私も自分の成人式には　四十年近くも昔の事ですが　一応参加しました。集まるのは市の結構立派な公民館みたいな建物だったと思います。高校を卒業して二年目だったと思いますが　確か大学が決まって　取り敢えず自分の居場所が確定して　一応落ち着いたころだったと思います。同じ地域の同じ年の連中が集まるのですから　気分は殆ど中学校の同窓会でした。

きちんとスーツを着てくるまじめな奴や　目立とうとして羽織袴の正装でやってきた者もいました。女の子は振袖を着る数少ない機会だからだと思いますが　着物姿の子が多かったと思います。私は　スーツなんて大学を卒業するころに初めて作りましたから　そのようなきちんとした洋服は全然持ち合わせがなかったので　確かジーパンにジャンパー姿で出かけたように覚えています。私は当時も現在も自分の身なりには全く興味が無いので　別に恥ずかしいとも思いませんでしたし　似たような格好のものも結構いたように思います。

私たちが二十歳の頃にも　当然不良はいましたが　基本的にそんな輩は　成人式のような公の集まりには全く参加していなかったように思いますから　市長さん達の長ったらしくて面白みのない挨拶にも　みんな迷惑そうな顔をしていたり多少は私語を挟んでいたのかもしれませんが　大人しく椅子に座って式が終わるのを待っていたように思います。はっきりとは覚えていませんが紅白まんじゅうとサツキの苗木をもらって帰ったように思います。

私が一つ目の大学を卒業した時　同期の友人で中学、高校の先生になったものが数人いましたが　丁度そのころから校内暴力と言うものが　はびこり始めたようでした。私の友人も生徒の暴力によってかなり大きなけがをしてしまったと噂に聞きました。私が中学生　高校生の頃にも　悪さをする奴は多少はいたと思いますが　先生に対して暴力をふるうようなことは考えられなかったように覚えています。

私が小学生の頃には　あまりに悪さが過ぎると先生が教え子をひっぱたいたことも何度かありました。当時は　ひっぱたかれた子の親が　子供がひっぱたかれるような悪さをしでかしたことをお詫びに学校にやってくるような結末だったと思います。当時の私は自分がひっぱたかれるほどの悪さをするような勇気が無かったので　それほど目立つことはありませんでしたが　勿論品行方正ではなくて　陰に隠れてちょっとした悪さをしでかすぐらいのものでした。

友人がひっぱたかれた時も　ちょっと調子に乗りすぎて　先生の逆鱗に触れてしまったのだから　致し方の無い事だと解釈していました。私は　勿論愛情の裏付けさえあれば　先生が教え子をひっぱたくぐらいの事は　当然の愛のむちだと考えます。所が現在では　先生が教え子に手をあげれば　たちまち大問題になって　親が怒鳴り込んでくるのが　常識のようになっているみたいです。

こんな状況では　先生も熱意をもって教育にはとても望めないでしょうし　やる気があり能力も高い若者にとって　教師と言う職業が全く魅力を感じられないものになるのは当然のように思います。私たちの時代にも「デモシカ教師」と言う言葉がありました。「希望の職業に就けないので教師にでもなるか」とか［教師にしかなれそうにないので教師をやるか」と言って　なった質の低い教師の事を指す言葉だそうです。

現在の教師と教え子の関係を考えれば　やる気と能力の高い若者が　猶更教師を目指さないので　能力の低いやる気のあまりない人間が教師になるケースが増えているのかもしれません。勿論有能な教師もいらっしゃるのでしょうが　教師全体の質が低下していれば　最低限度の礼儀さえわきまえない愚かな若者が増えていても不思議ではないのかもしれません。

毎年のようにどこそこの成人式では　こんな悪さをした新成人がいました　とニュース番組などで取り上げられることが　そんな馬鹿者どもの目立ちたいという気持ちを満足させてしまって　更にはそんなニュースが武勇伝のように若い世代に伝わることで　自分が成人になった時にはさらに目立つような行動をしてやろうと考える馬鹿者どもを増やしているのかもしれません。

よく言われることですが　暴走族は喜んではやし立てる見物人や迷惑を感じそうな人の存在しない場所では暴走しないのだそうです。もし本当にバイクをかっ飛ばして暴走したいのであれば　人里離れた山の中のスピードの出し易い道で暴走すればいいはずですが　愚かな見物人が囃し立ててくれたり　深夜に爆音を立てることで住民が警察に苦情を出したりしてくれるであろう住宅地の近所で暴走するのは　自分たちが暴走していることをアピールしたいからなのだそうです。

成人式で暴れる馬鹿者どもも　単に人と異なる行動をして　目立ちたいだけの事ですから　式場にいる人たちが　成人式を運営する側も　参加している普通の新成人の側も一切無視してしまえば　そんな馬鹿者どもも白けてしまって　さすがに己の行為が恥ずかしくなって自らその場を立ち去るのではないでしょうか。一度きっちりとそのように対応すれば　翌年からそんな愚かな恥かしい情けない行為をする者はいなくなるように考えますが如何でしょうか。