7月3日 1930年の本日 深作欣二監督が生まれました

お若い方には 全く馴染のないお名前かもしれませんが 私には子供の頃から かなり馴染のある作品と沢山関わって来られた方です。黒沢さんと 一番有名な作品が 「仁義なき戦い」と言うやくざ映画のシリーズですから 女性の支持はあまり期待できませんが ある意味日本を代表する映画監督のお一人と呼んでもいいのではないでしょうか。日本のアクション俳優の先駆者である千葉真一さんを スターに育て上げたのは 深作さんと言っても過言ではないように思います。
子供の頃に憧れた 「キーハンター」と言うドラマの演出にも関わっておられました。主演だと思う千葉さんは勿論 既に亡くなられてしまった 丹波さんや野際さんが凄くカッコよかったです。私は 現在でも当たり前の感覚かもしれませんが ヤクザと言う方々は 大嫌いです。子供の頃から とにかくヤクザは嫌いでしたから ヤクザを演じた役者さんまで 嫌いになっていました。江戸時代の末期に静岡県を中心に活動していた清水の次郎長と言うヤクザがいました。ヤクザですから それも凄く大きな組織の頂点に立っていた人物ですから 堅気の人たちに それなりに多大な迷惑をかけていた存在のはずです。
所が テレビドラマや映画化されてしまうと 次郎長は 仁義を重んじる正義の味方の様に描かれてしまいます。人間だれしも 多少は悪ぶってみたくなることがありますし 悪ぶった極みがヤクザだとすれば ヤクザにあこがれを持ってしまうのは 致し方の無い事かもしれません。でも清水の次郎長では 大抵敵役の竹井のドモ安や 黒駒の勝蔵は 凄く悪い人物として描かれているのに対して 次郎長は当たり前のように 正義の味方として描かれているのが 納得がいきませんでした。
同じ事を感じていたのが 高倉健さんの演じるヤクザ映画でした。ヤクザと普通に聞けば 誰しも眉をひそめる存在のはずなのに 高倉健さん 鶴田浩二さん 藤純子さんたちが演じるヤクザは 正義のみかたで完全なるヒーローヒロインだったのです。ここでも 必ず敵役が存在していて そいつらが非常に悪い事ばかりを繰り返して 健さんたちが散々ひどい目にあって 最後の最後に主役クラスの人たち数人が どす一本を抱えて 殴りこんで 思う存分仇を討ち果たすのです。確かに見ていると ひどい目にあっても辛抱するが 最後には堪忍袋の緒が切れて 悪い奴らを根こそぎやっつけるのですから 見ていて非常に痛快であり 見終わった後は非常スッキリした気分になれますから 映画として人気を博したのは しょうが無い事かもしれませんが 所詮ヤクザは ヤクザなのだから もっと汚い部分も描くべきではないかと思ってしまいました。
そんなヤクザ映画に不満を感じていた私にとって 「仁義なき戦い」を見た時の感動は凄く大きかったです。主演の菅原分太は ヤクザなりに筋を通して生きていこうとするけれども 所詮ヤクザ同士の決め事や約束事なんて 破って当たり前 裏切る事なんて朝飯前 と言う私が想像していた通りの ドロドロした汚らしい場面がリアルに描かれていましたから 私の見たかったヤクザ映画にやっと出会えたようで嬉しかったし 深作さんが大好きになりました。
勿論 深作さんは ヤクザ映画だけの監督ではありません。「復活の日」のような大作や「青春の門」のような文学作品 そして私が日本映画の中で一番好きかもしれない「蒲田行進曲」でも監督を務められています。かなり話題になった「バトルロワイアル」シリーズなんかにも 独特の作風が感じられました。まあこの映画は何を訴えたかったのか 未だによく解かりませんが。そんな訳で お若い方々には 殆どピンとこない話ばかりかもしれませんが 一度深作監督の作品をじっくりと腰を据えて鑑賞してみられる事を お勧めします。私も久しぶりに 「仁義なき戦い」でも見直してみようかと思います。

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