正直言いまして　平成と言う時代の三十年間は　あっと言う間に過ぎ去りました。平成元年には　私はまだ岐阜大学で　二度目の学生生活を送っていました。それから大学を卒業して　国家試験に合格して　豊中の病院で二年半ほど研修して　この地で開業しました。開業する少し前に一度目の結婚をして　失敗して離婚を経験しました。病院を開業して　それなりに苦労して　何とか頑張っているうちに今の奥様と巡り合って　それからは奥様にひたすら頼り切っての人生でしたが　病院を潰さないように　そこそこ頑張って生きてきたつもりです。何時の間にか過ぎてしまったような　平成の三十年間も　私の人生の　一番大事な部分が集約されているような気もしますから　とても大切な時間と言えるのかもしれません。

昭和生まれと言うのは　これまでも一世代昔の　若さを失ってしまった人たち　と意識された存在だったのかも知れませんが　一月後から　更に新しい元号が始まってしまえば　私たち昭和世代は　二昔前の　本当に二十世紀と言う前世紀の遺物扱いされてしまいそうで　不安です。まあ私は　あと少ししたら仕事を引退して老後をめでたく迎えられそうなので　今更年寄り扱いされてもしょうがないと　納得できそうですが　やっぱり一抹の寂しさは感じてしまいます。まあ年をとるという事は　皆に平等に訪れる事であり　私たちにも若さを謳歌していた時代があったのですから　若い人を羨んでも仕方がないと分っているのです。でも　やっぱり若くて元気であり　見るもの聞くものが新鮮に感じられた時代を現在進行形で　生きている人たちを妬む気持ちがあるのは認めざるを得ないでしょう。

それにしても新しい元号が決まるまでの過程が　私にはちょっと　ギリギリになり過ぎているように思えるのですが如何でしょう。天皇陛下が生前退位されるのは　百年以上ぶりの事ですから　勿論今上天皇がご存命のうちに次の元号を考える関係者には誰も経験者はいないのだと思いますが　最終決定されるのが　発表される本当に直前になりそうなのは　どうしてなのでしょうか。前回同様に　その時の官房長官が記者会見を開いて発表するのでしょうが　別にに三日前に決定しておいてもいいのではないでしょうか。かなり重要な案件ですから　政府が正式に発表するよりも早く　何処からかその情報が洩れてしまう事を心配しての事なのでしょうか。

昭和天皇が崩御された時には　新しい時代に向けての準備が予め少しずつは始まっていたのかもしれませんが　勿論大ぴらな準備は　昭和天皇のお気持ちを考えたら　難しいのでしょうから　極秘裏にされていたのでしょう。でも今回は　生前退位されるわけですから　新しい天皇陛下が即位されることにちなんだ元号の準備ですから　むしろおめでたい事なのでしょうし　もう少しゆとりを持ったスケジュールで新元号が決定できなかったのかと思ってしまいます。最終決定は　閣議決定によるのだそうですが　決定の場に臨む閣僚たちの携帯電話さえ取り上げられたのだそうで　結構不満の声が上がっていました。閣僚が新年号についての情報を漏らすと考えての行動なのでしょうか。閣僚と言うある意味日本を背負って立っている人たちが　信用できないのでしょうか。何だか　悲しい出来事のように思います。

閣僚クラスの人間の場合　元号決定以外にも重要な仕事を抱えているのかもしれませんから　携帯電話を取り上げてしまうというのは　その他の重要な仕事に対して　緊急に対応できないことになってしまいますから　不満の声が上がるのは当然のことのようにも思います。そんなに情報漏れが心配なのかもしれませんが　たかが新元号についての情報など　事前に漏れたとしても　別にかまわないように思うのですが　新年号をネタにして　つまらない儲け話をたくらんでいるような輩にとっては　私が思っている以上に　凄く重要な情報なのかもしれません。

なんていうどうでもいい事をダラダラと書いているうちに　新元号「令和」が発表されました。当たり前ですが　馴染がないので　現在は違和感しかありませんが　平成と言う元号に馴染んでいったのと同様に　何時の間にかしっくりと来るようになるのでしょう。多分　新しい元号にちなんだ　商品が直ぐに発売されるのでしょうが　私はすぐに新しいものに飛びつく商売は　下品な印象であまり好感が持てませんし　そんなどうでもいいような商品に飛びつく　浅はかな人間には絶対になりたくありません。

そんな事よりも　病院の伝票などの元号として　平成が印刷されてしまっているものについて　どのように対処していこうかと考えています。当面は　平成を言う元号を二重線で消して　新しい元号に書き直せば　文句も言われないと思いますが　来年になっても同じことをやっていたら　恐らく誰かに口に出しては言われないかもしれませんが　早く新しい元号に対応しろよ　とつぶやかれてしまう事になるのでしょう。これから五年十年と　この仕事を続けていくつもりならば　すぐにでも対応しますけれど　あとどれくらいこの仕事を続けていくのか分らないので　恐らく仕事をやめるまで　平成の文字を消して書き直すスタイルでいってしまうと思います。ひょっとしたら　新元号を書き加えるのではなくて　西暦の下二ケタの記入に変更してしまうのかもしれません。

まあ私の病院の困ったことなど又どうでもいい話題でしょうが　現在の皇太子殿下の年齢が確か59歳だったと思いますが　決してお若くはないので　新しい令和と言う時代がどれくらい続くのでしょうか。今上天皇が85歳で生前退位されるわけですが　日本人の平均の寿命よりは長生きされていらっしゃいます。新天皇が同年齢位まで頑張られるとしても　あと二十六年ですから　それ程この元号が長く続かないのかもしれません。まだ発表された段階で　始まってもいないのに終りの話をするのは　縁起がよくないので　止めておきましょう。まあ何にしても　私の命は令和の時代に尽きると思いますので　覚悟してその時代をスタートしようと思いました。