私は中学生の頃　マカロニウェスタンにハマっていました。ジョンウェインが主演するジョンフォード監督作品などが　アメリカの正統的な西部劇だと思います。日本で言うと「水戸黄門」みたいな分かり易い勧善懲悪のストーリーには　中学生の頃のひねた餓鬼である私にはあまり魅力を感じませんでした。

マカロニウェスタンの主人公は　全く品行方正ではありませんが　その映画に登場するもっと悪い奴らを痛快に叩きのめしてくれるので　見ていて凄くスカッとしました。クリントイーストウッドは　ジュリアーノジェンマと並ぶマカロニウェスタン界の二大スターだったと思います。「荒野の用心棒」は日本の「用心棒」の焼き直しと言われていますが　何度繰り返し見ても面白い映画だと思います。「続夕日のガンマン」なんてとても主人公とは思えないほどの悪者ぶりが　最高にカッコよかったと思います。

クリントイーストウッドを有名にしたのは　テレビドラマの西部劇「ローハイド」でした。私はこのドラマの主題歌が大好きだったので　再放送を何度も繰り返し子供の頃に見ていました。シチュエーションとしては多数の牛を牧場から市場へ運ぶ旅の途中にさまざまの事件が起きるのを描いたドラマでしたが　私にとっては当時としては「コンバット」と並んで最高に面白いテレビ番組でした。「ローハイド」の頃のイーストウッドは　まだ若いからしょうがないのかもしれませんが　頼りにならないアンちゃんという感じが好きでした。

それが次に見たマカロニウェスタンでは　あまりに渋くてかっこよすぎて　男に男が惚れてしまいました。悪い奴らに憧れる　高倉健さんと任侠映画に通ずるものを感じていたのかもしれません。ですから私にとってのイーストウッドはあくまでも馬に乗ってテンガロンハットをかぶり腰にピストルをぶら下げているイメージなのです。

映画の世界で　イーストウッドが一流と認められたのはその後の「ダーティーハリー」シリーズを演じてからだと言われていますが　私には例えば高橋英樹さんが　スーツを着て現代劇に出演していても　何か違和感を感じてしまうような気持ちになってしまいます。やっぱり私にはイーストウッドは　馬に乗って荒野を　（と言ってもマカロニウェスタンが実際に撮影されたのは　ユーゴスラビアやスペイン　なのだそうですが）駆け回っている姿の方が　私にはよっぽどカッコよく見えます。

その後監督やプロデューサーみたいな仕事もされたり　政治の世界にも積極的に進出されたりしていますが　私はあくまでも役者としてのイーストウッドが大好きでした。久しぶりにマカロニウェスタンが見たくなりましたので　ツタヤに出かけてみようかと思います。