3月14日 1970年の本日 EXPO70が開幕しました

今から考えると46年も前の話です。その年に私は小学校を卒業して 中学一年生になりました。当時枚方市の香里団地に住んでいましたが 万国博覧会には合計で13回も通いました。友人と出かけたこともありますし 家族四人で出かけたこともありますが 大半は一人で出かけました。私は恥ずかしながら 小学生の頃には一人で電車に乗れませんでした。最寄りの駅の枚方市駅まではバスでなんとかたどり着けましたし、枚方市駅から 切符を買って大阪方面なり京都方面のホームに上がり 行く先方面の電車 急行なり準急に乗り込むことまでは出来ましたが そこから先の乗り継ぎが全然できませんでした。

乗り継ぎの駅で どちらに向って歩いていけばよいのかわからないし よく知らない駅だとどのホームから どの方面に向かって電車が走っているのかも知りませんでしたから恐ろしくてとても一人では乗り継ぎが出来ませんでした。小学生でも 私よりもしっかりした子が幾らでもいて 友人と子供だけで 甲子園に出かけた時なども頼りになる友人にくっついていて何とか甲子園まで往復できました。春休みに 開幕したばかりの万博にも友人たちと子供だけで 出かけてみましたが この時も友人に頼り切っていました。所が 初めて出かけた万博で 見聞きしたことがあまりに楽しくて 完全に私ははまってしまいました。

どうしても行きたい私は ひとりで電車を乗り継ぎすることは恐ろしかったのですが 万博の魅力に負けて 一大決心をして 一人で万博会場まで出かけることにしました。具体的には家からバスで枚方市駅に行き 枚方市駅から 京阪電車で淀屋橋に向います。淀屋橋についたら 御堂筋線に乗り換えて 千里中央に向います。千里中央についたらモノレールに乗って万博会場にたどり着きます。乗継に不安のある私としては 相当な大冒険ですが どうしても万博に行きたかったので 父に道順を教わり しっかりと紙に書いてその行程を覚え込みました。

今考えたら 分らなければ万博会場に行きたいと 目的地さえ駅員さんに伝えれば 訊ねるのが子供ですから分かり易く丁寧に説明してくれるはずですし 当然万博会場に向かう道順は 駅のあちらこちらに分かり易く掲示してあったはずです。もし迷子になってしまったら 最悪家に電話をかければ何とかなったでしょうし 交番に駆け込んでも対応してくれたのだと思います。

私は決死の覚悟で家を出て万博会場へ向かいました。ただ思ったよりもずっとすんなりと会場に着けました。近所へ行けばみんなが万博会場に向かっていたからです。取り敢えずは会場にたどり着きましたから お目当てのパビリオンに駆けていって行列に並んで思い切り万博を楽しみました。一人で弁当を食べるときに少し寂しさを感じましたが 以前友人と出かけた時には 次にどのパビリオンに行くかで意見が分かれて喧嘩しそうになりましたけれど 一人だと自分の思い通りに行動できますので 一人で来てよかったと思いました。

夕方になって帰宅する時間になりました。会場に来る道順は何度も頭の中で想定してしっかりと覚えていましたが 帰り道の手順はあまり頭の中で想定していませんでした。何となく来る時に来た道を逆にいけばいいのじゃないかと 安易に考えていたのです。所が来る時には周りにいた人たちの殆どが万博会場を目指していましたから その流れに乗っていれば自然についてしまったようなものでしたが 帰り道は当然みんなバラバラです。冷静になって モノレールに乗り千里中央につきました。次は淀屋橋まで切符を買って御堂筋線に乗ります。幸い終点の駅ですから 逆方向に行ってしまう危険性はありません。

行くときはワクワクしていましたから 電車に乗っていた時間も短く感じましたが 帰り道は疲れ果てていましたし 不安もありましたから 淀屋橋につくまで結構長く感じました。淀屋橋の駅では 取り敢えず京阪電車の看板のある方向に歩いて行って 何とか京阪淀屋橋にたどり着きました。淀屋橋もありがたいことに終点の駅でしたから 逆方向に乗ってしまう心配がありませんでしたから 急行に乗り込んだ時に座れて ホッとしたことを今でも覚えています。しばらくして懐かしい枚方市駅に無事に戻ってきたときには 思わず自分だけで小さく歓声をあげました。後はいつものバス停からバスに乗りいつものバス停で降りて 私の初めての大冒険は 完結しました。

一度何とか無事に行って帰ってが出来てからは 自信がついて その後は安心して万博会場へ出かけられるようになりました。入場券が結構高かったのでそんなに頻繁には出かけられませんでしたが 何度も一人で出かけたので 殆どのパビリオンに入ることが出来ました。何度も出かけているうちに人気のパビリオンに入るコツも掴んできました。まずは朝早めについて 開門と同時にダッシュして人気のパビリオンの行列に並びます。昼間はそこそこ空いている所を回り 閉園間際になってから 人気のパビリオンに行くと 当然並んでいる行列が短いので 割と短時間で入れます。警備員の人に促されることもありました。最初はビビッて 慌ただしく見て回っていましたが だんだん慣れてくると 厚かましくなってきて 自分の納得のいくペースで見て回れるようになりました。

そんな作戦のおかげと十回以上も出かけましたので 「虹の塔」以外のすべてのパビリオンに入ってみることが出来ました。最後に出かけた時に 虹の塔にだけ入れなかったことを凄く悔しく思いました。今となっては良い思い出です。

この万博に一人で出かけたことによって 私は電車に乗って知らないところへ出かけられるようになったことが非常に大きな収穫だったのかもしれません。知らない駅で電車を乗り継いだり 全く知らない街をうろついたりしても それほど不安ではなくなりました。それまでは知らない人にものを尋ねること自体が怖くてできませんでしたが 一旦慣れてしまえば 全然平気になりました。知らない駅でも自分がどこへ行きたいのか明確であれば駅員さんに教えてもらえば 安心だし確実です。知らない街でも 自分が何を見たいのか 何をしたくてここへ来たのか 明確にしていれば 現地の人に教えてもらえば それで済んでしまう事が分ったからです。

それ以来一人で出かけることが好きになり 反って冒険したくて全然知らないところへチャレンジするようになりました。万博は 凄く楽しい思い出を残してくれましたし、私の人生をポジティプにしてくれましたから とてもありがたい出来事でした。

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