3月21日 これまで日本で唯一鹿のいなかった茨城県で鹿の生息が確認されたのだそうです

私は 最初にこのニュースを見た時 今まで自然環境が不十分であった茨城県の自然が少しでも回復したための現象であり 当の茨城県としても 喜ばしい出来事なのかと思っていました。所が 日本鹿と言うのは 害獣としての被害がとても大きい動物なので これまでいなくて安心していた茨城県の関係者は 頭を抱えている大問題なのだそうです。森林や農業と無関係な人間から見れば 野生の動物が生活しているという事は むしろ人間に荒らされていない自然が残っていて 望ましい事のように考えてしまいますが ペットを対象とする獣医師であるとは言え 動物に関する専門家であるはずの 自分が勘違いをしていたのは お恥ずかしい限りです。

取り敢えず 森林の被害としては 鹿が樹木の表皮を食べてしまうために 材木としての価値がかなり下がってしまうのだそうです。知りませんでしたが 茨城県は材木の生産量が日本一なのだそうですから 尚更鹿が住み着いてしまうとその被害が甚大であり心配なのだそうです。木材にするために樹木を伐採した後には 次世代の為に苗木を植える訳ですが その苗木が鹿にとっては 有難い食糧になってしまうのだそうです。更には 下草を全部食べつしてしまうために 樹木の根元の土砂がむき出しになってしまい 雨水によって流出してしまいますから 大雨が降った時に 一時に水が流れてしまいますから 鉄砲水等による災害の要因ともなるのだそうです。

そして鹿は生まれてから一年を過ぎれば 子鹿を産み十数年にわたって産み続けるのだそうです。現在の日本には鹿の天敵はいませんから 一旦定着して繁殖すると あっと言う間にその数が膨大になってしまうのだそうです。どうやらお隣の栃木県から 移動してきて 定住しようとしているらしいのですが 一昨年栃木県では 六千頭以上を駆除したのだそうですが その数は増え続けているので茨城県に移動してきたのだと考えられています。

鹿による被害は 勿論森林に限ったことではなくて リンゴなどの農作物や 牧場等の飼料の為の牧草地が 格好のえさ場となってしまい 鹿にとっては凄く暮らしやすい環境になっているので 定着してしまって その数が膨れ上がるのは時間の問題であり ほぼ間違いなく莫大な被害を被るであろうと言われています。自分たちにとっては 直接被害を受けませんし 鹿にしてみれば 当たり前に生きているだけの事ですから 鹿を責める気にはなりませんが 大切に育てた樹木や農作物に莫大な被害を受けるであろう人たちにとっては 非常に深刻な問題であるのは間違いありません。

人間の側に立って考えれば 鹿の行動は非常に迷惑な事 この上ありませんが 鹿と言う動物サイドから考えれば 人間に迷惑をかけるからと言って 殺されるのは如何なものか と主張したいのではないでしょうか。人間と野生動物が 上手く共存できればいいのでしょうが 現実には無理な話なのかもしれません。現在の力関係からすれば 鹿が人間に迷惑をかけている以上 駆除されてしまうのは 致し方のない事かもしれませんが 子供の頃に読んだSF小説では 人間よりも進んだ文明を持つ宇宙人が 襲来してきたとき 力関係として宇宙人の方が上であるのなら 支配されて 好きなように殺戮されても 文句は言えないはずだ と言う恐ろしい結末でしたが その時人類も潔くその運命を受け入れる事が出来るのかどうか と言うと大いに疑問だと思います。申し訳ないけれど 私の様な浅知恵の愚か者には 上手い解決法の糸口さえ見つかりそうにありません。残念。

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