10月12日 丁度良い季節であるはずの秋は何処へ

つい先日まで昼間の気温が三十度をこえて 真夏日だったのに 本日はもう寒いです。昔から日本は四季のある国と言われていました。子供の頃の記憶としては 春夏秋冬の各季節がほぼ四等分ではなかったのかもしれませんが 春と秋もそこそこ存在感があったように思います。昔は冬の暖房器具 ストーブや炬燵を片付けて 夏向けの電化製品と言えば扇風機しかなかった時代ですが それを物置から引っ張り出して来るまでに そこそこの時間経過があったように思います。逆に扇風機を片付けて ストーブや炬燵を使い始めるまでにも そこそこのインターバルはありました。
私が子供だった頃には 勿論エアコンのある家なんて皆無でしたから 夏を涼しく快適に過ごすための電化製品と言えば扇風機オンリーでした。冬はストーブや炬燵、電気毛布など温まるために色んな電化製品が昔からありましたが、涼しく過ごすためには 扇風機以外はそれこそ氷枕ぐらいしか思いつきません。部屋があんまり暑いときには 洗面器に氷水を入れて 足の先を浸すこともしたように思います。寒さ対策としては 部屋の中でも寒ければ 暖かい衣服を重ね着して対抗できましたが 暑さ対策は 部屋の中だからと言って 素っ裸になるのが精いっぱいで それ以上涼しい恰好は出来ませんでしたから 恐らく夏の暑さの方が 冬の寒さよりも辛かったように思います。
寒さに対抗する手段としては 暖かい食べ物 例えばお鍋やシチューなどをフウフウ言いながら食べれば 多少は暖かくなりました。暑さ対策の食べ物と言えば 冷やし素麺が代表的かもしれませんが 私は素麺が大嫌いでしたので ほとんど食べませんでした。暑いからと言って かき氷やアイスクリームばかりを食べているわけにもいきませんから その点でも夏の暑さの方が 私は苦しめられたように思います。そんな諸々の条件が重なったためかもしれませんが 私は子供の頃から ダラダラと長い夏休みよりも クリスマスやお正月のある冬休みの方が 楽しみにしていたように思います。
病院では 一応患者さんのために 少しでも寒ければエアコンで暖房して暖めますし 逆に一寸でもムッとすれば冷房なり除湿機能で エアコンを作動させます。エアコンの場合 リモコンの運転切り替えボタンを押すだけで 簡単に冷房でも暖房でもできますから 必要に応じて簡単に対応できてしまいます。簡単すぎるから 尚更なのかもしれませんが冷房から暖房への切り替えが一週間以内に起こってしまいましたから 呆れてしまいます。
秋と言えば 昔から食欲の秋 とか読書の秋、芸術の秋、運動会の秋など 色んなイメージがありますが 少なくともひと月以上は 秋を実感しながら 生きてきたつもりですが ここ最近は本当に春と秋が短すぎるように思います。例年狂犬病の集合注射を担当する四月に 凄く暑い日もあれば 逆に寒さに震える日もあります。所がほとんど毎年ゴールデンウィークには 夏日つまり最高気温が25度を越える日がごく当たり前になっています。
私が暑さ寒さについてぼやくときにいつも思うのですが 夏の暑さは明らかに 私の子供の頃よりもひどくなっています。夏日と言う表現だけで事足りていたのが いつの間にか真夏日、更には猛暑日あるいは酷暑日なんていう言葉が当たり前に使われています。夏の夜も昔は昨夜は熱帯夜でした と言うのがニュースになっていましたが 最近では 昨夜数十日ぶりに熱帯夜ではありませんでした と言うのがニュースで流れるようになっています。地球温暖化が進行しているのですから それはそれで深刻な問題ですが 個人としては甘んじて受け入れるしかしょうがありません。
所が 夏の気温が上がっているのが地球温暖化によるものであるのなら 冬の寒さも当然緩むはずなのに 実感としては冬の寒さは子供の頃に比べて暖かくなってきた と言う気がしません。だから南の島への移住を真剣に考えています。便利な世の中になってしまったがために 人間が贅沢になってしまって 暑くもないし寒くもなくて 丁度過ごし易いと感じる期間が短くなってしまったのだとしたら それはそれで問題なのかもしれませんが 四季のある温帯に属していた日本が まるで雨季と乾季しかないサバンナ気候のように夏と冬しかない情緒もなければ過ごし易さもない困った気候の国になってしまったとしたら 悲しい気持ちになります。老い先短い身の上とはいえ それなりに風情のある国で のんびりと老後を過ごしたいものです。

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