8月16日 本日は五山の送り火の日です

京都では 祇園祭と並んで夏の風物詩と言えるのではないかと思います。現代のように蛍光灯やネオン、新しくはLED灯等で夜が非常に明るくなりましたが 送り火の起源としては江戸時代という説が有力だと思いますが 当時としては各山の夜空に文字やデザインがかがり火によって浮かび上がるのは 現代人が想像する以上に 壮大で感動的なスペクタクルだったと思います。

今ではテレビのニュースでみて 「ああ今日は送り火の日なんだ」と思いだすぐらいですが 立命館大学に通っている頃には女の子と夜に出かけるきっかけになる 大切なイベントでした。確か二回生の年の送り火の日に 合唱団の有志を募って 送り火見物を企画しました。

当時立命の合唱団はとある女子大の合唱団と交流が深くその合唱団からも この企画に数人参加してくれました。嬉しいことにその数人に私が一番気になっている女の子も含まれていました。普段の私服は見慣れていますが その女の子は浴衣姿で参加してくれたので 思わず見惚れてしまいました。

送り火の見えやすい場所は 私が想像していたよりもずっとずっと混み合っていました。満員電車よりも混み合っていたのかもしれません。私はそのお気に入りの女の子に意識を集中していたから その女の子とは離れずに済みましたが それ以外のメンバーとははぐれてしまいました。まあ、正直申し上げて 私としてはその方がうれしかったのですが 決して最初からそんなことを期待していたわけではありません。本当に混み合い方が想像を絶するぐらいだったのです。

私はその女の子とは離れ離れになりたくなかったので 思い切って手をつなぎました。当時女の子と殆ど付き合ったことがなかったので 女の子と耳元で「御免、はぐれないようにね」と謝りました。いつの間にかなんと言う橋だったのかも覚えていませんが割と大きな橋の真ん中辺りに移動してきました。私は多少強引に動いて 橋の欄干の際に移動しました。女の子は背が低かったので橋の欄干に持たれて立てば 送り火が見やすいと思ったからです。女の子を見えやすい位置に誘導した時に顔の表情を見ると 不安そうで泣き出しそうな雰囲気でした。「本当に御免ね、二人きりになるとは思っていなかったし、こんなに混み合うとは全然知らなかったから」と再び謝りました。

普段は私は結構偉そうな口をきいていますが 大好きな女の子に泣き出されそうだったので 必死に謝りました。そうしたら、私の必死な気持ちが多少は伝わったみたいで「大丈夫だよ」とにっこりと笑ってくれましたので ホッとしました。せっかく見えやすい場所を確保できましたから、押されても移動しないようにかなり体力を使いました。

何しろ非常に混み合っていましたから女の子のすぐ後ろに立って 女の子が窮屈な思いをしないように必死になってがんばりました。でもその体勢だと どうしても女の子と密着してしまいます。シャンプーのいい臭いがするし、浴衣の薄い生地を通して柔らかな肉体の感触を実感してしまいますと 何しろ二十歳ぐらいの一番やりたい盛りですから 肉体の一部が気持ちとは裏腹に臨戦態勢になってしまいました。

当時 残念ながら童貞だった私は 自分の肉体がそんな反応を示していることを 女の子に知られたら 軽蔑されて二度と口をきいてもらえなくなる 等と勘違いしていましたから、必死に女の子の肉体と接触しないように、自分の状態が女の子にばれないように必死に突っ張りました。

おかげで 送り火が終了して やっと通りがすいてきたので 駅への道をゆっくりと移動し始めましたが 肝心の送り火は殆ど見た記憶がありません。ただ喉も乾いていましたので 喫茶店に誘うとかなり遅い時間になっていましたので 彼女は少しだけ躊躇しましたがOKしてくれましたので すごく嬉しかったことだけよく覚えています。

喫茶店ではいつものお調子者の私に戻っていましたので 彼女はずっと笑顔を絶やさずにいてくれました。本当なら、これからも二人であってほしいと気持ちを伝えるべきだったのかもしれませんが 断られるのが恐ろしくて 出来ませんでした。短大生だった彼女とはその後も顔を合わせることはありましたが 気持ちを伝える機会もないままに卒業されてしまい 二度と会えなくなってしまいました。

やはり男としては玉砕覚悟で 気持ちを伝えるべきだったとその後数年後悔しました。勿論私は女性に全くもてませんから 99パーセント告白しても振られていたと思います。でも一思いに振られてしまった方が その場では落ち込むのでしょうが さっさと気持ちを切り替えて 次に好きになる女の子を探すことができますから 彼女ができる可能性は少しでも広がると思います。

そのことを教訓として 好きになった女の子には 割と早い段階で告白していますがやはり99パーセントは玉砕に終わっています。もてない男に生まれついたのが 不幸の始まりだと納得していますし、今は妄想の世界で ナーチャンやマイマイと幸せに暮らしていますからそれで充分です。

 

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