7月16日 当院の料金設定は 安すぎて誤解を受けているようです

私はうちの動物病院で稼がせてもらって 何とか生計をたてさせて頂いております。簡単に言うと生きていくためには お金がかかりますから 動物病院を経営して 儲けさせて頂いているわけなのです。私にも普通の人間通りの欲がありますから どうせなら楽をして たくさん稼げれば 有難い という思いはあります。しかし せっかくこういう仕事 大好きな動物の健康に関わる仕事をしているわけですから ペットが少しでも元気で長生きしてほしい と願う気持ちも少なからずあります。私の場合は 普通の大学を卒業して 普通の企業に数年サラリーマンとして勤めた後で 一念発起して もう一度獣医学科に それも六年間通い直してから 見習い獣医師を三年務めてやっと開業しましたので ペットの長生きに貢献したいという気持ちは 人一倍大きいのかもしれません。
世の中景気がいい時代もあれば 悪い時代もあります。現在の景気がどの様な状況にあるのか 新聞やニュースにきちんと目を通すわけではない私には よく解かりませんが 少なくとも国民のかなりの割合の人たちが騙されてしまった アベノミクスによって我々庶民の生活が 少しでも楽にはなっていない と言う事はよく解かっているつもりです。子供たちが夏休みに入る直前とはいえ 本日は三連休の中日なのに ペットホテルは賑わっておりませんから お天気もまずまずで 暑さは十分すぎるぐらいなのに 旅行に出かけられている方々がそれほど多くはないのだと思います。
景気が良くないときには 我々庶民のお給料もなかなか上がらないし ボーナスも期待通りの金額には届かなかった方が多いのかもしれません。そんな風に懐具合があまり暖かくないと 色んな方面の出費を 幾らかずつでも削らざるを得ないのが実情だと思います。例えば家のローンや学校の授業料など 削りようのない支払はどうしょうもありません。食費は工夫次第で ある程度は削れるでしょうが 出費を減額できても知れているでしょう。娯楽費と言うか遊興費は 極端に言えばなくしてしまえるのかもしれませんが あまり削ってしまうと生活に潤いが無くなってしまいますから やはり限度があるでしょう。そうなってくると どうしてもペットに対する出費が削り易い項目になってくるのかもしれません。病気に対する予防と言うのは いわば掛け捨ての保険みたいなものかもしれません。予防していなくても 病気にかからずに済む場合も少なくないのかもしれません。但しもし病気を貰ってしまった場合は 下手したら命取りになるのかもしれませんし 病気によるダメージから障害が残る可能性もあります。そして病気を治療するのにかかる費用は 当然でしょうが予防にかかる費用よりもずっと高くついてしまうのは 致し方の無い事です。例えば火事にならないかもしれないからと言って 火災保険を止めてしまう人は殆どいらっしゃらないでしょう。他人の過失による延焼であっても 自分が火災保険に加入していなければ 何の補償も受けられないのです。自動車保険にしても もしきちんとした保険に加入していなければ 万が一事故を起こした時に 賠償の為に一生その支払いに追われて暮さねばならないかもしれませんから 車の保険も省く人は殆どいらっしゃらないと思います。所がペットの病気の予防の場合 命を落としてしまえば取り返しがつきませんが 治療費が発生しても数万円ぐらいでしょうから 経済的に苦しい状況の時には つい省いてしまわれる飼い主さんが 結構いらっしゃるものです。
私は きちんと予防さえしておけば 天寿を全うできていたであろうに 予防を飼い主さんがしなかったために早死にしてしまった動物たちを沢山見てきましたから とにかく飼い主さんの予防に対する経済的負担を出来るだけ軽くすることによって ペットの病気の予防を省かれることを何とか防ぎたいと考えました。その為に 予防注射やフィラリアの予防薬は 一般的な動物病院のほぼ半額ぐらいに設定しました。正直申し上げて この価格設定は ほとんどもうけがありませんから 辛くないわけではありません。でも安上がりだから予防しておこうと考える飼い主さんが一人でも増えることを願って ここ十数年頑張ってこの料金体系を維持しております。
