10月5日 1894年の本日 初めて本格的な時刻表が発売されました

その為に本日は 「時刻表記念日」なのだそうですが 知名度は低いでしょうから こんなこと知っているのはよほどの鉄道マニアの方位かもしれません。私は一時期 時刻表にはまって毎月交通公社の一番大判の時刻表を購入していたことがあります。時刻表の根本的な利用目的は 列車の発着時間を調べて 列車を利用する予定を立てることにあると思います。列車の発着時間は 一時的な季節列車などが臨時で走ることはありますが ダイヤ改正がない限りは ほとんど変化はないはずです。
ですから本来の利用目的からすると 大きなダイヤ改正があるたびに時刻表を購入すれば いざと言うとき 急に列車に乗って旅立つ場合などに役立つはずです。時刻表を出版している会社にしても 本来ならダイヤ改正があるたびに新規の時刻表を出版すればいいはずですが 何故か交通公社やJRは毎月時刻表を発売しています。毎月発売するのは 恐らく毎月購入する人が少なからずいるからではないでしょうか。
私の家には自家用車がありませんでしたから 父に急な出張の予定が入った時や家族で旅行するときに 父が時刻表を見て乗る列車を決めて 乗り込む駅や発車時間、到着する駅とその時間を手帳に書き込むのを見て 密かにカッコいいと憧れていました。高校生の頃までは 時刻表を開いてみても 列車名と駅名それに発着時間の数字が羅列されているだけの時刻表には 何の興味も持てませんでした。
以前に書きましたが 私は臆病な腰抜け野郎で 一人で電車に乗れない情けない奴でした。中学一年の時に 大阪の千里で万博がひらかれました。最初は友人と出かけましたが どうしても一人でも出かけたくなって ようやく淀屋橋や千里中央なんている殆ど見ず知らずの駅で 乗継が出来るようになりました。万博が無ければ 一人で電車に乗れるようになるのはもっと遅かったかもしれません。
それ以来電車の路線図を見て 乗継を確認できれば 知らない土地まで一人でも出かけられるようになりました。そして一つ目の大学である立命館に通うようになってから 極たまにですが一人で泊まりがけで旅にでるようになりました。そうすると当然自分で目的地を決めて そこまでのルートを考えるところから 既に旅行は始まっているのです。車やバイクはありませんから 当然移動手段は鉄道が主体になります。当時は旅行や サークルの合宿など 鉄道に乗る機会があるたびに時刻表を購入していました。
当時 時刻表の出版社としては 交通公社とJRのものが 代表的だったと思います。私は たまたま最初に購入したのが 交通公社の時刻表だったので そちらに馴染んでしまいましたから交通公社のものばかりを利用していました。巻頭の特集記事や添えられている写真が気に入っていました。場合によっては 近所なら時刻表の写真に誘われて出かけた場所も 紅葉の名所など何か所かありました。
時刻表としては先発の交通校社通称JTBの方が当然初めの頃は売り上げも多く人気があったのだそうです。所が最近は特にインターネットで簡単に列車の発着時刻や料金が調べられる時代になりましたから 相対的に時刻表の売り上げが減少しているのだそうです。全盛時は1980年代だそうで 当時は毎月百万冊以上が売れていたのだそうです。所が最近では月に十万冊も売れないのだそうです。
JRの時刻表は 後発で多少出遅れした感はありましたが 現在でも毎月数十万冊が印刷されているのだそうです。これはあくまでJRの公称ですから まるっきり鵜呑みには出来ないのかもしれませんし 全国のJRの駅には必ず少なくとも一冊はJRの時刻表が置いてありますから その数も含まれているのだとは思います。数年前に鉄道マニア いわゆるてっちゃんと話した時に時刻表と言えばJTBだよねと話しましたら 私たちの世代は圧倒的にJTB派が多いのだけれども 十代、二十代の若い連中は JR派が多いという話を聞きました。やはり時刻表にも時代とともにはやりすたれがあるのかもしれません。
