9月29日 二日続けて病院で動物が息を引き取りました

病院ですから 帝王切開の手術などで 新しい命の誕生に立ちあうこともしばしばありますが 逆に病気やけがで亡くなってしまう場面にも度々直面してしまいます。昨日亡くなった子は 18歳の日本ネコで 急に体調を崩して 前日から食欲と元気がなくなり 来院されました。ぐったりしていて体温も37.6度で平熱を下回っていました。相当に危険な状態です。直ぐに血液検査をすると 肝機能、腎機能の数値が正常値の数倍にあねあがってしました。

三か月ほど前に健康診断の為に検査した時はどちらもほぼ正常値でしたから 最近急激に肝臓と腎臓の機能が低下しているみたいです。人間で言えば90歳ぐらいの年齢ですから直ぐにも命に関わるような危険性も高いので 病院で短時間で終わる治療を施して 自宅に連れて帰ることをおすすめしました。所が飼い主さんから 入院して出来る限りの治療を望まれました。生きて退院できない可能性も示唆しましたが 飼い主さんの気持ちが変わらなかったので お預かりすることにしました。

まずは静脈留置針を装着して 腕の静脈から 点滴で栄養分と水分、それに薬を投与しました。体重が3㎏くらいの子ですから 十数秒に一滴のゆっくりしたペースでしか 投与できませんが 静脈に入れたほうが薬の効果が早く現れますので点滴静注を選択しました。体温が下がっていますので この時期ですが暖房を入れて しっかりと温めました。夕方に預かりましたので 深夜には多少治療の効果が表れてくれるかと期待して 一時間毎に様子を見に行きましたが 12時を回った位から 軽い心臓の発作が始まってしまいました。

かなり末期的な症状が現れましたので 飼い主さんに連絡しようかとも思いましたが 夜中の2時頃になってしまっていましたので なんとか明朝まで持ってくれることを期待して治療を続けることにしました。心臓が停止しかけていましたから 心臓に働きかける薬を投与してみましたが 期待通りの効果が出てくれずに 朝の四時ごろに息を引き取りました。私としては出来る限りの事をしたつもりでしたが やはり最後を病院で迎えるのは 本人にとっても不本意だったのではないかと思ってしまいます。

朝八時ごろに 飼い主さんに電話をかけて お預かりした子が亡くなったことを お知らせしました。開業して結構な年数が過ぎていますが この類の電話をかけるときの辛さは変わりません。飼い主さんがすぐに迎えに来られることになり 体をきれいにしてあげて 料金を計算して伝票を作りました。

来院された飼い主さんに もう一度最後の様子などを説明して お返ししました。このようなケースで料金を頂くのは いつも心苦しいのですが 出来る限りの仕事をしたつもりですから 悪びれずに頂きました。

さて、そんな事があって始まった一日でしたが 夕方にまた 初診の患者さんでしたが 乳腺腫瘍の末期のポメラニアンを預かることになってしまいました。何時もかかっている病院から 「うちの病院ではもうこの子にしてあげられることはありません」と治療を拒否されたのだそうです。これまでも頑張って治療してこられた飼い主さんだったようですし 本人が相当に苦痛を訴えていましたから 安楽死をすすめてみました。飼い主さんの頭に安楽死という選択肢がなかったみたいで 一晩考えて結論を出すという事で とりあえずこんばんは預かって苦痛を和らげる治療をすることになりました。

ところがこの子も 昨夜の子と同様に 12時を過ぎた頃から 容態が悪化しました。呼吸が停止しそうになり 人工呼吸で辛うじて息を吹き返す状態になってしまいました。三時を過ぎた頃に呼吸が停止してしまい残念ながら今度は息を吹き返してくれませんでした。二日続けて朝方に患者さんを死なせてしまいました。私としては 出来うる限りの治療をしたつもりですが さすがに二日続くと 精神的なダメージが相当に大きくなりました。

朝から昨日と同様に電話をかけて 迎えに来て頂き 最後の状況を説明して 料金を頂きました。勿論飼い主さんも納得をして支払って頂きましたが やはり病院としては 元気にしてお返しするのが当たり前なのに 亡くなってからお返しするのは とても残念なことです。こんなことになるのならお預かりを拒否してでも 最後を自宅で迎えてもらった方が良かったのではないかと 後悔してしまいます。まあ、飼い主さんにしてみれば可愛いペットが苦しみながら死んでいくのを見ないで済んだことを感謝される場合もありますが 亡くなった本人にしてみれば 住み慣れた我が家で 大好きな飼い主さんに看取られて亡くなる方が嬉しかったのではないかと思ってしまうからです。自分の事に置き換え見たら 私は病院で治療を受けて 多少生きながらえるよりも 落着ける我が家で奥様に看取られて最期を迎える方を望むと思います。

どの様な最期を迎えたいかについては デリケートな問題を含んでいますから 一概に論じることは出来ないのかもしれませんが とにかく二日続けて預かった子たちを死なせてしまったのは 動物の死に対してかなり鈍感になっている私でも かなり堪えました。でも気持ちを上手に切り替えて 明日からの仕事に取り組もうと思います。誠意をもって一生懸命に仕事をしていれば きっといい事があると思うからです。何時までもめげていないで 頑張りますよ。

 

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