7月10日 先日預かった カラスが元気に旅立っていきました。

数日前に夜病院を閉める少し前に電話がかかってきて 樟葉駅にいるのだけれども 怪我しているらしいカラスを保護したのだけれども 治療してもらえますか と問い合わせがありました。当院としては 野生の動物を保護して連れてこられた場合 原則として治療費の実費を連れてこられた方に負担して頂き 傷口の消毒や投薬はやはり連れてこられた方に面倒をみて頂く事を 了解していただけるなら 治療させて頂いております。
連れてこられた方は女性が二人でした、一人は守口 もう一人は門真とかなり遠方にお住まいの方たちで 樟葉駅を利用していて結構人通りのある駅の改札口近くで見つけて 心配で放っておけなくて保護したのだそうです。周囲には結構人間が集まっていましたが みんなカラスの写真をおもしろがって撮影するばかりで 写真を撮ると満足して立ち去る人ばかりだったのだそうです。近所の病院から順番に連絡を取っていったみたいですが みんな断られて 枚方市でも一番遠いかもしれないうちの病院に辿り着いたのだそうです。
当院ではつい先日も交通事故に遭ったタヌキを 手術して何とか元気になってもらって 自然に帰ってもらいましたが 今回もまだ巣立ったばかりで産毛が残っているような状態の若いカラスを連れてこられてしまいました。女性のお一人は 動物を一切受け付けてくれない家族なので 自宅に連れ帰るのは無理のようだし、もう一人のお宅は猫をいっぱい飼っているので やはり自宅に連れ帰れないという事なので 暫く病院で預かって 治療して元気になったら 旅立ってもらうしかなさそうです。
カラスとしては 成鳥の半分ぐらいの体重しかない 本当にまだ幼くて おそらく巣立ったばかりなのに 上手く飛べなくてたまたま駅の建物内に迷い込んでしまい 衰弱してしまったみたいです。丁寧に体中を診察しましたが 外傷らしいものはありませんでした。すぐにペースト状のドッグフードの缶詰を与えてみましたが 興味は示しますが 食べてくれません。診察しているうちに 糞をしましたが かなりの下痢便で 体力とともに水分も失って 余計に衰弱しているみたいでした。猫用のミルクで作った 流動食を口に流し込んでみました。甘くて口当たりが良いので 暫くは機嫌よく呑み込んでいましたが 暫くしてせっかく飲み込んだものを 嘔吐してしまいました。
下痢に嘔吐が重なり 脱水症状がひどいので 取り敢えず制吐剤や整腸剤を点滴に混ぜて 投与してみました。翌朝には 大分食欲が戻ってくれたので 消化のいい食物に整腸剤などを混入して与えると もりもりと食べて 体力もかなり回復してくれました。連れてこられた方の一人が 心配して夕方様子を見に来られましたが かなり元気になっている様子を確認されて 安心してお帰りいただきました。その後二日間ほど面倒をみて すっかり元気になったみたいですし 野生の動物ですから あまり人間と濃厚な接触を持つことは望ましくないので 本日近所の大きな公園に連れて行き飛び立たせました。一度ぐらいはこちらを振り向いてくれるのかと思って見送りましたが それこそ一目散で飛んで行ってしまったので チョッピリ寂しい気持ちになりました。まあうちの病院を信頼して預けて頂いたのですから 責任が果たせてホッとしました。何とかこれからは無事に成長して 寿命を全うしてほしいものです。

ブログ一覧