9月6日 奈良県の患者さんに お薬を郵送しました

もう四年ぐらい前になると思いますが 奈良県の生駒市から 深夜に救急で来院されました。その当時十歳位の年齢のチワワでしたが 心臓の発作を起こして 来院されました。心臓弁膜症がかなりひどい状態でしたし 血圧も下が130位と 凄い高血圧でしたので すぐにも命にかかわる可能性を説明しました。取り敢えずは 必要と思われる血液検査を実施してから 急いで心臓発作の応急処置を施して 本当は酸素室で入院していただきたかったのですが 非常に神経質な性格なので 入院は難しいし そのメリットは大きくないかもしれないと判断しましたので 応急処置を施して 二週間分ほどの内服薬をお出ししてお帰り頂きました。その数日後に連絡を頂きましたが 発作は落ち着いてきて 普段からぜーぜーいっていたのが 楽に生活が出来ているとの事でした。まずは 渡した薬をキチンと投薬することと 普段の生活から心臓に負担のかかることを出来るだけ省いた生活をするように アドバイスしました。
その後薬が亡くなって数日後にまた電話がかかってきました。心臓の病気ですから 今後直る事 健康体に戻れることは 期待しない方が良い とアドバイスしました。かなり悪い状態になってしまった心臓と仲良く生活して 心臓に少しでも長持ちしてもらう事が そのまま長生きにつながる という事は 説明してありました。近所の病院にかかって 私の説明をして その子の現状を理解してもらい 同様のお薬をもらって 治療を継続するようにお願いしました。所が 近所の病院でもらった心臓の薬を飲ませても 普段から息苦しそうにする 症状が改善しなくて 心配なので 今後も当院で 内服薬を投与して欲しいと依頼されました。
何しろ遠方で この子が車に乗ることが大の苦手だと言うので 無理してドライブすることは 直接心臓へのストレスになりますので 年に一度や二度は 診察をしながら 状態に合わせて治療法を考えていきたいところですが それ以来 来院されることはありません。
ただお薬が着れそうになると 連絡を頂きますので まとめて二か月分位を レターパックで郵送しています。もう治療を始めて かなりの年月が経ちますので 病状も変化しているはずですし 年齢も上がっていますので お薬の内容や量を変化させるべきだとは思いますが 飼い主さんによると 兎に角薬を飲んでいる間は 機嫌よく 快適に生活できているとの事ですので 仕方なしに 四年前からずっと同じ薬を同じ分量で 作っては 郵送しています。まあ、飼い主さんが 本当にペットの事を大切に思っておられて ペットの方も精一杯その愛情に応えるべく生きているのでしょうから こちらとしては 飼い主さんのリクエストにお応えして 要望があれば そのお薬をお送りするだけです。
心臓の薬というのは かなり病状が進んでいないと その効果が目に見えにくいので 治療の継続が難しい所です。他の目的 例えば負傷したり 下痢をしたりして来院された患者さんで 聴診器をあてた所 心臓病が発見されたので 治療の必要性を説いて 投薬の継続を求めても 自覚症状がないと なかなか治療を継続してもらえないのが実情です。人間でも 心臓病や糖尿病など その末期には 悲惨な最期が待っていることが分かっているのに その時に自覚症状が全くないので 高血圧や高血糖の状態を放置する人が少なからずいるのと同じかもしれません。
このチワワの子の場合 ある意味幸いと言っていいのかどうかわかりませんが 分かり易い自覚症状があり 投薬によって 目に見えてその症状が改善するので 治療を継続しやすかったという事があるのかもしれませんが この四年ほどきちんと治療を継続されています。心臓の治療を継続していなければ 勿論本日まで生きてはいられなかったように思います。結局は 飼い主さんのその子に対する愛情が 本当に深いから 自分の事でもなかなかきちんと薬を服用するのは難しいのかもしれませんが せっせと毎日薬を飲ませておられるのだと 思います。この子は こんな愛情の深い飼い主さんと巡り合えて 凄く幸せだと思います。
私も そんな飼い主さんとペットちゃんの 素敵な関係が 少しでも長く 続いてくれることの応援が出来るのなら 精一杯頑張って お薬をお送りしようと考えております。リュウちゃんの 人生に幸多からんことをお祈りいたします。

 

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