私は心臓に持病があります。不整脈がなかなか収まってくれません。おまけに血圧が高めなので恐らく死ぬときは脳梗塞が原因だと思います。脳梗塞とは脳内の血管に血栓が詰まって　その先に十分な血液が届かなくなり　脳細胞に障害がおこる病気です。その予防の為に　血液に血栓となる血の固まりができにくくする薬、ワーファリンを服用しています。ワーファリンの作用を邪魔する物質としてビタミンＫがあります。納豆にはそのビタミンＫが豊富に含まれるので　ワーファリンを服用している間は　納豆を食べることが禁止されています。
　一昔前までは　納豆を苦手にする関西人が多かったみたいですが　現在では関西人でも納豆がお好きな方は結構いらっしゃるように思います。現にスーパーには沢山の種類の納豆が常に山盛り売られています。
　私は子供の頃には、納豆が食べられませんでした。うちは両親ともに九州人なので　昔からどちらも納豆が割とすきだったみたいです。朝食の時に和食だと味噌汁、焼き魚、生卵などが定番のおかずでしたが　たまに納豆が出てくることがありました。納豆は　まずその色が何とも表現しにくい不気味な色でした。その上ねばねばと糸を引くその形状が　何とも薄気味が悪かったです。
　小学校の低学年の時には　チャレンジしてみる勇気が湧きませんでした。高学年になった頃　何時も両親が納豆をどっさりとご飯にかけて　さも美味しそうに食べる様子に　好奇心が抑えられずに　スプーン一杯分ぐらいご飯にかけて挑戦してみました。まずその独特の匂いにチャレンジ精神がかなりへこたれましたが　鼻をつまんで口に入れてみました。最初に感じたのが苦味でその後に薬味のネギや辛子の辛さをかんじました。そのねばねばさはそれほど不愉快ではありませんでしたが　美味しいとは全く感じませんでした。けれども予想していたほどには不味くも感じませんでした。
　朝食の時に次に納豆が出た時にも　再度挑戦してみました。二回目は同様の匂いには未だ慣れませんでしたが　その苦味は薬味や卵である程度緩和されていることに気付きました。一回目よりも二回目の方がほんの少しだけれども悪くないと思いました。その様にしてチャレンジの回数を重ねると、徐々に納豆の美味しさが分かってきたように思います。中学に上がるころには　納豆が大好きになっていて　朝ごはんが和食の時には納豆を忘れないようにリクエストする位になっていました。
　大学に通う頃には　普通にご飯にかけるだけではなくて　ひき割りにしてみそ汁に入れて納豆汁を作ったり、卵に入れてフライパンで焼いて納豆オムレツを楽しむようになっていました。料理は食べるのも好きでしたが　作るのも大好きだったので納豆をいろんな料理にアレンジしてみました。納豆オムレツは簡単に作れますから　インスタントラーメンの具材にしたり　パンにはさんでサンドイッチにもしました。家族からの評価は今一でしたが　私はそれなりに美味しく出来たつもりでした。あと正月に食べる御餅に納豆を絡めて食べるのも凄く美味しかったです。それから是非おすすめしたいのが　カレーライス、白ご飯にカレーをかけた皿に　納豆をそのまま載せて食べるのが　非常に簡単であり、かなり斬新な食べ方です。賛否両論ありましたが　私は絶対にありだと思いますので　一度お試しください。
　岐阜大学に通っていたころは　自分の我儘で二度目の大学に通っていますから　親からの仕送りもありませんでしたので　当然貧乏学生で夕食代が乏しいときには　納豆を3パック位どんぶり鉢に入れて薬味をたっぷりと効かせて　白ご飯にかけて夕食にしていました。大好きな納豆をおなか一杯食べられるのでそれほど惨めな気持ちにはならずにすみました。
　そんなことで納豆は無くてはならない食品でもないけれどたまに思い出したら　たっぷりと味わいたい食べ物でした。所が、心臓を患ってその治療を始めてからは　納豆禁止令が出ましたので　ここ二年間ほど　全く食べていません。別に普段の食生活に欠かせない食品でもないので　それほど辛くは感じていませんでしたが　本日見ていたテレビドラマで出演者がさも美味しそうに納豆を食べているのを見てしまい　なんだか無性に食べたくなってしまいました。まあ一度ぐらいならいつも診て頂いている先生にもばれないかもしれませんが　それでなくても普段の不摂生で注意されることが多いので　なんとか我慢しようと思います。これからはうかつにテレビドラマも見られないなあと思いました。でもテレビドラマでは食事のシーンがよくあるのでそのような場面が来るとトイレにでも行ってなるべく目に入らないように注意しようと思いました。