それから 当院では団体割引も実施しています。多頭飼いの飼い主さんは より経済的な負担がきつくなりますから ただでさえ思い切り安い価格設定から 二匹同時に予防すれば 二割引き、三匹なら三割引きになりますから 凄く安上がりになるはずです。正直な所 当院の儲けは殆どなくなってしまいますが 何とか頑張っています。予防注射にしてもフィラリア予防にしても 多頭飼いの場合 もし一匹が伝染性のある病気にかかてしまった時 予防そしていなければ他の子に伝染する率は凄く高くなってしまうのです。
一人の飼い主さんが複数飼っておられる場合だけではなくて お散歩友達が誘い合わせて 同時に来院して頂いても 団体割引は適用できます。一人だけなら 今年は予防をやめておこうかな と考えてしまう事もあるかもしれませんが 毎年決まったメンバーで集まって来院される場合だと ついつい頑張って予防を続けて頂ける可能性が広がると考えたからです。繰り返しますが 病院としての利益はかなり薄いのですが それでペットたちの寿命が少しでも延びてくれれば 嬉しいので何とかこの価格体系を維持しております。
所が 本日来院された飼い主さんから 凄く残念なお話を耳にしてしまいました。「当院の予防注射やフィラリア予防薬の価格設定が あまりに安いので 信用できない」とお散歩仲間の飼い主さんに言われたのだそうです。 来院してくださった飼い主さんは ここ数年大阪市内とかなり遠方からですが 二匹のプードルを飼っておられるので わざわざ当院まで予防のために 通っていただいているのです。近所のお散歩仲間に一緒に出掛けようと誘った時に 「安すぎて 信用できない」と言われたのだそうです。
当院では 勿論予防注射をした場合 混合ワクチンであれ 狂犬病ワクチンであれ きちんとした 何処に出していただいても恥ずかしくない証明書をお渡ししています。混合ワクチンの場合は 十頭分ずつがひと箱に入っていますが 頭数と同じ数だけワクチン名を記したシールが添付されています。そのシールを証明書に貼り付けてお渡ししていますから きちんとワクチンを注射した裏付けになるのです。ワクチンのメーカーはいくつかありますが これまでの購入実績から ちゃんとしたメーカーの製品(一応メーカー名をあげておきますと 京都微研がという名の通った会社です)そこそこ安い金額で入手できますので 私としては安心して使用しています。予防注射の効果を他の製品と明確に比較することは 現実には難しい事なので 製薬メーカーの発表したデーターを信用するしかありませんが 私としてはそのワクチンメーカーを信用して使っています。その場で手渡しします証明書を確認して頂ければ ご理解いただけると思います。
避妊、去勢の手術料金も あまりに安いために 不潔な環境で いい加減な手術をしているのかという誤解を受けているみたいです。うちの去勢の手術の料金は 猫が6000円 犬が9000円です。但し手術する際は 道具は勿論高圧蒸気滅菌器で 滅菌したものを使用しますし 手袋も滅菌済みのものを購入して使用しています。麻酔も イソフルランと言う肝臓への影響の少ない 安全性が高いと評判の麻酔薬を使用しています。私が思うに他の病院の手術料金の設定金額が高すぎるのです。去勢の手術はメスで皮膚を切開するところからスタートしますが 猫は五分以内 犬でも十分以内で 奇形などの特殊なケースを除いては 間違いなく終了します。それほど短時間に終わる手術の費用として 一万円以上の料金を 私はとてもいただけません。私の金銭感覚が 他の獣医の先生方とかなりずれているというのは ひょっとして私がおかしいのでしょうか。
去勢、避妊の手術は 予期せぬ妊娠出産を未然に防ぐことになりますし 若いうちに済ませておく方が 健康で長生きできる確率が少なからず高くなると私は考えていますから 出来るだけ多くの方に手術を実施してあげて欲しいと考えて 可能な限り料金を安く設定しています。健康面だけではなくて 性格が従順で穏やかになる傾向がありますから 精神的な面や躾のしやすさという 飼いやすさの方面からも 手術をするメリットは大きいと思います。
私は 予防するための料金や 去勢、避妊の手術料金を可能な限り安く設定しているのは 不景気なこの時代でもペットが元気で長生きにつながる予防や手術を一人でも多くの飼い主さんに実施してあげて欲しい気持ちから 頑張っているだけです。「当院の料金が安すぎて信用できない」等と考える人は その人自身の普段の行動に 信用できない部分が少なからずあるからだと思いますから そんな信用できかねる人間とは関わり合いを持ちたくありませんから どうぞよその病院で高い料金を支払ってください。 

ブログ一覧