時刻表はダイヤ改正される四月からの時刻表が掲載されている三月号が一番月別では売れるのだそうです。勿論進学や就職のために人々の移動が多い時期だからもあるのだとは思いますが。ダイヤ改正の月のJTBの時刻表には 必ず新しいダイヤで各都道府県の全ての県庁所在地を短時間で回るルートを見付けるクイズが掲載されていました。このクイズは安上がりで絶好の暇つぶしになりました。時刻表一冊と乗車する列車を書き留めておくノート一冊あれば 十時間でも二十時間でも遊んでいられるのです。
現在ならコンピューターにかければ 正解がごく短時間で出てくるのかもしれませんが 当時はJRのルートを徹底的に研究する方々がおられて その方たちが地道にルートを探して正解を作成されていたのだそうです。何事にも道を究めた専門家の先生がいらっしゃることに かなりお驚いたのを覚えています。立命時代の同じサークルの二学年下に やはりこのクイズにはまっている子がいましたので 三月にはその子と顔を合わせるたびに 互いに見つけた最短時間ルートを比較しましたが やはり若くて柔軟な考え方のできる後輩にいつも後塵を拝しておりました。
時刻表には大判サイズから ポケットサイズの小型のものまで 何種類かありました。私はいつも必ず大判のものを購入しました。勿論小さなサイズでも時刻表ですから 列車ん発着時間や料金表など最低限の情報は掲載されていますが 時刻表ファンにすれば その他もろもろの情報が欲しくて時刻表を購入するのです。大判の時刻表は 発着時間表の下の欄に その時期のおすすめの観光スポットミニ情報や お弁当の紹介などがされている場合があります。
時刻表ファンなら絶対やるのが 時刻表旅行です。まずは日程を自分で決めて 目的地を設定して いかに時間的に効率的に 勿論なるべく安上がりで一つでも多くの観光スポットを回れるルートと列車の乗り継ぎを考えるのが楽しいのです。ちょうどお昼ごろに通過する駅で売っている駅弁を思い浮かべて 食べたつもりになるのが時刻表の楽しみなのです。大判の時刻表は バスの時刻表まで掲載されていますから 観光スポットの最寄りの駅で下りてから どの時間のバスに乗るのかまで設定します。旅館やホテルの情報も掲載されていますから ホテルの名前から 勝手にどんな建物か想像して そこに幾らぐらいで宿泊するか お土産のおすすめが紹介されている場合もありますから お土産まで 考えます。最後に出発地点に戻ったところで 交通費や食事代 宿泊費、お土産代まで全てを合計して かかった金額まで計算するところが 時刻表旅行の楽しみなのです。
一般的には頭の中で想像上で旅を楽しむなんて 無意味なことに思われるかもしれませんが 時刻表が大好きな人間にとっては凄く楽しい遊び と言うかお金のかからない暇つぶしなのです。そういえば 病院を開業してからは 殆ど車で旅行に出かけるようになってしまい 列車に乗らないので 必然的に時刻表を買い求めていません。まあ今の時代なら わざわざ本屋さんまで時刻表を買いに出かけて 自分で調べて自分が乗る列車を決めて 発着時間を確認する、更に料金を料金表を見て確認する 等と言う手間暇のかかる作業は恐らく時刻表好きの私でもしないと思います。ネットで検索した方が 早いし楽だし なんなら切符もそのまま購入してしまえるのかもしれません。
時代が変わることにより 携帯電話の普及とともに 公衆電話や駅の掲示板が姿を消しましたし、ネットが手軽に利用できる時代ですから 時刻表の必要性が低下してしまって発行部数が全盛時の十分の一位に減少しているのだそうですから いずれは時刻表自体が姿を消してしまうのかもしれません。便利になることはありがたい事ですが 旅行をするときにはまず時刻表を見る事から始めていた私としては 何となく寂しいです。マッカーサーの言葉「老兵は死なず、ただ去りゆくのみ」みたいなことかもしれませんが いずれは時刻表が博物館でしか見られないような事にはなってほしくありません。

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