当院では　フィラリアの内服予防薬は　最少五キログラム以下の体重の犬用から　販売してします。予防薬には投与法として内服や滴下　注射などいろいろあります。内服薬でも錠剤や顆粒タイプ　液体などいろいろありますが　当院では錠剤の内服薬を中心に扱っています。その種類として　一錠で二十キロまで予防できる大きなものと　十キロまで予防できる中ぐらいのもの　三キロまで予防できる小さいタイプの三種類があります。所が　いわゆる小型犬の場合四～五キロ位の体重の子が多いのに　この種類の錠剤の場合は　それらが全て十キロまで予防できる中型の錠剤を投与する必要があります。
当院でフィラリアの薬を処方する犬で体重が三キロ以下の子は　殆どいません。逆に一番多い四～五キロの子が　十キロまで予防できる薬を処方するのでは　原価から計算する販売価格が高くついてしまいます。当院では予防注射を含めて　予防にかかる料金をできるだけ安くして　安いから飼い主さんとしても無理なく予防をしてあげられるように　予防にかかる料金を設定したいのです。そこで　十キロまで予防できる錠剤を半分に分割して　お渡しすることで　薬の原価が下がりましたので　体重五キロまでの子たちの予防価格がかなり安く設定できました。
それでこの時期は　錠剤を半分に割る　割錠器が結構活躍するのです。開業以来ずっと使い続けていた　割錠器が今シーズンも最初のうちは　きちんと仕事をしていてくれましたが　二十年以上も使い続けてきましたから　さすがにきちんと錠剤を真っ二つに割ってくれなくなってしまいました。明らかにちょうど半分には割れなくなってしまったのです。プラスチックの容器に金属の刃物を固定しただけの　簡単な作りのものですから　恐らく刃の部分が若干斜めにいがんでしまったのだと思われます。
二十年以上も懸命に働いてくれた割錠器に文句を言っても始まらないので　新しいものを購入することにしました。奥様が医療用の小道具を通信販売しているサイトを見付けてくれましたので　そこのホームページを見て　新しい割錠器を探しました。一口に割錠器と言っても　結構いろんなタイプがあるので驚きましたが　これまでのものと同じタイプが使い慣れていて安心でしたので　そのタイプからどれを購入するか考えました。
写真では　勿論細かい違いまでは分かりませんが　価格が千円以下の割安感のあるものから　その三倍以上もするかなり上等そうなものまでありましたが　開業時に買った割錠器自体が　それほど上等のものを購入する余裕はなかったはずですから　安いものでも　あと三年ぐらいは働いてくれるだろうと　期待して一番安いものを購入してみました。先日とどいたので　本日初めて錠剤を割ってみました。
所が　錠剤を全然半分にきちんと割ってくれないのです。きちんと所定の位置に錠剤をセットして　丁寧に割ってみましたが　錠剤が全く均等に半分ずつにはわれてくれないのです。即ち　割錠器として全くきちんとした仕事をしてくれないのです。やはり安物買いの銭失いだったのかもしれません。他の種類の錠剤を割ってみたら　何とかほぼ半分に割れてくれました。しかし当面フィラリアの錠剤をキチンと半分に割りたくて　購入したのですから　その目的は全く果たしてくれません。
そこでフィラリアの錠剤を鉗子で挟んで　固定して　メス刃で　半分の所にカリカリと切り込みを入れて　爪で割ってみました。一個当たり十秒ぐらいはかかりますから　効率は良くありませんが　当面必要な仕事は　それでなんとかこなせそうです。今回購入した割錠器が　安物の為にきちんとした仕事が出来ないのか　果たしてもっと高価なものを購入していれば　キチンと半分に割れたのかもしれませんが　今更高価な割錠器を買って試す気はありません。でも他の道具でも価格が高いものは　やはりそれなりに優れた特長を持っていた場合が　自分の経験上は　何度もありました。これまでに購入した包丁などで　
昨今　買い物をする形態として　実際にお店を訪問して　その商品に触れてみて　その性能を確認してから　購入することはあんまりないようです。今回の買い物も　ホームページを探して　写真でその商品の形や色を確認して　簡単な説明文によりって　どのような商品なのかを想像しただけで　購入を決めてしまいました。勿論もっと高価な商品を購入するときには　その商品についてもっと細かく確認するのでしょうが　千円から数千円位のものでしたので　簡単な購入法を用いて　失敗してしまいました。
次回からは　安価な商品であっても　慌てて購入を決めずに　仕事仲間の近所の獣医師さんに相談してみて　助言を求めるなど　もっと情報を集めてから　購入を検討すべきだと反省しました。今回の失敗は　何とか乗り切れそうですが今後　大きな買い物をするときに　この経験を活かして　失敗しないように気を付けます。