5月7日 1824年の本日 ベートーベンの「第九」が初演されたのだそうです

ウィーンのケルントナー トーア劇場において ベートーベンの「第九」は作曲者自身の指揮により初演されました。初演は演奏会としては大成功であったと言われています。初演後の会話帳によると、聴衆が第二楽章の終わった時に喝采してしまって演奏が中断されてしまったのだそうです。更には曲の途中でありながらアンコールを求める拍手が鳴りやまなかったのだそうです。演奏後にも度々万歳がコールされて警察官が出てきて静止したほどだったそうです。また、聴衆の大拍手に気づかず総譜を見つめていたベートーヴェンのために、アルト若しくはソプラノの歌手が肩に手をおいて 聴衆の方に向けさせた、という逸話も残されています。

初演としては大成功を収めましたが 音楽批評家などからは 何しろ交響曲に合唱がプラスされた画期的な作品でしたから どうしても保守的な批評が多くて あまり好評価されてはいなかったようです。聴衆が異常に盛り上がったのは 久し振りにベートーベンが表舞台で指揮をしたことに興奮してしまったからであろうと言われているみたいです。

ベートーベンは紛れもない天才作曲家であることは間違いありませんが ピアノなどの単一楽器にも名曲が多くて オーケストレーションつまり楽器の演奏の割り振りがあまり上手ではなかったようです。従って初演された時の楽譜と 私たちがよく耳にする「第九」の楽譜はかなり異なっているらしいのです。

ベートーベンの死後 フランソワ アントアーヌ アブネック と言うフランス人の指揮者が その難解な楽譜を三年にわたって研究してからバリ音楽院管弦楽団と言うオーケストラと じっくりと練習を重ねて現在に近い形で演奏したのだそうです。その後 この演奏の影響をベルリオーズやリヒャルトワーグナーが聴いて 影響を受けて 更に発展させたのだそうです。リヒャルトワーグナーはオーケストレーションが非常に巧みであったのだそうで終楽章の木管のソロパートなど見事に形作っていったのではないでしょうか。更にはハンスフォンビューローやリヒャルトシュトラウスが独自の解釈を加えていきました。更にはワインガルトナーなどの新解釈も加味されてマーラーやメンゲルベルクと言った偉大な指揮者たちが ほぼ現在の「第九」を完成させていったのだそうです。

今日では殆ど全世界のオーケストラのレパートリーに加えられているみたいですが そのもちいられる楽譜がベートーベンのオリジナルのものとは かなりかけ離れているようなので 演奏自体のオリジナリティと言う点では 永遠に解決されないであろうテーマとして 捉えられているのだそうです。

私たちにとっては クラシック音楽と言うのは 既に長年人類の財産として評価されていて その素晴らしい音楽を受け入れるだけのものですが これらの音楽をオンタイムでダイレクトに受け入れられた人たちは凄く幸せな方々だと思います。特に初演に立ち会えて 自分の耳で聞くことができるなんて最高の贅沢のように思います。未だ誰からも評価されていない音楽を 先ず自分の耳で聞いて 感じられるのですから 羨ましい限りです。

私は現代音楽と言うものが 正直あまり好きではありません。凄く斬新なのかもしれませんし 私の頭が保守的なだけかもしれませんが 何とも受け入れがたいのです。これらの私の耳には受け入れがたい音楽も いずれは評価されて人類の財産として 残っていくのかもしれませんが 私が生きている間には 私を感動させてくれはしないだろうと思います。

私の人生も もうそんなに長く残っていないのだろうと思いますから 好きなジャンルのコンサートには 出来るだけ機会を作って出かけて行って 感動できるときに感動しておこうと思います。

 

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