9月20日 右前肢の手首から先に大けがをしたノラ猫ちゃんをお預かりしました 

夕方に電話がかかってきて 自分の家の庭に 怪我をしているような猫が蹲って動けなくなっているので 何とか保護してあげたいのだが 対応してもらえるかとの 問い合わせでした。ノラ猫は 餌をやったりして ある程度仲が良くなっていても いざ確保しようとするとかなり抵抗されて難しい場合が多いのです。殆ど初対面であり更にはかなりのけがをしている状態となれば 猶更神経過敏な状態でしょうから 確保するのが相当に難しいのかもしれません。まあかなり弱っている様子なのだそうですから バスタオルを何枚か重ねてうまく体全体を包みこむことが出来れば 何とか確保できるかもしれませんので そのようなアドバイスをして確保出来たら また連絡を貰うように話して電話をいったん切りました。
一時間後位に また電話がかかってきて 何とか確保できたので 連れてくるとの事でした。負傷しているノラ猫の治療にあたるのは かなり久しぶりだったので 緊張しました。つい先日 ノラ猫の避妊手術をするのに 麻酔をかけるときの不手際で 左手を負傷して その傷がまだ癒えていなかったからかもしれません。すぐに保護された方が 親子四人連れで やってこられました。段ボール箱に入れられた負傷したノラ猫と向かい合った時に いつも以上に慎重に保定して 診察を始めました。右前足の先が変形している という話だったので バスタオルでしっかりと包んで その前肢の足先を確認しました。
恐らく交通事故にでもあったのだと思いますが 手首の辺りから先が引き千切られたようになっていて 指の骨が二本ニョキっと生えているような形状になっていました。当然動脈にも大きな損傷があって かなり出血したのでしょうが どうやらその事故にあったのは かなり以前の事のようでした。負傷した前肢は相当に苦痛があったはずで その前肢をかばうために腕の付け根 肩の部分から後ろ脚の方向に間接自体が固まってしまって 動かないし 肘もピンと伸びっ放しで 殆ど曲がらない状態でした。
前肢の先端は 取り敢えず筋肉と骨の部分を整形して 皮膚を縫い合わせる手術をせざるを得ないと判断しましたので そのように説明しました。但し 何しろノラ猫なので 皮膚を縫合しても ちゃんとくっつくまで十日間面倒を見てあげなければ 何しろ相当に古い傷跡の整形手術ですから 良い予後が期待できません。取り敢えずはお預かりして 明日の昼に きちんと準備をしてから 手術をして 十日間預かって何とか前肢の先端が 今後心配ないような状態に持って行けたことを 確認してから退院 というスケジュールを立てて 連れてこられた方にその説明をしてご了解を頂きました。但し 手術して十日間の入院となると ノラ猫の処置の場合 基本的に半額は当院が負担さえてもらいますので 連れてこられた方に半額は責任を持っていただくことにしておりますが たとえ半額でもそこそこの金額になってしまいます。
連れてこられたご家族のお母さんは 若いころに自分の家で猫を飼っていたので 現在は飼っていないけれど もしこの猫と仲良くなれたら 今後面倒を見たいと仰っていただけましたので 元々猫は大好きなので 自分の家で苦しんでいる猫を放っては置けないという気持ちから 連れてこられた優しいお気持ちのご家族でしたから 手術して長期の入院をする以上は ある程度費用がかさんでも致し方のないことだと ご理解いただけましたので ホッとしました。避妊の手術をしたノラ猫の場合も 勿論最初から最後まで 全くなついてくれない子も多いのですが 中には 安全で快適な場所と食べ物を与えてもらえると 理解してくれて 結構懐いてくれる子もいるのです。この子とも 徐々に仲良くなって 連れてこられたご家族とも馴染んでくれたら 手術がうまくいったとしても 身体障碍者でありますから ノラ猫生活はかなりしんどいでしょうし 出来たらそのお宅で面倒を見てもらえるようになってくれたら 嬉しいです。
手術と術後の経過については またこのブログで報告しますので 上手く事が運びますようにご期待ください。

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