ですが このような問題は枚方市獣医師会全体の問題としてとらえて 取り組んでいかねばなりません。とりあえずは その犬の現状を確認するために 診察をさせてもらうことが先決ですが 飼い主さんが仕事の都合で日曜日にしか病院に連れていけない という事なので 次の日曜日17日にその先生の病院で診察を受けてもらう事になったのだそうです。

保健所の方は 基本的に中立の立場で話をきかれているはずですから 私の説明で 副反応が起こっていると言われている犬の症状が注射と関係している可能性が 限りなくゼロに近い事は理解して頂けたと思います。但しいきり立っている飼い主さんが このような説明を受けても 言い訳をしているとしか受け取ってもらえない可能性が高いと予想されます。注射と認められている症状の関連性は限りなくゼロに近いとは思いますがゼロであるとはなかなか断定できないからです。

注射との関連性がゼロであると断言できない以上は 注射した私たちが責任を持って面倒をみるのが まっとうな道筋だと思います。苦しんでいる犬が目の前にいるからには 元気にしてあげるのは獣医師としての使命でもあるからです。

取りあえずは 犬の状態を診察してから、飼い主さんとじっくりと話してからしか 具体的な対策の立てようがないのかもしれません。何にしろ枚方市獣医師会としては数十年ぶりに起こった難題ですから ジックリと腰を据えて対応していかねばならないように思います。これが六月になって次期役員に完全に引き継ぎを済ませてからなら 私は無関係なのでしょうが 当面の責任者として対応を考えていかねばならない立場でしょうから 正直な気持ち 面倒な事この上ありませんが 頑張らざるを得ません。

今回の事件に関しては たまたま注射を担当した先生も 相当な貧乏くじを引いたのかもしれませんが 本来ならお役御免のはずなのに対応しなければならない私が 一番の貧乏くじを引いたのかもしれません。ぼやいていても仕方がないので この事件の事を全会員にメールで報告しようと思います。ああ、それにしても溜息しか出ませんので 本日のブログは終わります。

 

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