10月12日 1492年の本日 コロンブスが新大陸を発見した日だそうです

1492年という年号は 歴史の授業で必ず覚えるようにいろんな語呂合わせでコロンブスと新大陸をセットにして暗記したものです。けれどもこの新大陸という呼び方は 非常に一方的であり ヨーロッパ人の傲慢さがにじみ出た表現だと思います。コロンブスが大西洋を航海した時代には ヨーロッパでは地球が球体であることは一般常識だったようです。ヨーロッパから東に進むとユーラシア大陸は 地続きですから陸路によって東の果ては中国に行きつき南下すればインド辺りに行き当たることは 確認されていたはずです。

コロンブスが大西洋を船出していきつく先は 中国かインド辺りと予測されていたろうと思います。そして思ったよりも早く感じたかどうかは知りませんでしたが アメリカ大陸に行きついたのです。当初その地をインド辺りと見当をつけていたので 原住民をインドに住む人 といった意味合いでインディアンと呼んだのだそうです。一般的にコロンブスと言えば新大陸を発見した立派な冒険家であるかのように錯覚しています。後にできた「コロンブスの卵」の逸話とともに 初めて物事に挑戦して成し遂げることの難しさから コロンブスを未知の大海にロマンを求めて乗り出した さも立派な人物だと勘違いしています。

コロンブスはスペインの国王の船を借りて航海したのですが その時に国王とかわした契約では もし新しく植民地となる陸地を見つけた際には コロンブスがその地の支配者になることが それもその権利を世襲できるつまり自分の子孫に支配権を引き継がせることが出来るような契約を交わしていました。更にその航海で得た利益の一割をコロンブス個人が受け取れるような条件まで付いていました。

ですからコロンブスはアメリカ大陸に到着した時に 基本的に原住民は歓迎する姿勢で対応してくれたのに 執拗に金銀財宝を要求しました。期待したほど金銀財宝が集められなかった時には 原住民を奴隷として本国に送りつけたり、世界史でもまれにみる原住民の虐殺を繰り返しました。それまで約800万人ぐらいいたと推測される原住民がほんの数十年で三分の一位に減少してしまったほどひどい虐殺ぶりだったのです。

コロンブスについての日本での簡単な紹介の仕方だと 大西洋を初めて横断して新大陸を発見した勇気ある冒険家であるかのように紹介されがちですが 実際は私利私欲の為に航海に出て 本来の目的地とは全く異なるアメリカ大陸を偶然に発見して 歓迎してくれた原住民から金銀財宝を略奪して 世界史上でもまれなスケールで虐殺を繰り返した ある意味極悪非道な人物であるのです。

私は子供の頃に偉人伝が割と好きでしたので コロンブスについての伝記も読んだ記憶があります。勿論子供向けの伝記ですから 財宝の略奪や原住民の虐殺については全く触れられていませんでした。どちらかというと勇気とロマンに溢れる尊敬すべき人物の様に表現されていたように覚えています。外国の童話が紹介される時にも 本来のストーリーでは結構シュールな結末を迎えるお話でも 最後の恐ろしいような結末は割愛されて さもハッピーエンドで終わるような紹介のされ方の場合が少なくないのだそうです。幼い子供の感情を考慮すると敢えてシュールな結末を子供の時点では知らなくてもよいのかもしれませんが 中学生、高校生ぐらいになったら 本当の結末とその意味合いを知らせるべきではないかと思います。

コロンブスに関しても 新大陸を発見したこと自体は世界にとってプラスになる事かもしれませんが その動機と新大陸での実際の行動を ある程度物事が理解できる年齢になった時には 知ることが出来るようにすべきだと思います。

最後になりましたが新大陸という呼び方について書きます。新大陸というのはあくまでヨーロッパ人の立場にたっての表現です。ヨーロッパ人からすればその存在すら予測していなかった大陸が存在したので新しく認識した大陸という意味で新大陸なのでしょうが アメリカ大陸にも勿論原住民がいました。ヨーロッパに比べて文化が遅れていたために大変な虐殺まで受けましたが 彼らにすればずっと昔から存在していた大陸なのですから 新大陸などと呼ばれても 不愉快な事この上ない表現だと思います。ヨーロッパ中心の表現はアジア人の私が耳にしてもあまり愉快にはきこえませんから もう少し適切な表現を考えるべきではないかと思います。

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