9月6日 ネットに流れている 飼いやすい犬の種類に関する情報に 異議を唱えます

インターネットが普及してから そこそこの年月が経ちますが 確かにネットで入手できる情報は 簡単に スピーディーに そしてほとんどが無料ですから 沢山の人に活用されているみたいです。但しその情報の信憑性については 大いに疑ってかかるべきかもしれないように思ってしまいます。最近ではテレビやラジオなどのマスメディアで流れているコマーシャルで その商品の効果についての一般人らしき方々からの感想が述べられたときには ほぼもれなく 「これはあくまでも 個人の感想です」と言うコメントが付けたされています。
全ての人に同等の効果が現れて 同様の感想を持つとは限らないことを 予め知らせています。ある意味 正直に宣伝しているわけですから とても良いことなのかもしれません。まあマスメディアに情報を流す以上は 当然情報提供者の名称や住所 電話番号なども ネットを利用すれば それこそ簡単に入手できる状態で 宣伝しているはずですから 不確かな若しくは自分たちにとって都合の良い情報を 流すわけはないように思われます。所が ネットに堂々の流されている情報のうちで その情報の正確さを きちんと裏打ちされているものの割合は 相当に低いように感じております。
全く同じ状況を分析しても 例えば裁判では 検察側が死刑を求めているのに対して 弁護側は無罪を主張することなど ザラにあるみたいです。私が今回 非常に違和感を感じたのは 何処の何方が発表されている情報なのか その辺りの事を明確にされているのかどうかも不鮮明ですが ペットとして飼いやすい 躾がしやすくて 安心して新しい家族として迎え入れやすい犬種をランキング形式で紹介している情報でした。そもそも飼い主さん自身の状況が千差万別なのです。一人暮らしの寂しさを紛らわしたくて ペットを飼う方もいらっしゃれば 小さな子供さんが犬を飼いたがるので 購入される人もいらっしゃるでしょう。子供の頃から犬のいる生活を続けておられるベテラン飼い主さんもいるかもしれませんし 犬と親密な関係を作るのが これまで全然経験のない 初心者飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
人間が 友人に求めるものも 明るくて社交的な人を友人にしたい人もいるでしょうし 自分が内向的な性格なので やはり相手にも物静かな落ち着きを求める方もいらっしゃるかもしれません。犬も犬種によって 一般的な性格の特徴がいろいろとあると言われています。同じ犬種でも おとなしい性格の子もいれば 落ち着きがなくて 吠えまくる がさつですこぶる活発な子もいて不思議ではありません。ですから 飼い主さんのペットに期待する性質にかなりの違いがあるはずですから 一つのランキングで 飼いやすさを比較検討すること自体に大いに問題があります。同じ病気に対する治療法でも 病院によって ひょっとしたら同じ病院でも担当する先生によって 治療法が異なることはよくある話だと思います。勿論この病気には この治療法 対処法しかない場合も少なからずあるのは事実ですが 結構見解が分かれていて 現在のところどちらが正しいのか 科学的に立証されていない治療法の病気が 相当数あるのは 事実だと思います。
私も仕事柄 どんな種類の犬や猫を選べば 仲良く過ごせるのか ペットを飼い始めようとする方から 相談を受ける事はしばしばあります。三十年も開業獣医師をしておりますので 犬や猫の種類による 性質の違いはなんとなく把握できているつもりです。只相談を受ける人が どのような気持ちでペットを飼おうと考えているのか その辺りを慎重にお尋ねしてから その方の生活環境などになるべくマッチしやすいような種類の犬猫をお勧めします。ですから 飼いやすい種類としておこたえするものは ケースバイケースで そのたびごとに異なっている場合が多いように思います。また同じ種類の動物でも その性格などは個体差があるのは当然ですから お勧めした種類の中でも なるべくその方と相性がいい動物が見つかるように その人ごとにアドバイスをしております。
なので 飼いやすい犬猫の種類のランキングなんて ひょっとしたら 凄く的確に当てはまる方が 極稀にはいるのかもしれませんが そんな不確定要素の強い情報をもとにして種類を選んでしまうと全く見当違いの種類を選択してしまう場合も沢山あるように思います。私はこの情報提供者が 人を惑わすためにそんな不確定要素の多い情報を流しているとは思いたくありませんが 人にアドバイスをしたいのなら もう少し的確な情報が伝わるような形で 情報公開をしていただきたいと思います。
ちなみに 今回私が引っかかった飼いやすさランキングベストテンには 私が躾などが難しいので なるべく飼い始める事をお勧めしたくない ワーストスリーが ランクインしておりました。私が一般的な人々に飼い始める事をお勧めしたくないのは チワワ ポメラニアン 柴犬の三種類です。この三つの種類は あくまでも傾向としてですが 怖がりな性格の場合が多いので 恐怖心から人間を噛む傾向の子が多いように思います。勿論 この三つの種類でも 持って生まれた性格が凄く人懐こい場合もありますし 上手に 厳しく 辛抱強く躾れば 我慢強い 賢い犬として成長する場合も少なからずある事は否定致しません。ただ一般的な傾向として 躾が難航する場合が多いことの実例を 仕事をしながら 沢山見てきているという事です。
逆に 私が思う所の あくまでも一般的な傾向として 生まれつき穏やかな性格の子が多いので躾がしやすい犬種としては トイプードル シーズー ミニチュアダックス をあげておきます。但しこの三種類であっても 過去には非常に狂暴で扱いづらかった子も確実にいましたから 個体差があることと いかに上手にしつけるかによって 飼い主とペットの関係性は どのようにでもなるものだと思っております。友人との友情を育んでいく事も それなりに難しいし 努力が必要だと思いますが 飼い主とペットの関係も同じように たゆまぬ努力が必要だと思います。
なお私がおすすめした三つの犬種については あくまで私のあくまでも 開業獣医師としての経験による 個人的な意見ですから それ程見当違いではないように思いますが 鵜呑みにするのではなくて ペットとの出会いのきっかけになればと お勧めしただけですから 参考程度とお考え下さい。子犬と出会ってしまうと 少なくとも十年以上のお付き合いになるはずですから くれぐれも慎重にパートナーを探すことを目指してください。

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