7月2日 1881年の本日パスツールが ワクチンの接種による免疫獲得実験に成功しました

パスツールと言う方は 19世紀に活躍された フランス人の学者ですが 炭疽菌やコレラ菌、結核菌を発見したことで有名なコッホと並んで「近代細菌学の開祖」と称されています。私がパスツールの業績で印象に残っているのは 有名なパスツール瓶によって それまで絶対的に信じられていた「生物の自然発生説」を否定してしまったことです。特殊な構造ではあるが 外界と確実につながっているパスツール瓶の中の肉汁が腐敗しない という事実で それまで確信されていた節をひっくり返してしまった その説得力が素晴らしいと思いました。
そして ワクチン接種と言う 弱毒化した物質を肉体に摂取することによって その病原体に対する免疫力を獲得できる と言うそれまでに全くなかった理論を 発想して現実に確立された功績は 凄く大きいし そのお蔭で私たちが犬猫にワクチンを接種するようになり その功績のおかげで 獣医師が生活できているのです。全ての獣医師は 改めてパスツール大先生に 感謝すべきかもしれません。パスツールが開発した 寒天培地やシャーレは 現在でも細菌学の実験のバースになっています。
狂犬病のワクチンも実は パスルーツによって開発されたものです。狂犬病と言うのは人類最古の書物にさえ記載されているほど 人類とは長い長い縁がある厄介な病気ですが この病気の原因の正体は ラブドウィルスと言うものでして パスツールの時代にはまだウィルスに対する正しい認識が確立されていなかったのだそうですが 免疫力を高めるためのワクチンを完成させてしまっていたのですから その能力の高さは 神の領域に近いところまで 達していたように思います。
それから 彼の時代にはすでにワインのアルコール発酵や お酢の酢酸発酵は 人間にとって有効な化学変化として認識されていて 盛んに行われていましたが その発酵の過程で それぞれの変化に細菌が関わっていることを発見したのも パスツールなのです。彼は ワインの腐敗を防ぐための手段として 低温殺菌 つまり60度に数十分加熱することにより ワイン自体の成分に変化は起こさないで 腐敗しないような殺菌法を開発しました。この低温殺菌は 現在でも牛乳の殺菌に用いられていますから 私たちの生活に身近に関わる分野で 役立っているのです。
そのような天才と 私の様な凡人を比較すること自体が 甚だおこがましいのですが 私も数十年 それなりに一生懸命に生きてきましたから 何かこの世の中に少しでもお役に立てたことがあれば 嬉しいのですが 散々ご迷惑をおかけした事しか 思い出せません。でも 私がこの地に動物病院を開業して 数十年が経過しますが 極たまには 私の働きで病気やケガに苦しんでいた動物たちが 楽になり 元気になったことも あったことは間違いないように思いますから 私の我儘な性格によっておかけした迷惑の埋め合わせには 全然足りていないのでしょうが ほんの一瞬ですが 世の中のお役にたてたこともあったであろうことを 心の慰めにして これからの人生も頑張って生きていこうと思います。

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