9月3日 「あじさいの歌」という映画を久しぶりに観ました

一昔前の つまり昭和時代の前半から中盤の青春映画のかなりの割合に主演していた石原裕次郎さんとよく共演していた芦川いづみさんが出演している映画です。昭和時代は 現在の令和 よりも前の平成の更に前の時代ですから ひょっとしたら二昔前の映画と表現すべきかもしれません。こんな事に気付くと 自分が年寄りになったことを自覚させられてしまいます。本来なら 今頃 仕事を辞めて のんびりとセカンドライフをスタートしているはずだったのに プライベートな面でとんでもないトラブルが発生してしまいましたので なんとなくダラダラ仕事を継続しております。
昔の映画を見ると その時代にタイムスリップできるようで とても楽しい気持ちになれます。今どきのお若い方から見れば 昭和時代の前半なんて 石器時代のように思えるのかもしれません。携帯電話は勿論 インターネットも影も形も存在していないと思いますから お若い方にとっては ごく普通の日常生活が営めないのかもしれません。携帯電話を 皆が所有して 当たり前に活用している現在では 携帯電話が存在しない時代のすれ違いによる もどかしさを楽しく そして美しく感じられる私の気持ちを どんなに説明したって理解していただけないと思います。
「あじさいの歌」というのは 私がその作品のかなりの割合を愛読していた 石坂洋次郎さんの小説を映画化された作品です。石坂さんの小説は かなりの数映画化されていますが その殆んどで男性主人公を石原さんが演じているので 映画を見た後には 小説を読み返しても 主演の登場人物の顔形や声が 裕次郎さんに引き寄せられてしまいます。石坂さんの小説は 昭和の前半 いわゆる戦中 戦後間もない時代から 昭和の後半にまでを舞台に描かれていますが 極当たり前の家庭 家族を描かれているはずなのに あんな天下の男前ばかりが 主人公として登場するのでは リアリティに欠けるように思います。
私が一番最初に石坂さんの小説と出会ったのは 高校生の頃にテレビで毎週放送されていた「光る海」のテレビドラマでした。沖雅也さん 島田陽子さん 中野良子さん 主演で大学を卒業したばかりの男女が成長していく過程を 明るく 時にはドロドロとした場面も含めて 描かれていて それまでいわゆる明るく健全なホームドラマしか見たことがありませんでしたので 凄く新鮮で 魅力的に感じました。ドラマの最終回を見た後 直ぐに本屋さんで 「光る海」の文庫本を購入して かなり分厚い文庫本でしたが 土日二日かけて読み通しました。私はそれまでも 読書好きのつもりでしたが これほど感動した小説とは 殆ど初めての出会いでした。それ以来 石坂さんの小説を片っ端から読んでいきました。高校時代 部活をしていなかったので 読書の時間はたっぷりとありました。
石坂さんの小説は かなりの数が 「光る海」を含めて映画化されていましたから 可能な限りテレビで放送される作品を視聴しました。当時は ビデをデッキも普及していませんし 勿論レンタルビデオ屋さんも存在しませんでしたから 見たい映画を簡単に見る事が出来ない時代でしたが 石坂さんの小説を映画化した作品は 人気があったからだと思いますが 割としょっちゅう放送されていたようで、そこそこの数の作品を 見る事が出来ました。
「あじさいの歌」という作品は 深窓の令嬢が 世間に船出するのに関わった 若い男女の動向を描いた作品です。明るく爽やかな場面から始まりますが 暗くてさし迫った場面も描かれて 最後は無事に問題が解決して 楽して暖かな気持ちになれる場面で終わっています。映画というのは わくわくハラハラ爽快な気分になれる映画もいいですが やはり 寒々しい私の気持ちを 暖かにホッとさせてくれる映画が 有難いです。クラシック音楽と同じように 古くても質の良い映画は 何時までも人を感動させてくれる 人生になくてはならない存在だと思います。こんな古臭い映画を見て ほのぼのとした気分になるなんて 典型的なお年よりと言われても 否定できませんが 事実年寄りなのですから 年寄りらしく生きていこうと思いますので よろしくお願い致します。

ブログ一覧